amazonへのリンクはこちら
評価 (3点/5点満点)
ゲームコンテンツ「アイドルマスター」の総合プロデューサーが、「自分には向いていない」と第一印象で思った仕事を受け、その後そういう思考で成果を上げてきたのか?
その答えはタイトルの「主人公思考」。つまり、仕事を自分事にするということです。
また、自分だけでなく、仕事に関わる仲間や部下にも、どう促せば自分事と思ってもらえるのかについても本書では述べられています。
「市場規模600億円の大ヒットコンテンツの総合プロデューサー」という肩書から、なんとなくギラギラした人物像を想像するかもしれません。
しかし、決して奢らず、謙虚。ブレない哲学は持っているけれど、他人に押し付けることはしない。そういった印象を読んで感じ取れます。
そして、「会社員」という生き方に誇りを持たせてくれるという意味でも、他に類を見ない内容ですね。
会社員だからできること(P.233)
・自分では考えられないスケールの仕事ができる
・一人ではできない体験ができる
・安定している
・孤独じゃない
この本で示している考え方は、どれも本質的なものばかり。ゲーム業界に限らず、一流の仕事を目指すすべての人の参考となるでしょう。
【my pick-up】
◎インプットの多さが作品づくりに活きる
クリエイターにとって、インプットは命。インプットが多ければ多いほど、作品づくりに活きる。経験上、それは間違いない気がしています。膨大なインプットがあると、その中から「成功法則」のようなものを導き出せるし、いくつものパターンを知っていると、このゲームではあの作品の手法を使ってみようか、と考えることもできる。根拠のない憶測ではなく、経験則から立てられる仮説が、今の仕事でも大いに活きています。
◎どんな場でも自分の意見を持つ
大事なのは、つねに「自分の意見」を持つことです。「お客様はこう言ってます。Aさんはこう言ってます、こんなデータもあります。客観的に見たら〇〇という結論が妥当だと思いますが、自分はこう思った。なので、○○の方向性でいきたいです」人の意見や集めた情報に終始するのではなく、自分はどう思ったのか、これからどうしていきたいと思っているのか、ここまでセットで伝えることが大事。そして、それをどんな場所でも、誰の前でも言えるようにすることです。たとえ大人数が出席する会議の場であろうと、社長や役員の前であろうと、堂々と自分の意見を言う。他の全員が反対している局面でも、同調圧力には屈しない。特に大きなプロジェクトを動かしていく上では、自分の中でブレない軸を持っておくことが求められます。
◎育ちたい人に「教える」ことはできる
いくらこちらが熱心に教えたところで、本人に「育ちたい」という意欲がなければ成長は難しい。あくまで聞かれたら教える、というスタンスです。「育つ」かどうかは、その後の本人にかかっています。僕自身、何十年と仕事をしてきたけれど、「この人に育てられた」と思ったことはないんですよね。ただ、「教えてもらったこと」はいっぱいある。それをきちんと受け取り、自分で考えながら行動を選択してきた。その結果、自分なりに育ったという感覚です。