リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

スカッと爽やか

2023年07月31日 17時52分19秒 | 音楽系
昨日のテレビ番組で立川志らくが林家三平や最近の若手のことをボロかすにけなしていました。才能がないとか、真打ちは15年やってたら誰でもなれるみたいな。最近の若手は才能のある人は漫才・コントに行ってしまい、落語の若手にいいのがほとんどいないとも。

プロが他のプロを公然とけなす、いやぁこれ言えたら気持ちいいでしょう。スカッとします。志らくは内にためずにスパッと言ってしまいました。普通はなかなか言えないです。なぜ言えないかというのはいくつか理由が考えられます。

ひとつは自分の身の保全。あとは業界を守るためなんかも考えられます。あとそもそも人の悪口をいうのは人間的に間違っているという聖人君子的な考えもあるでしょう。

志らくの場合はそもそも師匠の談志も同じような傾向だから立脚点が普通の人(芸人)よりは過激なところから始まっていることもあるでしょう。それに自分の芸に対する自信もあるでしょうし、一門が落語界の他の勢力に実力で後してきた自負もあるのでしょう。

昔は結構ずばり言うような人がいました。例えば武満徹の音楽を評して「音楽以前だ」と書いた某評論家、某作曲家の作品を「ふざけた曲だ」と書いた某作曲家、ホロビッツの演奏を評して「ボロビッツ」と書いた某評論家、などいましたねぇ。今はこういうことがいいにくい時代かも知れません。だからこそ志らくの言いようがある意味で新鮮でスカッとしたのではないでしょうか。(私がスカッとしただけですが)

花火大会は

2023年07月30日 13時28分09秒 | ローカルネタ
昨夜は実に4年ぶりのフル開催花火大会でした。来日中の娘一家は早々と出かけましたが、私たち老夫婦は暑いので自宅で音だけを聴いていました。(笑)

思えば3年前、花火大会はネットで中継されてそれを見て居ました。画面で打ち上げ花火が大輪を広げていますが、音は遅れてドーンと来るという何かあまり意味のないようなそれでもやらないよりマシだった花火大会でした。

この暑さはまだ続くみたいで、雨は8月7日以降にならないと降らないという予想でした。これも久々のフル開催の桑名石取り祭も雨に降られるということはなさそうでご同慶の至りです。

今年は我が町内でこれまた久々の懇親会を市内の某料亭で開催しましたが、なかなか予約が取れずに苦労しました。何でも石取り祭関連の会合(寄り合い)予約が一杯で、4月の段階でも6月の土日は全て埋まっている有様でした。コロナ前でもこんなことはなかったのですが、久しぶりの祭り開催ですから祭り前の宴会にも力が入っていたのでしょう。やっと取った7月の1階の会場(年寄りが多いので1階にしてもらったのです)も祭りの寄り合いが入ったのでということで2階に変更になりました。まぁエレベータはありますので、特に問題はなかったですが・・・

今年は曜日の関係で8月5,6日が祭りの開催日です。


ヴァイス作曲ソナタ第39番ハ長調(3)

2023年07月29日 12時19分55秒 | 音楽系
第2曲目はクーラントです。序曲の次にはアルマンドは来ないようで、例えばロンドン写本にある変ロ長調の序曲の次もクーラントになっています。バッハのフランス風序曲ロ短調も長大な序曲の次はクーラントです。

本クーラントはハ長調という調性から比較的高いポジションのフレーズが多いです。12コースが半音上がりHになり、少しタイトな響きになるので、高めの音域のフレーズと相まってとても華麗なサウンドの仕上がりの曲になっています。

同時代の作品と比べて結構長めの曲(117小節)ではありますが、ヴァイス後期の作品でソナタ形式の萌芽のような形式をとった曲(例えばソナタ第51番のアルマンド、クーラント、プレスト=2つの主題がありそれぞれの再現部がある{第2主題は少々不明確にせよ})に比べれば短め。このソナタは11コースでも演奏可能だし、まだソナタ形式指向ではないので、ヴィスの中期の作品なのでしょう。

第2テーマと目されるフレーズもないし、再現部もありませんが、曲全体で繰り返し出てくるフレーズ(5-8小節のパターン)が後の循環主題のようで興味深いです。再現部はないといいましたが、これはソナタ形式で見られる再現部ということで、本曲は36-37小節の減七フレーズが終わりの方の111-112小節に出てきて、短いですが再現部の雰囲気はします。ただこれらはソナタ形式の第2テーマ再現部と異なり同じ調ですけど。

前半部の減七フレーズはそのあとト長調に向かうのですが、後半部では上手にハ長調に向かい曲を閉じます。このあたりの処理は単純な方法なのですがなかなか非凡な処理だと思います。

ヴァイス作曲ソナタ第39番ハ長調(2)

2023年07月28日 19時50分22秒 | 音楽系
第1曲は序曲です。ヴァイスはこの形式でそこそこの数の作品を残しています。その中で39番のものが個人的には一番好きです。フランス風序曲お決まり通り、この曲も付点を伴う堂々とした音型の前半部とそれに続くフーガで構成されています。フーガの最終部に前半のリズム、テンポを踏襲した短い部分が続き、さらにフーガの冒頭にまで戻って繰り返して曲が閉じられます。繰り返すと結構長くなり疲れるので繰り返さない方法もありでしょうけど、私としては繰り返しはしてみたいと思います。

8分の3拍子のフーガのテーマをどういうアーティキュレィションを取るかはなかなか悩ましい問題です。最初のモチーフを(1)全てノンレガートにするか、(2)2つ目を短めにしてあとはレガートにするか、(3)全てレガートにして次の小節の4度跳躍の部分をノンレガートにするか、いくつか考えられます。全くアーティキュレィションなしの垂れ流しはあり得ないでしょう。

ここで考えなくてはいけないのは、フーガのテーマがバス弦だけで弾かれる部分があるので、どのアーディキュレイションにするのかは消音との兼ね合いである程度「戦略的」にならざるを得ません。私としては(2)で行きたいと思っています。

あと前半部に戻りますが、付点音符の狭間に出てくる速い音階的なフレーズもなかなかくせ者です。タブに表示されている音価を杓子定規に演奏するというのもありかも知れませんが、音階的なフレーズの前半部は16分の音価でその前のフレーズを受けますがそれ以降、次の付点フレーズの頭までは後半部がぐっと速度が増しつつ1拍に収めることが重要だと考えています。つまり5連符または6連符になりますが、均等割ではなく、最初は少し長め(遅め)で終わりの方は速度を上げて少しまるめるという感じです。

ヴァイス作曲ソナタ第39番ハ長調(1)

2023年07月27日 23時09分52秒 | 音楽系
ヴァイスのソナタ第39番ハ長調は序曲、クーラント、ブレ、サラバンド、メヌエット、プレストの6曲で構成されています。ヴァイスのソナタは使い回しではないですけど、ある曲は別のソナタや組曲で見られたりすることもありますが、この39番に関してはほぼドレスデン手稿本(Ms. Mus. 2841-V-1)だけに見られるものです。

この曲の序曲は30年くらい前の山梨の国際古楽コンクールリュート部門の課題曲になっていたと記憶しています。私はこのコンクールで弾いた覚えがありますが、このときは本選に進んだのか記憶は定かではありません。

全6曲のうちプレストだけが他の写本に筆写されていますが、他の5曲に関してはこのドレスデン手稿本だけにしかありません。もっとも序曲に関してはブライトコプフのテーマカタログに出ていますので、かつては出版されていたのだろうと思われます。

この6曲の構成はとてもバランスがよく、また曲想もとても華やかでかつ重厚感もあります。演奏時間は繰り返しをつけて通すと30分は優に越える大曲です。意外と多くの人が昔から録音していて、30分未満の人から30分越えの人まで様々です。私が弾くとしたらどの位の時間になるのでしょう。いずれにせよひとつのコンサートの半分は占めてしまう長大な曲です。

次回からは各曲それぞれについて見ていきたいと思います。

来日

2023年07月26日 20時22分09秒 | 日々のこと
昨日から娘一家5人がアメリカより来ています。昨夜は中部国際空港にお迎えに。コロナが明けて中部空港も賑わいを取り戻しつつあります。とはいうものの国際線はまだまだ回復したとは言えないようです。

コロナ前と比べて国内線と国際線の到着口と送迎口が入れ替わっています。国際線の到着口は以前の国内線の到着口です。コロナ禍で国際線がほとんどなくなってしまったので、入れ替えたのでしょうか。



予定より到着が早かったので、もうすぐ入って来るところです。

荷物も沢山ある一家5人を車で乗せて帰ってくるにはラゲッジスペースが沢山ある7人乗りの車が必要ですが、アルファードクラスならなんとかなるんでしょうか。残念ながらそんな大きな車は持っていないので、家内の車(MINI Cooper)と私の車(MINI Crossover)2台でお出迎え&送迎です。

私は娘のだんなと長男を乗せて空港を出発しました。車の中のBGMはピノックのブランデンブルク協奏曲集でしたが、途中からお二人ともオネンネでした。家に着いたら皆さん速攻でおやすみです。

時差の関係で朝起きるのは早く、早速近所の和菓子屋さんに予約をしてあった「三色団子」を買いに行きました。



「三色団子」は普通この時期には作っていないのですが、特別にお願いして20本ほど作って頂きました。このお店の三色団子は夏に食べてもなかなかおいしいです。日本に来て何が食べたいと聞くと3人とも「お団子!」と答えるほど皆さんここの三色団子が好きです。

3度目の栄冠なるか!

2023年07月25日 15時02分23秒 | ローカルネタ
台風5号は日本列島を覆っている高気圧のヘリにそって北上しているようです。このパターン、実は当地方に猛暑をもたらす原因になると私は見ています。(単なるカンです)

台風から上昇気流が上がり、それが高気圧に向かって激しく下降するらしいですが、問題はそれがどのあたりで起こるかどうかです。下降気流が鈴鹿山脈に当たるような位置で吹けばフェーン現象が起こり、当地方は40度近くあるいは40度超えになります。少し前の全国ナンバーワンになったときもそのフェーン現象が起こったパターン。

これは台風の進路にかかっていますので、台風が北西に向かって日本から離れてくれればいいのですが、少し日本列島に寄り気味になると、本夏3度目の栄冠に輝くのも夢ではありません!(夢であってほしいですが)天気予報も明日、明後日は猛暑日になるとしています。さてどうなるやら。

固有名詞と一般名詞

2023年07月24日 16時25分52秒 | 日々のこと
もう十何年か二十年近く前だったでしょうか、TwitterやFacebookが登場したとき、新しいもの好きの私は直ちに登録してみました。でも結構な機能を持っているのに無料で使えるのはなぜだろうと考えて、これは実は彼らは私たちが登録することによって莫大な利益を得ているはずだというように思うようになり(実際そうでした)アホらしくなってすぐに解約しました。(すぐ登録できるくせに解約はえらい面倒でした)

その後FacebookやTwitter は大きく成長して今に至っています。(紆余曲折はあるにはありましたが)他にもLINEやらInstagramなどこれらは全ていち企業です。名称は固有名詞です。一方インターネット、ホームページ、ブログ、メールは一般名詞です。当ブログはgooblogを使っていますが、gooblogが閉鎖されても別のサーバーを使ってブログを続けることができます。

現在多くの公共団体が「固有名詞」ツールを取り入れています。でもTwitterはイーロン・マスク氏に買収され彼の考えが大きく反映されたものに変貌しています。最近は名称もTwitter改め「X」にしたいなんておっしゃっています。もうやりたい放題です。しかし私企業である以上それは当然のことでしょう。

でも公の存在である行政がいち私企業のツールに依存するというのは如何なもんでしょう。安易に「固有名詞」ツールに頼らず自らツールを構築した方がいいと思います。Twitterなんて結局有名な人が世の中を扇動するためのツールに化していますから、なんかイヤな感じがします。

ただ自前でツールを構築するとなると相当な経費がかかるし、メールだけで済まそうとすると敷居が高く感じる人が多くいて役にたたず、それならばということで「固有名詞」に頼るという事情もあるんでしょう。実際私もとある事情でどうしてもTwitterに再登録せざるを得なくなり、またネットが苦手な人と交流するために仕方なくLINEも登録しました。なんか大きな構造のうねりに巻き込まれたようで残念ですが。

夏休みの宿題

2023年07月23日 14時24分20秒 | 音楽系
教師をやっていた「晩年」の頃、私は夏休みの宿題を出すのを止めました。

夏休みの少し前、授業の終わりに、

「もうじき夏休みですが、私は夏休みの宿題を出しません!」

というと生徒達は大いに遊べると思ってしまうんでしょうか、大喜びに教室がわきます。少し静かになったところで、

「そのかわり、宿題は自分が自分に出します」

教室はやっぱりなー、という声で一杯になります。

私の担当していたクラスの夏休みの宿題(課題)は各自がそれぞれ自分に合わせた課題を設定し、ひと夏の学習計画を立て、新学期に先生に見てもらうための評価方法を策定します。これらは家庭学習の時間でやってもらいますが、こちらからは大体どんなことがひと夏をかけて行うのにふさわしいかをいくつか例示したプリントを渡しておきます。

そして暑くてまともな授業にならない1学期最後頃の1コマを使い、各自が私にひとり1分で説明します。私の承認を得た課題、学習計画、評価はOK、そうでないものは練り直しですが、大体は微修正程度で合格です。少なすぎるのはむしろ少なく、修正が必要なのは大体は大風呂敷を広げすぎるものばかりです。

この方法は、新学期の最初の1時間も評価用に使いますので、授業の計画性がないと教科書の進度が遅れてしまいますので注意が必要です。

生徒達の評価方法には、例えば単語200語例文100文を暗記するので、任意の問題を先生から出して8割以上正解ならば合格というものであれば、新学期の最初の1時間内で評価が可能ですが、中にはちょっとした英文の作品を作るというのもあります。そういうのは一旦預かってから評価します。

教師側からみた負担の度合いは、1学期末にプリントなんかの課題を配って、新学期に確認テストをするなどの一般的なのに比べると少し時間を取ってしまいます。でも感覚的にはちょっと負担が増えるかなというくらいの感じでした。まぁ楽は出来ません。どんなにいい実践でも何倍も時間のかかる実践は意味がありません。普段の流れで出来てこそすぐれた実践だと思います。

一方生徒の立場で見ると、計画実践し、その評価を行うという流れを自ら行うのですから、プリントを与えられて受け身の学習をするよりははるかに意欲的に行えると思います。実際、計画のみで何もしなかったという生徒はいませんでした。

通り一遍の業者テストを配って、夏休み後にそのマル付けに忙殺されるなんてあまり教育的ではないと思いませんか?

音階の話

2023年07月22日 23時01分40秒 | 音楽系
今日の日経新聞土曜版プラス1には音階の話が載っていました。ヨナヌキことペンタトニックの話です。郷愁を誘う「5音」なんて見出しが躍っていました。

演歌はペンタトニックが多いですがポップスでも有名なところではユーミンの「14番目の月」なんかはペンタトニックです。この曲なんかはあまり郷愁を誘うという感じではないです。クラシックだとウォルトンのエリザベス女王戴冠行進曲のテーマがペンタトニックですが、そのテーマは風格と威厳を感じさせるものです。北島三郎の函館の女の出だしなんかは軽快というかのびのびした感じがします。

同記事の解説コラムでは「古代から音の研究」があるということでピタゴラスの逸話が載っていました。これはジョン・ダウランドの論文にも詳しく書かれています。

鍛冶屋前を通ったら職人が打つ音がハンマーの質量によって音程が変わることに気づいたというアレです。ロバート・ダウランド著拙訳の「とりどりのリュート曲撰」にそのジョン・ダウランドの論文が掲載されています。ロバート・ダウランドの著書は1610年出版ですから今から413年前。昔から有名だったんですね。ジョンの論文には数値も使い詳述されています。興味のあるかたは是非拙訳「とりどりのリュート曲撰」をお読みください。って宣伝してしまいました。(笑)