評価 (3点/5点満点)
介護で仕事を辞めてしまうと、介護する人の人生は大きく変わります。
この本は、将来ビジネスケアラー(働きながら介護する人)となる予備軍の方が仕事と介護をうまく両立させ、パフォーマンス低下および介護離職のリスクを下げるためのノウハウ・指針を提示します。
・ビジネスケアラーの中心となる現代の40~50代は、過去の40~50代とは異なり、未婚率も高く、兄弟姉妹が少ない。
・企業もまた、介護離職や介護によるパフォーマンスの低下を恐れている。
・親が認知症になる前に、家族信託などの対応をしておけばお金の問題は減らせる。
・認知症の在宅介護に苦しんでいるとするなら、小規模多機能型居宅介護を検討する。
親の介護は、子どもの人生が親の犠牲になるという話ではなく、親が子どもに与えてくれる重要な変化のチャンス。子どもに真の自立をもたらすものです。
ビジネスケアラー予備軍の方だけでなく、経営者、管理職、人事担当者も人的資本経営・健康経営の一環として、一緒に従業員の介護問題を考えましょう。
【my pick-up】
◎離職する人は介護に関する知識不足
すでに存在する、世界最高ともいわれる日本の介護保険制度の介護サービスを正しく活用すれば、介護離職は解決してしまう問題に過ぎません。多くの介護者が、自治体の介護窓口を利用していません。たくさんのビジネスケアラーが、おトクに使える介護サービスを知らないままに仕事を休み、大損をしているのです。介護のおトク情報を得る旅は、親の暮らしている市区町村の役所の受付で「介護の相談がしたいのですが」と言ってみることから始まります。自治体の介護窓口だけでなく、地域包括支援センターにも足を運んでみることも強くオススメします。「えっ、そんなサービスがあったの?」「えっ、そんな支援があったの?」という発見が、きっとあると思います。この背景には、自治体の相談窓口は、数年で部署異動をすることの多い公務員によって運営されているのに対して、地域包括支援センターの多くは、民間の信頼できる介護事業者に委託されていることが多いことがあります。
◎親と同居で認知症のリスクが増える「リロケーションダメージ」
高齢者にとって、住み慣れた環境を離れることは、認知症のリスクを高めてしまうという事実についても理解しておく必要があります。また、田舎にあった人間関係のネットワークがすべてなくなってしまうことの影響は、本人が想像している以上に大きなものだったりもします。リロケーションダメージは、高齢者により顕著に発生するのです。親本人は大丈夫だと言っても、医学的にはそれは正しくないという事実は、どうしても知っておく必要があるでしょう。ずっと一緒に暮らしていなかった親にとって実は、子ども以上に重要な人間関係が田舎にあったということを、それを失ってから知るのは厳しいものです。
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