仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書) 価格:¥ 798(税込) 発売日:2009-07-16 |
評価 (3点/5点満点)
フリージャーナリストでIT関連の取材を精力的に続けている佐々木俊尚さんが、新しいワークスタイル「ノマド」の実践法について解説します。
「ノマド」は直訳すれば「遊牧民」ですが、狭苦しいオフィスを出てさまざまな場所を移動しながら働いている人たちのことを言います。この数年の間にクラウドとスマートフォン、そしてブロードバンドとサードプレイスが出現し、オフィスに頼らなくても済むワークスタイルが現実のものとなってきました。
このノマドワーキングは最近注目されており、本ブログで11月11日に紹介した『「どこでもオフィス」仕事術』(中谷健一著・ダイヤモンド社)など関連書籍も出てきていますが、本書は国内において先駆けとも言えるものです。
海外ではイギリスの経済誌『エコノミスト』が2007年4月10日号に「ついにやってきたノマド時代」という特集を掲載しており、本書ではノマドワーキングに関するこれまでの歴史、さらには今後の更なる発展形としてのノマドライフスタイルの提唱などにも触れています。
【my pick-up】
◎「どこでもオフィス」の日
「どこでもオフィス」でスタッフが自分たちのやりやすいようにアテンションをコントロールして仕事をしていくと、誰も会社に不満を感じることはなくなっていきました。結局は会社に縛られているから不満を感じるのであって、チームのメンバーとしてお互いがつながり、自分のやり方でコラボレーションをしていれば、決してストレスは感じないということなのです。
◎個人のフラット化
「いつでも会社を辞めてやるよ」と思っていて、でも会社から「辞めないでほしい」と考えられているような会社員-これはまさにノマドワークスタイルそのものと言ってよいでしょう。
◎ドゥルーズ/ガタリの提唱したノマド
会社の呪縛から解き放たれた自由な生活の実現でもあります。出世や社内政治、上司へのへつらい、中間管理職の板挟み、そしてラッシュ通勤や出たくもない社内宴会などでウンザリする日々は終わり、自分の努力次第でさまざまな人とつながり、新たな出会いに感謝しながら刺激的な仕事を続けていく-そうしたノマド的な人生を拓いていくことができるのです。
◎「物理的に移動し続ける生活」の終わり
そのようなノマド時代においては、外出している時の方が、家族や仲間とのつながりを強く感じるようになり、結果として、ITのシステムが実現するノマドワークスタイルが、人々のつながりを以前よりも緊密にしていくようになります。ネットが人を孤独にするというのは、間違いだということがやっとわかってもらえるようになるわけです。
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