リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

オペラ

2005年03月31日 02時33分01秒 | 日記
今日はチューリヒにオペラ見物です。
と言っても、リハーサルを見に行くのでただ見です。(笑)
今村さんが通奏低音で出演されるということで連絡をもらったんですが、演目がヘンデル作曲のジュリアス・シーザーでクレオパトラ役があの有名はチェチーリア・バルトリ!それにミンコスキー指揮で古楽オケだし、これは行かない手はありません。
始まりが10時半からというので、早々と8時過ぎの列車に乗りました。こういうときはちゃんと朝起きるんですね。時間も充分あるので駅からオペラ劇場まで歩いて行くことにしました。チューリヒはバーゼルより少し気温が低く、少し雨模様でもあったのですが、肌寒いというほどではなかったです。
オペラ劇場をぐるっとまわってやっと見つけた出演者入り口から入ろうとしましたら、受付のお姉さんが「ちょっと待った~」。(笑)
事情を説明したんですが、一般ピープルはだめの繰り返し。知っている人が中にいるのならここに呼べというので、今村さんの携帯に電話しましたが、通じません。仕方がないので、もう一度お姉さんと交渉。ここにいるのは確かなので、あなたに呼んでもらうしかないと言ったら、しぶしぶ内線で連絡してくれました。最初からそうしてくれたらいいのにね。で、しばらくしたら今村さんが来て無事中に入れました。
10時半を少し過ぎてリハーサルは始まりました。リハーサルと言っても楽団員が普段着なのと、たまに指揮者が止めることを除いたら歌手の衣装も舞台セットも本番といっしょです。
オケはヴァイオリン18人、ヴィオラ、チェロ6人、ファゴット、コントラバス3人、オーボエ4人(その内一人はリコーダー持ち替え)リコーダーひとり、ホルン4人、チェンバロ二人、そしてテオルボ一人という、古楽オケとしてはかなり大人数な方です。今村さんはいつものように、マティアス・デュルビー作のフレンチ・テオルボをニ短調調弦にした楽器を使っています。
かなりの人数なので、テオルボの音が通るかなと始めは少し心配だったですけど、他の通奏低音楽器がテオルボにかぶらないよう配慮していたこともあり、すごく音が通っていました。レシタティーヴォで役ごとにチェンバロとテオルボが交替していくところなんかは本当にテオルボの良さが際だっていました。
それにしてもバルトリは上手かったですよ。(他の歌手も上手かったですけどね)最後の方のすごい技巧的なアリアなんか終わったときに思わず拍手してしまいました。やはり伊達に高いギャラをとっているわけじゃないんですねぇ。
リハーサル終演後食堂で食事をしていましたら、バルトリがやってきました。おもわず記念写真を一緒にと思ったんですが、とりまきの人が沢山いたし、たぶん迷惑になるでしょうから、あきらめました。でもすぐそばにすわって、しっかりお顔を拝見させていただきましたが、小柄で大スターにしては質素な感じの方でした。
明日が総合リハーサルで、4月2日(土曜日)が初日だそうです。4月中に8回公演があるそうですから、この時期にチューリヒに来られるかたはおすすめですよ。

(写真の真ん中の丸いところにバルトリがいるんですけど、あまりのオーラの強さに光りだけしか写りませんでした。(ウソです。単にカメラの性能が悪いだけです))

間違い電話

2005年03月30日 00時32分48秒 | 日記
朝っぱらから電話です。
「はいはい、もしもし」
「おたく、・・・さんですか。(名前よく聞き取れなかった)」
「いえ、違いますが」
「あれ?電話番号は、061 361 44 43ですよね?」
「残念ながら違いますよ」
「そうですか、ごめんなさいね」
時間を見ると9時ちょっとすぎ。今週からサマータイムだから、実質8時です。(まだ体に時差が残っている)朝っぱらからは今回が初めてですけど、ちょくちょく間違い電話ってあるんですよね。それとよくあるのが、保険なんかのセールスです。ドイツ語が苦手だから英語でお願いしますって言うとあきらめるときと、しぶとく英語に切り替えして続けるのと2通りありますが、うっとおしいですね。日本だと慣れているので何も言わずに切ってしまいますが、こっちでもそろそろそのパターンで行こうかな。でもドイツ語だからとっさに雰囲気を察するのがむずかしいですけどね。
さて、今日はこのまま起きることにしましょう。せっかくモーニングコールしてくれたんだし。

2005年03月29日 02時30分14秒 | 日記
近所を歩いていて、ふと見上げると桜が咲いているではありませんか!まだ7分咲きって感じですけど、いつの間にこんなに咲いてたのかな。全然気が付きませんでした。
家の近所の桜は日本のとは品種が違うようで、華やかさは今ひとつです。それに日本の桜みたいに景気よくばっと散ってくれません。ひょっとしてあれは桜ではないのかな。おまけに散ったあとの葉がどすぐろい紫色になっていまイチ繊細さに欠けます。
私は桜の花が雨で散って、水たまりに花びらが敷き詰められるときが一番好きなんですけど、そういうのってなんか風情があると思いません?こっちはそんなに雨も降らないし、そういう風情はもともと望むべくもありませんね。

サマータイム

2005年03月28日 02時20分48秒 | 日記
今日からサマータイムです。昨夜ドイツの知り合いからメイルをもらって、危ういところで知りました。
去年、サマータイムが終わる日にたまたま演奏の仕事があって、約束の時間に行ったら、誰もいなくてあせったことがありました。実はこういうことにならないように、安い電波時計を買って使っていたんですが、そのときはもう壊れていましたんですね。それまではちゃんと電波を受信していたので、安心しきっていたんですけど、ホント役立たずめ。
幸いサマータイムが終わるときは1時間遅れになるので、1時間余分に待っただけで、仕事に差し支えはありませんでしたけど、もし今日仕事や約束があったら、結構あぶなかったですね。
ビニンゲンあたりを散歩していて、教会の時計を見たら、自分の時計とちゃんと1時間違っていました。なんか1時間損したみたいです。さっそく、時計を合わせておかなくては。

カルスキーさん

2005年03月27日 04時44分44秒 | 日記
散歩から戻る途中、家のアパートの門が見えてくるところあたりを歩いていると、何やら上の方から「コツコツ」という音がします。何かなと思って見上げてみると、隣に住んでいる画家(カルスキーさん)が手招きしています。そういや10日くらい前、スコラに行く時、上から私に声をかけて、絵ができたので見にこないかと誘ってくれたことがありました。その時は時間がなかったので、見ることはできませんでしたが、今回はちょうどいいタイミングです。
セキュリティを解除してもらって、彼の部屋に入れてもらうと、中は絵の具のにおいが充満。入ってすぐ左の壁にリュートを弾く女性の絵がありました。
「この弦のところはあなたのリュートを参考に描きましたよ」とカルスキーさん。
周りを見回すと、ほとんどの絵が女性と楽器というテーマでした。絵を画商が買いに来るとか個展を開くことはしないんですか、とたずねたら、そういうことをし出すと沢山人が来て落ち着いて絵を描いておれなくなるからしない、とのこと。うーん、見上げた芸術家魂!でもどうやって生活するのかな。

家庭集会

2005年03月26日 20時55分26秒 | 日記
朝、今村さんから電話があり、今日の夕方家庭集会にこないかと言う。ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、彼は敬虔なクリスチャンで、牧師さんを呼んで家庭で聖書勉強会を開いています。ときどきクリスチャンでもなんでもない私も呼ばれるのですが、私の場合はほとんどおいしい食事が目当てだったりして。(笑)で、モーリスの新作楽器を担いで5時の列車に乗り込みました。
12月に鉄道ダイヤが変わったせいか、オルテンでの接続が非常に便利になりまして、彼の住むオーベルブーフジーテンには30分以上早く到着しました。駅からあるいて10分ほどのところに彼の家があるんですが、彼の家の前でIさんにばったり。彼は、こちらに30年以上も住む日本人の方で、いままでも家庭集会でときどき会いましたが、もう1年以上も会ってなかったと思います。
去年の10月以来の今村家訪問です。すでにドイツのダルムシュタットから田辺牧師夫妻とそこでピアノを勉強していらっしゃる日本人学生のAさんが到着されていました。今日の勉強会は、今村夫妻、田辺牧師夫妻、Aさん、Iさんと私の7人です。
まず食事をしてから勉強会ですが、まだ食事の準備に時間がかかるそうなので、まずはリュートの品評会。彼に早速モーリスの楽器を弾いてもらいました。そのあとで彼が使っているゴットリープの楽器と弾きくらべです。今村さんいわく、「全然性格の違う楽器やなぁ」まさしくそのとおりです。軽めの音で明るい感じのゴットリープに対して、音に腰がありしっとりした味わいのモーリスです。とっかえひっかえお互いに弾きくらべをしているうちに、食事の用意もできました。
7人でグリルを囲みお肉やソーセージ、野菜などをいただきながら、いろいろな話に花が咲きました。おいしい食事と楽しいお話でうち解けてから、いよいよ聖書の勉強です。今日は、キリスト受難の日ということもあり、ルカ伝の32節から43節までを勉強しました。はじめに今村さんが聖書を読んで、そのあと田辺牧師にその部分についていろいろお話をしていただきました。クリスチャンではない私にも大変よくわかるお話でした。途中でメル・ギブソン監督のパッションの話しも出てきました。あの映画はちょうど1年くらい前にバーゼルで見ましたが、クリスチャンはあれを見てどういう感想を持つんだろうと言うことは少し興味がありましたが、牧師のことばからは、あの映画は本当にきちんとまじめに作られた映画なんだなということがよくわかりました。
2時間あまりの勉強会のあとはティータイム。今までもそうでしたけど、勉強会のあとは俗物の私でも少し敬虔な気持ちになってお茶を頂くことができます。お茶を頂いて、またリュート系のお話に花が咲きかけましたが、時計を見るともう11時近くになっていました。電車がなくなるといけないので、名残惜しくもおいとまさせていただきました。

春休み

2005年03月25日 23時28分43秒 | 日記
この間謝肉祭休みというのがあったばかりですけど、今日から春休み。日本の学校もぼちぼち春休みかな。明日は金曜日ですが、カールフライタークといいまして、何でもキリストの受難を記念した日らしいです。嘆きの金曜日とも言うそうです。去年もこの時期にはバッハの受難曲が何回も上演されました。去年はエマニュエルのヨハネ受難曲を含めると5回もヨハネ受難曲をこの時期に聴きました。今年はさすがに食傷気味なので聴きに行っていませんけど、たぶんマルティンス教会あたりでやっているんでしょうね。
夕べは遅くまで新しい楽器を愛でていましたが、今日もその続きです。(笑)弦を何本か別のに換えたり、新しいストラップを作ったりもしていました。前のデュルビー作の楽器とはかなりキャラクタの違う楽器ですので、曲を弾いても前とは弾き方が少し変わってしまいます。スコラから借りていた楽器にやっと慣れてきたところで、また楽器をかえることになり、頭の切り替えが大変ですね。
昨日モーリスの工房ではじめて弾いたときは、ブリッジ側の複弦の幅が広いので弾きにくかったのですけど、これはすぐに慣れました。複弦の幅を広くするのは、自分でわざわざ彼に頼んだことなんですが、一時はやめとけばよかったかなと思いました。でもすぐに慣れることができたのでよかったです。
さて、ぼちぼち夕食の時間ですが、今日は野菜も米もストックがありません。作った雑炊が残っていて夕食はそれで何とかなりますが、明日の分の食料はありません。確か明日はお店がみんな休みになるそうです。嘆きの金曜日にならないように、今日のうちに駅前のミグロに買い物にいってきます。

新しい楽器

2005年03月24日 07時50分20秒 | 日記
ついにMaurice Ottiger氏製作の新しい楽器と対面しました。今日はLes Paccotsの彼の工房におじゃましまして、「引き渡し式」です。
Chatel St Denisの駅付近はもう雪はほとんどなかったですが、(もちろん今バーゼルは春爛漫です)さすがに、そこから少し山手のLes Paccotsにはまだ雪が結構残っていました。彼の家に着くとまずコーヒーでもということで飲みながら、世間話しを。(本当はすぐに見たかったんですけど(笑))
そのあと、おもむろに新しい楽器とご対面です。とてもわくわくどきどきしましたねぇ。見合いすらせずいきなり結婚するときってこんな感じかな。(そういう経験はないですけど)
いやぁ、さすがにすばらしい仕上げの楽器です。音は腰がしっかりしていて、大変バランスがよろしい。もちろん寸分の狂いもないですから、プレイヤビリティも最高です。
一応、楽器に詳しい方のために簡単にスペックを。

弦長70.5cm(78.5cm)
13コース、リブ15枚、ティーフェンブルッカを元にしたオリジナルモデル。
重量は不明ですが、少し重め。
ボディの木は全てスイス産
指盤はココボロと黒檀の合わせ

楽器の写真は私のHPに近々掲載します。(出し惜しみするなって声が聞こえてきそうですが)

2005年03月23日 03時53分49秒 | 日記
ホンダの広告が出ていますね。新型らしいですけど、日本では何と言う名前かな。日本車はこちらでは大体違う名前になっていますね。

ホンダ・フィット→ジャズ
トヨタ・ヴィッツ→ヤリス
トヨタ・エスティマ→プレヴィア
トヨタ・イプサム→ピクニック(何か妙に軽い感じの名前ですね(笑))
ニッサン・マーチ→マイクラ(こっちではミクラと読むのかな?)

カローラはカローラのままですが、セダンはなくて、日本ではスパシオとランクスがカローラっていう名前の車になっています。プリウスはそのままですね。あとイギリスで生産しているアヴェンシスもアヴェンシスのままですね。あとスバルも時々見ますが、なんて名前だったかな?インプレッサは確かそのままだったような。

スイスは国産車がありませんので、いろんな国の車が走っています。一番多く見るのがドイツ車かな。あのちっこいスマートも派手な塗装で走り回っています。あれって、小さいくて目立たないから、目立つように派手な塗装をしてるんでしょうね。一種の安全装備みたいな。(笑)
あとフランスのプジョーとかイタリアのフィアットなんかも多いです。日本車もがんばっていますが、そう多い方ではないですね。日本ではさっぱりのヒュンダイなんかちょくちょく見ますし、そう、スズキやダイハツの軽自動車(たぶんエンジンは大きいと思うけど)も結構よく走ってますね。日本では大復活を遂げた日産車はなんか少ない感じです。カルロス・ゴーンさん、もっとがんばってね。(笑)

TOKUさん

2005年03月22日 03時36分11秒 | 日記
今日の夕方「スイス音楽紀行」というホームページを開いてらっしゃるTOKUさんがバーゼルを訪れてくれました。2005年2月10日にこのブログを見ていただき、コメントを寄せてくださいました。その最後の方に
「・・・よろしければ、取材させていただけませんか?すごく興味をそそられました。・・・」
とあり、3月にスイスにいらっしゃる旨が書かれていました。
TOKUさんは10月頃に出版予定の「スイス音楽探訪(仮題)」という本を執筆中で、それの取材とのことでした。
3月になっても何も連絡がないので、どうされたのかな、と思っていたら、2日くらい前に電話をいただきました。12日からこちらに来てらっしゃるとのこと。12日といえば春になる直前、その次の日からは突然春になりましたから、ほんとにいいときにいらっしゃいました。
今日の朝もう一度電話がありまして、私がスコラで用事があるので、それを済ませてから会いましょうということで、駅の南口に5時半待ち合わせと言うことに。
時間になって、南口に行きますと、お連れの方(お弟子さんだそうです)と一緒に待っていただいていました。はじめてお会いするTOKUさんこと徳備さんは大変恰幅のいい方で、東京で作曲関係のお仕事をされているそうです。
駅前のMr.Wonという例のアジア風レストランで一緒に食事をしながら「取材」を受けました。スイスで音楽を勉強している人の話を執筆中の本に書かれるそうで、私の話も少しはその中に入れてもらえそうです。本が出る10月が楽しみですね。