評価 (2点/5点満点)
この本は、1962年に光文社版の『読書術』として誕生し、その30年後に岩波版として刊行されたものです。ただし、そもそも「読書術」なるものが30年やそこらで簡単に変わるはずもないということで、本文は以前から一切書き足しされていません。
手当たり次第に本を読んで、長い時を過ごしてきたという作家の加藤周一さん(故人)が、本という相手に対して用いてきたあの手、この手を分かりやすく書いています。
何を読んだら良いかは一般論として成り立たないですが、どう読んだら良いかは一般論として成り立ちます。それが「読書術」です。
・読書というこんなに安くて便利な愉しみを知らぬ人がいるとすれば、その気の毒な人に同情しなければならない。
・ビジュアルな情報と言葉による情報とは、互いに他を補うので、一方が他方を駆逐するのではないし、一方が他方に代るものでもない。
・活字の時代の後にビジュアルの時代が来たのではなく、活字情報にビジュアルの情報が加わったというだけのこと。どちらも愉しめばよいので、どちらか一方だけを選ぶ必要は全くない。
・どういう対象についても本はたくさんあり、いもづる式に1冊また1冊といくらでも多くのことを知ることができる。読書の愉しみは無限。
・本をたくさん読むということは、日本語をたくさん読むということであり、日本語による表現の多様性、その美しさと魅力を知るということでもある。
「乱読」というと悪いように聞こえますが、なるべく数多くの本を読み方を変えて読んでいく。そこに愉しみを見出したいものです。
【my pick-up】
◎1日1冊主義は効果があるか
1日に1度、もう一人の人格との何時間かのつきあいは、私の人生に変化を与え、刺激を与え、たのしみを与えてくれます。
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