リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガット弦セール

2016年05月30日 22時48分10秒 | 音楽系
アメリカのガット弦メーカーであるガムート社が中部標準時の30日午後9時まで20%引きセールをやっています。このエントリーを書いているのが日本標準時の30日午後10時半ですので、まだ充分間に合います。100ドル以上の注文は送料が無料になります。別にGamut社の回し者ではありませんが、ガット弦を買おうかなと思っている方はこの際にどうぞ。

私は2012年の春頃から1年くらいの間にガット弦をいろいろ試し、本番でも2,3回使用しましたが、結局使用を断念しました。一番の原因はバロックリュートのバス弦に適切なものを見いだすことが出来なかったからです。1,2コースの細い弦はガムート社の「ビーフガット」という弦がそこそこ実用的に使えることがわかりましたが、バス弦はいいのがありませんでした。

候補としては、アキーラ社のローデドガット、オープンワウンド巻きガット、ガムート社のギンプ弦(キュルシュナー社のルックスラインも同種のようです)が考えられますが、アキーラ社の2点は、前者は精度が悪すぎますし、後者に至ってはアナウンスのみで発売されていません。ガムート社のギンプ弦はギンプという釣り糸にヒントを得てガムート社で開発された弦ですが、金属の細い弦をガットと一緒に折り込んで作った弦です。金属は銅と銀の2種類がありますが、いずれもバス弦としては役不足でした。金属を一緒に巻き込むといっても角度がゆるすぎて、弦の質量が一定の量に達していないのでしょう。あるいは、金属を巻き込むこと自体が振動に悪影響を与えているのかもしれません。

3月の終わりにさるお方からアドヴァイスを頂いて、バスレンジにはガムート社のピストイがいいことと、1,2コースの細い弦はイタリアのウニヴェルザーレ(Universale)社のものが長持ちするとのことでした。ピストイは実はミドルレンジでは使ってみたことがありましたが、バスレンジでは使っていませんでした。その方も私と同様ガムート社のギンプ弦で「失敗した」とおっしゃっていました。スウェーデンの某リュート奏者はギンプ弦をバスに張ってレコーディングしていますが、バス弦がモコモコ言ってます。

今回は、ガムート社にプレーンガット弦とピストイ弦を3コースから13コース用に、ウニヴェルサーレ社に1,2コース用のプレーンガット弦を注文しました。ガムート社のホームページにアクセスするのは久しぶりでしたが、デザインががらっと変わっていました。そしてプレーン弦は全てビーフガットになっており、そもそもプレーン弦にビーフとシープという区別がなくなっていました。私がガット弦を試し始めた2012年の春頃はビーフガットが開発されてまだそんなに日が経っていない頃ですので、旧来のシープと併売していたんですね。ウニヴェルサーレ社にもOX(雄牛)とRAM(雄羊)の2種類のプレーンガット弦がありますが、問い合わせてみましたら、リュート用には雄牛の方が丈夫で長持ちするとのことでした。

最近円高だといわれてますが、2012年頃と比べるたらそれでもかなり円安ですので、これだけガット弦を注文(1~2コースは10本ずつ、3コースは2本ずつ、他は1本ずつ)すると9万円弱になってしまいました。セール中でもこのくらいいきます。もし注文してみようとおっしゃる方は、その点を充分ご承知おきください。もっとも常時交換するのは1,2コースで3コースはときどき、他は2年以上はいけるでしょうから、年間2万キロ走るハイブリッド車のガソリン代(毎年11万円くらい)よりはずっと安いです。

伊勢志摩サミット

2016年05月26日 12時01分27秒 | 日々のこと
伊勢志摩サミットがいよいよ開催されますが、悪天候ではなかったので、道路事情も問題ありません。昨日は名古屋に車で行こうか電車で行こうか迷いましたが、グーグルマップを見たら意外と近所の道路は渋滞していないので、国道23号線経由で行きましたら、いつもより空いているくらいでした。

伊勢志摩サミットという名称に関して、同じ志摩半島にある鳥羽の名前が抜けていて「鳥羽飛ばし」ではないかとテレビでやっていました。私は地元民ではありませんが、同じ三重県に住む者としては特に「伊勢志摩」で違和感はありません。というのも私のイメージでは伊勢志摩というと、伊勢神宮と志摩半島全域を指す感じがするのです。近鉄の「伊勢志摩特急」とか「伊勢志摩国立公園」とかいいますよね。あと1カ所付け加えるのなら、伊勢志摩+二見かな。鳥羽という地名がはいるのは、逆にアレっと思ってしまいます。志摩市というのは2004年頃の平成の大合併のときに出来た市こともあり、「伊勢志摩」といったときの志摩というのは、志摩市をさすのではなく昔の志摩国あるいは志摩半島を差しているという感じがします。志摩の方にうまいものを食べに行こうと言って、鳥羽市の相差(おおさつ)に行くのに何も違和感を感じません。

地元の方もそのあたりはよく承知してらっしゃるようで、鳥羽飛ばしなんていっている方は地元の事情に明るくないよその方だけなのかも知れません。

リサイタル

2016年05月16日 20時31分11秒 | 音楽系
リサイタル「リュート・オン・バッハ」が終了致しました。会場のHITOMIホールのキャパ8割に届くくらい(主催者発表(笑))のたくさんの方に聴いていただきました。



今回は初めてのオール・バッハでしたが、やはりバッハは偉大な作曲家でした。来場いただいた方がたっぷり楽しんでいただいていたらとても幸せです。終演後お会いした方からは「とてもソフトな音色で星空の中にいるようでした」とお褒めいただきました。

私の生徒さん、音楽仲間、古くからの友人たちを始め様々な方にお越しいただきましたが、終演後ひとりの老婦人から声をかけていただきました。その方は初めてお目にかかった方とお見受けいたしましたが、お名前を伺うと以前からよくコンサートに来ていただいている方でした。お名前は存じ上げていても、実は直接お目にかかったことはなかったのです。今回お目にかかる機会を得てとても嬉しかったです。

今回久しぶりに演奏した、プレリュード、フーガ、アレグロは、実は大変でした。ヘ長調のアレンジで行こうと練習をしていたのですが、7フレット以上の音を多用することになるため、あまりリュートがきれいに鳴ってくれません。なんかヒステリックになるのです。なにしろプレリュードの冒頭の音からして、実質的にバロック・リュートの最高音と言えるファで、フレットは指盤上にはなくボディ上です。

ちょうど4月の初めころ、これ以降は別の調に変更するのは不可能だと思い、ばっさりとヘ長調版を断念しハ長調版にすることにしました。リュートの場合は鍵盤楽器と異なり調を変えるということは、まったく別の曲を弾くといってもいいくらい変わってしまうものですが、思い切って変更しました。そのときニ長調版も検討しましたが、ハ長調の方が総合的に有利な箇所が多いと判断しました。一カ月でモノになるかと若干心配しましたが、まぁなんとかなりました。(笑)

次回のリサイタルはまた来年の秋頃にできたらとは考えていますが、まだ具体的には何も決めていません。まぁリサイタルが終わった直後ですからそれが普通でしょうけど。オールバッハは今回が初めてでしたが、オールヴァイスはまだやっていません。次はこの線で行くか。

六華苑コンサート

2016年05月09日 22時25分02秒 | 音楽系
昨日は桑名六華苑のミニコンサートでした。



毎年2回、春と秋に行っているミニコンサートです。桑名六華苑は桑名の豪商諸戸氏の邸宅と庭園からなり、現在は桑名市文化・スポーツ振興公社が運営しています。洋風建築と和風建築が直接つながるという大変珍しいスタイルの建物で、洋館は鹿鳴館を設計した、ジョサイア・コンドルによるものです。国の重要文化財に指定されています。コンサートはこの洋館のロビーで行われますが、ここはとても音響がよくリュートのコンサートには最適です。

昨日はとても天気がよく、また連休の最終日ということもあってか、とても沢山の方に来て頂きました。人数は100人近かったと六華苑の担当の方はおっしゃっていました。演奏者側から見ても椅子はすべて埋まり、立ち見の方が大勢いらしたので、多分そんなくらいはいっていたでしょう。これは新記録ですね。(笑)実はリハーサルの時から、ほぼ椅子席は埋まっていまして、リハーサルが本番みたいになってしまいました。せっかくですから、本番でやらない曲も何曲か演奏致しました。

本番のプログラムは、組曲第1番BWV1007より、プレリュード、アルマンド、クーラント。プレリュード・フーガ・アレグロBWV998、組曲第6番より、ガヴォットⅠⅡ、ジグでした。

秋のコンサートは10月2日、ヴァイオリンの廣田君と共演します。