リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

駅メロ【追記あり】

2013年09月24日 14時34分35秒 | 音楽系
先日のタモリ倶楽部で駅メロの特集をやっていました。

名古屋地区では駅に列車が入ってくるときの音楽は殺風景なものが多いまたは音楽そのものがないですが、首都圏ではなかなか楽しめるものが多いです。恵比寿駅ではビールの宣伝にちなんで第三の男が流れていたり、蒲田駅では蒲田行進曲だったりしますが、それ以外はオリジナルの音楽です。10数年前に始まった東京出張で、駅に流れている結構クオリティの高い音楽に驚いたものでした。どういう人が作曲しているのだろうと前から疑問に思っていましたが、タモリ倶楽部に沢山駅メロを作曲されている方が出演されていましてお顔を拝見することができました。なかなか職人的な仕事でいいですねぇ。

東京駅では確かこんな曲が流れていました。



記憶に基づいた耳コピですので、少し違っているかもわかりません。2小節目の終わりには下でもう少し動いている音があったかも知れませんが、まぁ大体こんな風です。最後の転調が印象的です。この曲はあまりいろんな駅で使用されていないのか、番組で紹介された駅メロベストテンには入っていませんでした。私の記憶では結構何カ所かで聞いた記憶があるのですが。この曲好きなんですけどねぇ。(笑)

スイスでも駅メロがありました。バーゼル駅ではとてもシンプルな単音の、ラ、(五度上の)ミ、(長三度下の)ドでした。3つの音を合わせるとラドミの短三和音ですが、各音の連続の中では短三度がないので、短三和音の感じがしない音列です。これがフリブール以南のフランス語圏に入ると、ミドシに変わります。(ちょっと記憶が曖昧でドミシかミドシかも知れませんが)これは確か以前のブログに書いたような気がしますので、調べてみます。

名古屋の地下鉄では桜通線では聞いたことがありますが、名古屋近郊の中央線とか関西線ではやっていませんのでぜひやってほしいですね。近鉄線では特急が通過するときに使う、下から急テンポで4オクターブくらいの長三和音駆け上がる音楽がありますが、あれはどちらかというと警告音に近くて音楽とは言えない感じです。ま、確かに特急がえらいスピードで駅を通過して行くのは危険ですから、音楽的であってはいけないのかも。

おまけですが、緊急地震警報のときの音楽も普段あまり出てこない緊迫感があるハーモニーということで、メイジャー7thマイナス10のコードを半音で平行移動する(ちょっとわかりにくいいかたですみません)音楽を使っていますが、このハーモニーはジャズなんかで結構使われるし、クラシックギターの音楽だと、レオ・ブローウェルの舞踏礼賛という曲のアップテンポになったところに使われている和音なのでクラシックギターファンなら耳なじみでしょう。いまさらもう遅いですが、緊急地震警報のときはサウンドエフェクト的な音にすればもっと緊迫感を感じるし、「舞踏礼賛」にある種の色がつくのも避けられたでしょう。

【追記】
東京駅の駅メロをYoutubeで調べてみましたら、私の言っている曲は3番線、6番線などの曲でした。他のプラットフォームではまた別の曲が使われています。音楽も全体が三声で、調はイ長調、最後にもう一発1オクターブ上のチャーンがありました。以下は修正楽譜です。




アンサンブル「バロック時代」

2013年09月22日 23時19分44秒 | 音楽系
リハーサルが終了しました。10月の5日、6日に行われる、アンサンブル「バロック時代」(Ensemble of the Baroque Era)のコンサートです。5日は岐阜県の某所で行われるクローズドのコンサート、6日は桑名市で開催されるバロック音楽の旅7の第3回講座のコンサートです。

アンサンブル「バロック時代」は私の呼びかけで集まったソプラノ、リコーダー、チェンバロ、チェロ、そしてテオルボによるアンサンブルです。今回が初めてのコンサートになりますが、皆さん達者な方ばかりなので、本番前のリハーサルは1回だけです。あとは本番直前に少し行います。


え?そんないい加減なことで大丈夫なんですか?

はい、大丈夫です。

ウソだと思うならコンサートに来てください。(笑)


メンバーは、ソプラノが武内朋子、リコーダーが太田光子、チェンバロ杉浦道子、バロック・チェロ高橋弘治、そして私の5人です。

曲目は次の通りです。

第1部

ミシェル・ランベール(仏、1610 - 1696)
  あなたの蔑みは毎日(ソプラノソロ)
  恋しいひとの影よ(ソプラノソロ)

クラウディオ・モンテヴェルディ(伊、1567 - 1643)
  それは本当なのか(ソプラノソロ)
  おお私は傷つき、倒れる(ソプラノソロ)

アンドレア・ファルコニエーリ(伊、1586 - 1656)
  甘美な旋律(リコーダーソロ)

マルコ・ウッチェリーニ(伊、16?? - 1680)
  シンフォニア第2番「戦い」(リコーダーソロ)

クラウディオ・モンテヴェルディ(伊、1567 - 1643)
  苦しみはかくも甘き(ソプラノソロ)
  あの高慢なまなざし(ソプラノソロ)

第2部

ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(独、1687 - 1750)
  ソナタ第34番ニ短調より(リュートソロ)

ヨハン・ゼバスチャン・バッハ(独、1685 - 1750)
  パルティータ第1番変ロ長調より(チェンバロソロ)

ゲオルク・フィリップ・テレマン(独、1681 - 1767)
  チェロ・ソナタ ニ長調(忠実な音楽の師より)(チェロソロ)

ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(独、1685 - 1752)
  カンタータ「甘きまどろみの中で」(ソプラノソロ)

(ソプラノとチェロとリコーダーのソロは通奏低音が付きます)

会場はくわなメディアライブ多目的ホール( 〒511-0068 三重県桑名市中央町3丁目 )、開演は15時、3500円(第4回、第5回分を含む)です。

善行

2013年09月19日 13時41分45秒 | 日々のこと
アメリカで大金の落とし物を警察に届けたホームレスが話題になっています。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/usa/

彼の善行に全米が感動したとのことですが、アメリカでは金を拾ったらまず届けることはないということですよね。私はそのホームレスの行動よりアメリカ社会の反応に驚きました。日本だと、大体の人は大金を拾った場合、怖くなって警察に届けるんじゃないでしょうか。1年後に持ち主が現れないことを密かに期待したりして。(笑)

スイスにいたとき2回落とし物をしましたが、2回とも帰ってきました。一つはPDA(
Personal Data Assistance スマホが急速に普及した現在ではもはや死語です)を列車の中に忘れてというか座席に落としたまま列車を出てしまいました。

しまったと思ったがもう遅いとあきらめ待ていました。そのことを師匠に話したら、「いやいや、ここはイタリアやアメリカじゃないよ。結構な確率で戻ってくるよ」とおっしゃる。で、その日の夜電話があり「あなたはショウジ・ナカガワか?電車でPDAを拾って所有者を見たらあなたの電話番号が書いてあったので電話をしている・・・」ということで、郵送して頂き無事帰ってきました。その方はチューリヒの近くのヴィンタートゥアというところに住んでいるとのことでした。

もう一つは、日本に一時帰国するときに、航空券、パスポート、パソコンなどが入っているバッグを列車の中に忘れてしまいました。チューリヒ空港駅のホームを上にあがったとき妙に荷物が少ないのでハッと気がついて引き返しましたが、その列車はすでにバーゼルに戻って行ったあとでした。遺失物届け所に行ってすぐその列車に連絡をしてもらいました。この時は前のPDAの件があったので、もはや確実に戻ってくることを確信していましたので少しも焦りませんでした。そして2時間ちょっと経って何事もなかったかのようにそのバッグは私の手元に戻りました。もちろん中身は完全に元のままです。残念ながら飛行機には乗り遅れてしまいましたが。

オリンピックのプレゼンで日本は安全で落とし物は確実に帰ってくるというの誰かさんがアピールしていた記憶があるんですが、まぁ確かによその国よりはマシかも知れませんが、スイス程ではないとは思うんですけどねぇ。横断歩道で車はまず止まらないし、人の自転車は勝手に乗っていくし、車の当て逃げは平気でするし、こういうことをする人が増えると当然確率的に落とし物が戻ってくる率が下がります。

「避難せよ」

2013年09月16日 18時15分43秒 | ローカルネタ
台風はまたもや大きな爪痕を残して日本列島を縦断していきました。桑名では風雨は少し強かったかなという程度で済みました。一昨年の12号台風では、我が家は雨戸のカバーが風で外れて落下するという被害に遭いました。近所ではどこも被害がなかったのですが、築20年超の我が家だけが運悪く被害に遭ってしまいました。幸い火災保険がおりたので助かりましたが。

私が小学校低学年のとき、桑名市は伊勢湾台風の大被害を受けました。ウチももう少しで畳が浮くところまで浸水しました。停電していてろうそくと懐中電灯しか光がない中、家の中に流れ込んできたドス黒い水が今も目に焼き付いています。

伊勢湾台風以降桑名市は下水設備を充実させ、最近では少々の雨でも浸水しなくなりました。下水路設備が完成するまでは、ちょっと多めの雨が降るとウチのすぐ近くの道まで冠水したものでした。設備が完成したおかげで、10年くらい前の東海豪雨のときでも近所は全く冠水しませんでした。

近所を流れる員弁川(桑名での呼び名は町屋川)の水位が相当上がって危険なところまでいっていたようです。危険水位を超えると避難準備やら勧告やら指示が出されます。避難指示というのは「ただちに逃げなさい」ということで、避難勧告が「ぼちぼち逃げたほうがいいですよ」ということのようですが、言葉の語感が今ひとつ緊迫感がありません。

避難命令ということばがありますので、いくらテレビで避難指示がでていても、まだ「指示」かぁ、なんて思ってしまう人もいるかもしれません。勧告と指示とどちが緊急性が高いかは一瞬にはわかりづらいですが、ちょっと冷静に考えると、指示の方が命令性が高いというのはわかります。

でも災害時にはもともと冷静さを欠いているのが普通ですから、こんな言葉ではいけないのではないでしょうか。たとえば、避難指示→避難せよ、避難勧告→いつでも避難できるように、避難準備→避難準備をせよ(ま、これは同じですが(笑))なんてのはどうでしょう。ちょっと長ったらしいけど、役所が考えた漢字ばかりのことばよりは、瞬間にわかると思いますが。要するに漢語ではなく和語を含めた方が直感的に伝わりやすいということですね。もっと文才がある方ならもっといいことばを考え出せるはずです。

東京オリンピックの音楽

2013年09月12日 19時39分48秒 | 音楽系
2020年の東京オリンピック、早くも皆さん浮かれ気味です。でもさすがにリニア新幹線はそれまでに完成はちょっと無理のようです。

スポーツにそれほど関心がない私でも多少は期待感が募っています。1964年の東京オリンピックのころはテレビで競技を放送するたびに流れていたファンファーレや入場行進曲にはすごく関心を寄せていました。

そのファンファーレはずっと有名な作曲家が作ったのだとばかり思っていましたが、実は全く無名の地方の音楽指導者でした。すごく日本的で厳かな感じがする曲で、たとえばウォルトンのエリザベス女王戴冠式のファンファーレなんかとは対極的な感じです。多分ファンファーレは今回も作曲されるでしょうから、誰が曲を作るのか楽しみです。

入場行進曲は古関裕而作曲ですが、子供の頃の感想ですが、なんか平板な魅力のないメロディやなぁというのが正直なところです。途中の転調もなんか無理がある感じだし。でも当時の熱狂的な雰囲気からすればかえって平板で大して魅力的でない方が良かったのかも知れません。古関裕而の別のマーチは今もNHKのスポーツ番組で使われています。リズムが少し変更されていますが。

少し前に作曲された、團伊玖磨作曲の祝典行進曲、これは当時の皇太子ご成婚に際して作曲されましたが、同じ行進曲でもこちらはとても魅力的な音楽です。当時の行進曲の名曲では、たとえば黛敏郎のスポーツマーチなんかもいいです。ジャイアント馬場のテーマですね。(笑)(以上あくまでも個人の感想です(笑))

2020年の東京オリンピックでは多分一斉に入場はやらないでしょうから、入場行進曲は作られないでしょう。でもテーマミュージックみたいなのは作られるでしょうから、誰が担当してどんな曲になるのかが楽しみです。1964年オリンピックの時のように、三波春夫はもういませんし、誰がいいのでしょうか。初音ミクかはたまた坂本龍一か。公式非公式ともいろんな曲が出てくるでしょうから、楽しみです。

調整完了

2013年09月11日 17時58分57秒 | 音楽系
Murphyの11コースバロック・リュートの調整が終わりました。

ペグの調整、フレットの巻き替え、ナットのかさ上げを行いました。

フレットはなかなか手こずりました。結局1フレットを1.10ミリにして以下0.10ミリずつ細くしていき、5フレット0.70ミリ以下は全て同じ0.70ミリにしました。

弦高が低いのはいいのですが、5フレット以下にビリつき多発でしたので、フレットを順に細くしていくのです。普通は5フレットまで全て径の異なるフレットを使うことはなく、異例です。多分ネックが反っているのが原因です。根本的に直すにはネックを削るのが一番ですが、とりあえずフレットの選定でほぼ問題はなくなりました。

1フレットはせいぜい1.00ミリを使うのが多く1.10ミリというのは少し太めです。そのため開放弦が今度はビビりますので、ナットを少しかさ上げしてやる必要があります。

方法は理屈はとても単純ですが作業はとても面倒くさいことをします。ナットの下に薄い紙を挟むだけですが、そのためには全ての弦を緩めなくてはなりません。これがとても大変です。

かさ上げは適当な紙を挟むのではなく、きちんと厚さを測る必要があります。1フレットが0.95ミリのときは全然問題がなかったので、0.15ミリの紙を挟むとちょうど良いことになります。

0.15ミリの厚さの紙は結構厚手の紙です。うまい具合に、三重トヨタのカタログを入れる袋の厚さが0.15ミリです。よそのメーカーのカタログ袋はもっと薄いです。さすがトヨタさんはお金持ちです。ナットに挟む紙が必要なときはトヨタのディーラーにカタログをもらいに行きましょう。(笑)


文字通り「紙一重」の差ですが、これだけでビビリは消えます。

リュートの弦の太さは、細い弦だと0.02ミリから0.025ミリ単位、フレットは0.05ミリ単位で調整します。よく細かい仕事をミリ単位の仕事なんていいますが、リュートは(というか楽器は皆そうでしょうけど)ミリ単位では楽器として成立しません。20ミクロンとか50ミクロン単位です。なかなかの精密機器です。

リュート到着

2013年09月06日 13時35分38秒 | 音楽系
リュートが到着しました。スティーブンが言ってた到着予定日より1日早かったです。今回は中部空港ではなく、成田を経由して到着しました。道理で通関の業者さんからの電話の感じが異なっていました。中部空港だとそれなりになぜかこちらも知られていて、「いつものですね」みたいな感じですむんですが、今回は結構いろいろ尋ねられました。

業者さんの話では、通信販売で購入した場合は、価格の60%に対して消費税がかかるそうです。それは知らなかったです。私の場合は、通信販売といえば通信販売に違いないのでそのように処理していただきました。


日本語の表示もちゃんと貼ってもらいました。もっとも到着した日はあまり暑くなかったですが。(笑)

早速梱包をときましたが、これっていつもそうですけど、なかなか面倒な作業です。ゴミも沢山でるし。

緩衝材やら段ボールをすべて取り除いて、やっとブツが見えてきました。楽器のケースを開けて念入りにチェックしまして、どうやら無傷で到着したようで一安心。



でもリュートはこれからが大変です。弦を全て規定のピッチまで上げる前に、もしペグがスムーズに回らないようでしたら、それの調整をする必要があります。製作家によっては、全く調整不要のレベルまで調整してくれる人もいれば、未調整に近い人もいます。残念ながらスティーブンは後者。11コース20本のペグ調整って結構大変です。調整の結果1コースのペグがどうしてもスムーズに回らないので、後日スティーブンに代わりを送ってもらう予定です。

スティーブンの話では、弦を売っている業者(イギリスのことばで chap というようです)が休暇でずっと休みなので、手持ちの弦しか張れなかったとのこと。実際張ってある弦はいまひとつ。あらかじめ、弦を注文しておけばよかったです。

3、4コースのローポジションが少しビビるので、フレットも下4本を巻き替えました。ストラップは先日東急ハンズで皮を買ってきたのでそれで製作、これでやっとまともに音出しです。はい、リュートは面倒くさい楽器です。