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そよ風つうしん

小さな自然の発見をご紹介してきましたが、転居で環境が激変。内容を一部変更し日々の雑感を綴ったりもしています

風鐸の音を聞きたくて(その2)

2011年01月10日 | 風景写真 &葉っぱの姿
先日コメントを下さった「小坊主さん」は、ひどく風の強い日に、ここ興福寺南円堂で風鐸の鳴る音を聞かれたのだそうです。

けれど、ここの風鐸はなかなか音を聞かせてはくれない様子です。
それでも、興福寺の西側に位置しているので、夕映えの中に浮かぶシルエットは印象的だと書かれているブログがいくつかあったので、晴れていることだしと、この日の最後に訪ねてみることにしました。


暮れ方の冷え込みに、途中に出会う鹿の姿もチラホラです。
これは群れから離れて、エサを探している一頭の姿。



そして興福寺に到着。
車椅子でここまで来るのは、なかなか疲れましたが、押してくれている家族も、さぞしんどいことでしょう。

夕陽の中に立つ五重塔です。


この塔は、明治維新の後の廃仏毀釈の嵐に翻弄されて、売りにまで出されたとかで風鐸を失くしています。
一番下の屋根にのみ、わずかに姿をとどめていました。

二層目には吊り下げられていないのがお解りと思います。

激動の時代とは言え、悲しいことです。残っただけでも幸いであったのかも知れませんけれど・・・



さて、お目当ての南円堂です。
ちょうど夕陽が沈んでいくところでした。

一番最初の写真も、どうかもう一度ご覧下さいね。


少し大きくしてみます。

よく見ると、輪っかが少しゆるんでいますね。今のうちに修理しないのでしょうか?


法輪寺へ行った頃に比べると風も弱くなっていたので、ここでは風鐸の鳴る音はとうとう聞けませんでした。


さて、もう今日が暮れるという最後の光の中で、南円堂の屋根につけられている相輪の部分の先のほうの飾り「水煙」がシルエットになって、とてもきれいでした。
ここのは「宝珠水煙」と呼ばれるようです。




ここで日が暮れてしまったので、興福寺のほかの部分は拝観することが出来ませんでした。
また訪れる日は、私にはないかもしれません・・・




<風寒き夕映えの空に浮かびたる 
                 風鐸の姿 影絵の如し >
      


寒さの証拠

2011年01月07日 | 風景写真 &葉っぱの姿
この遠くに見える山は、たぶんもう京都だと思うのですが、よほど寒い時でないとこんなに白くならないんです。

一度も白くならないままに春を迎える時もあるくらいです。

それが昨日からこんなに・・・
枯葉の下や樹の洞の中で冬越しをしている昆虫や小動物たちも、寒いんでしょうね。



風鐸の音(ね)を聞きたくて(その1)

2011年01月05日 | 風景写真 &葉っぱの姿
              甃のうへ       三好達治

          あわれ花びらながれ
     
          おみなごに花びらながれ
     
          おみなごしめやかに語らいあゆみ
     
          うららかの跫(あし)音 空にながれ
     
          おりふしに瞳をあげて
     
          翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
     
          み寺の甍(いらか)みどりにうるおい
     
          廂(ひさし)々に
     
          風鐸(ふうたく)のすがたしずかなれば
     
          ひとりなる
     
          わが身の影をあゆまする甃のうえ

                      (詩集『測量船』から)


三好達治のこの詩を学校で習ったときから風鐸が好きになったという話は、以前にも書きました。
   


お寺や塔の屋根の軒隅木についている小さな釣鐘様の金具、風鐸。
これは単に飾り物であって、音が鳴るなんて・・・とずっと思い込んでいました。

ところが昨年の秋ある掲示板に、風の強い日に風鐸の鳴る音を聞いた・・・と知り合いの人がお書きになっているのを見つけました。

どんな音色なのかしら、ぜひ自分の耳で聞きたいものと思い、家族に頼んで年末に奈良へ行ってきました。
検索で色々調べてみると、奈良の法輪寺の三重塔なら風の日にはきっと聞けるということが解ったからです。


旅に出る前日、明日は風が吹いてくれますようにと一生懸命に祈っていたら、ちゃんと吹いてくれました!
とても寒かったけれど。


これが法輪寺の三重の塔の姿です。

(最初に書いた記事でリンクが間違っていました。小坊主さん、みなさん、申し訳ありませんでした)

各屋根に4つずつの風鐸が下がっています。

そしてさらに、塔の上部にある相輪の、法輪部分や水煙の下にも、小さなかわいらしい風鐸がたくさん付けられてあるのをみつけて、驚きました。
こんな所にまで有るとは想像していなかったからです!

もちろん高い所なので、肉眼では、どうもそれらしいということしか解りませんでしたが・・・後でお寺の方に確認したら風鐸であると解りました。


風鐸が鳴る仕組み

風鐸は、私達がよく知っている風鈴のように、ちいさな釣鐘状の鐸身のなかに打棒と呼ばれる十字型の木製や、ちょっとひねった形の金属製のものが吊り下げられて、さらにその先に風招(風鐸の下に見えている金属性のもの)が吊るされていて、それが風を受けて揺れると音をたてるという仕組みになっているそうです。


この三重塔は1944年に落雷によって全焼。
関係者のご苦労が実って再建されたのが1975年です。
まだ新しい塔なので、風鐸の状態も良くて、良い音色を聞かせてくれるとのことでした。

風鐸も、出来てから何百年もたつと傷みが激しく、外の部分を残して壊れるので、すごく古い物は鳴らなくなってしまうことが多いのだそうです。



塔の再建の苦労話や解説がこちらに詳しいです。



そして、風に揺れる風鐸の影です。



どんな音がしたかというと、表現が難しいのですがからん  からんと、ひらがなで小さく書くのがふさわしいような、ちょっと乾いた、しかし柔らかな音でした。



<年暮るる み寺の塔の風鐸の音色やさしくかすかに響く>

色褪せぬ落ち葉

2010年11月19日 | 風景写真 &葉っぱの姿
これはサクラの落ち葉です。

落ち葉にうっすらと氷が乗っています。

寒くなりましたが、まだ霜も雪も見ないのに、どうして?


ずっと私のブログを見てくださってる方は、もしかしたら思い出されましたか?
そうです、冷凍庫から取り出してきたばかりだからです!



これは 3年前の秋の色

長い眠りから覚めたというのに

ほとんどあの日のままの色


ああ、

想い出も 凍らせておくことが出来たらいいのに・・・






5年ぶりの枚方菊人形

2010年11月05日 | 風景写真 &葉っぱの姿
今年のテーマは「龍馬伝」です。

枚方パークへ行けば、たくさんの名場面が見られるのですが、この公園では「寺田屋騒動」の一場面と、龍馬とお龍の新婚旅行の場面が再現されていました。



写真は寺田屋騒動です。

向かって左端は、お登勢です。
驚いて、手にしていたお盆を取り落としそうになり、載せていた御銚子や盃が足元に落ちて、壊れています。

一番奥にいるのが、坂本龍馬。手にはピストルを持っています。


その前で両手を広げて龍馬をかばっているのが、お龍。
浴衣を着せていますが、さすがにこれは菊の花では作れなかったようです。でも、浴衣が菊の花柄ですね

右の二人は捕リ方です。



人形に取り付けてある菊はちゃんと根が付いていて、苔玉で水分を補給するようになっています。
なので、管理は大変そうですが、会期中はイキイキとしているというわけです!


人形の造り方など興味のある方はこちらでご覧下さい

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この公園の中には、枚方市が平和を願って造った「ヒラリヨンの鐘」というのがあります。





昭和14年3月1日に、枚方市禁野にあった陸軍の火薬庫が大爆発を起して、多くの死者が出たそうです。
それでその3月1日を平和の日と定め、色々な行事をおこないます。
そのときにも、このヒラリヨンの鐘が鳴らされます。

市の説明によれば、
>平和の鐘「ヒラリヨン」(カリヨン)は、21世紀の平和のシンボルとして、1997(平成9)年、市制50周年を記念して岡東中央公園に建設されました。
カリヨンとは、調律された鐘を複数組み合わせてメロディーを演奏する組み鐘のことで、市民公募により決定された愛称「ヒラリヨン」は、枚方とカリヨンの合成語です。
ヒラリヨンからは1日10回定時にメロディーが流れ、その美しい音色は人々に親しまれています。

鳴らされる時間に通りあわさないと音色は聞けないのですが、なかなかいい音ですよ♪





スミレの花咲く頃

2010年04月22日 | 風景写真 &葉っぱの姿
                 スミレはね

                 春の女神さまが歩いた

                 その足跡に咲くんですって♪


                 この写真を見ると

                 なんだか 楽しそうなリズムで咲いてるね

                 きっと

                 女神さまが たくさんやって来て

                 ここでダンスを踊られたんだと思うの

                 
                 ねえ

                 あなたも そう思うでしょう?

鬼瓦や飾り瓦って面白い!

2010年04月21日 | 風景写真 &葉っぱの姿
鬼瓦、厄除け、魔よけ、そして飾りも兼ねて、屋根の一番てっぺんに取り付けられている鬼の顔を形どった、瓦の仲間が面白いです。

鬼師または鬼板師という尊敬をこめた名称で呼ばれる専門の職人さんが、長い時間と、とんでもない手間をかけて作り上げます。

いまはもう、屋根に取り付けるお宅は少ないようで、一般には飾り物として販売されていますね。


上の写真のは、母の実家のお隣の屋根で、こちらを睨んでいました。
なんで、私を睨んでるの

かなり古いものと思われます。
本格的な造りですが、台風の被害でしょうか(昔は、大きな台風が何度も、この辺りを通過していたのです)向かって左の角(つの)の先が少し折れていて、惜しいです。


これも母の実家のご近所さんの屋根です。
でも、鬼の顔はしていませんね。もしかすると、真ん中の部分にもっと何かがあったのかも知れませんが、これも事故で無くなってしまったのかも?


こんなお宅もありました。

やたらとたくさん付いていますが、鬼の顔ではありません。


ちょっと拡大してみます。

瓦を受けていると飾りの部分がきれいですね。
きっと銅で出来ているのでしょう。



こちらは、以前にタヌキやトラッキーをお見せしたときに写してきた、滋賀県甲賀市信楽(しがらき)地区にあった古い民家の瓦です。

鬼の顔ではないですが、なかなか凝っています。
真ん中に橘は、このお宅の家紋でしょうか。
そして、雨樋のところの飾りもなかなかきれいです!


この近くの御宅にはこんなのが!!

大きな袋を肩に掛け~~大黒様ですね?
いかにも裕福そうな大きなお家でした。代々、大黒様のご加護があったものと思われますね。



最後は再び、鬼瓦で〆ましょう。

これは、私が住んでいる枚方市内の某お寺の屋根です。

本格的な鬼です!!


とまあ、もっと色々あるのでしょうが、私が見れる範囲の物ですから、こんな所です。
たくさん見てくださって、ありがとうございました。
お疲れさまでした

古い家の土蔵

2010年04月19日 | 風景写真 &葉っぱの姿
母の実家は、旧紀州街道沿いにあります。今も古い建物がたくさんあり、そのような方面に関心のある方には、楽しい所だと思います。

さて、土蔵です。
土蔵とは、四面を土や漆喰(しつくい)などで厚く塗り固めた建物で、昔の倉庫です。
倉庫と言っても単なる物入れではありません。
大事にしなければならないものを、大切に保存する所です。

なので、火事がとても恐ろしいのです。
昔の木造建築は、ひとたび火事になると燃え広がるのがとても早いです。

特に大切なものが入っている土蔵は、火が入ると大変です。

そこで、近所で火事が発生すると、出入りの左官屋さんが駆けつけて、土蔵の窓をピタリと閉めて(この写真は閉じている状態です)、窓の周りを漆喰で塗りこめてしまうのです。
いわゆる目張りですね。


窓の上には、雨よけや、火の子が降りかかるのを防ぐためでしょうか、漆喰のひさしがあり、両側を火除けのおまじないの波の模様が付いた肘木のようなもので支えています。



それともう一つ面白かったのはこれです。

屋根の先端、一般的には鬼瓦が付いている部分に、桃の実が飾られていました。

桃は、古来から厄除けのおまじないだったらしく、法隆寺の中の幾つかのお寺や、岡山の吉備津彦神社など、多くのお寺や寺院でも飾っている所があるようです。

こうして見ると、手を尽くし、念には念を入れて災厄から逃れようという、当時の建築家の気合のようなものを感じますね。


この母の実家の周辺は古いお宅が多いので、鬼瓦も面白いものがありました。
また水曜日にでも載せますので、見てくださいね。
信楽や枚方で写した面白いものも載せる予定です。

山笑う

2010年04月07日 | 風景写真 &葉っぱの姿
それはそうと、我が家のベランダからは小さな山が見えています。
その山肌に、今ごろの季節はこの写真のように、たくさんの満開の桜が見えるのです。

もっとはっきり写ればきれいなのですが、春のこととてこの程度しか見えなくて残念です。

そして私は・・・
山肌の桜の塊を見ていると、春先にワンコたちが冬毛から夏毛に変わるときの、体の表面の毛のふわふわした塊を思い出してしまうのです。

あの姿を想像して、もしかしたら山も、木が芽吹き花が咲き出して、こそばゆくなって、 それで笑うのかな? なんて思っちゃうのです

<満開の花を抱きて 山笑う>


手前に、左右に伸びているのは新しい高速道路です。
これが出来たのですっかり明るくなってしまいました。

そのせいで、遠くの暗い山裾を走る電車の窓の灯火が、するすると通り過ぎる、夢のような風景が見られなくなってしまいました。

一つずつ、私の楽しみがなくなっていきます、、、

水の春

2010年02月24日 | 風景写真 &葉っぱの姿
あたたかく柔らかな日差しの中をゆく水は、キラキラと輝いています。

春の季語の中で
「水ぬるむ」というのは、いかにも春の喜びがあふれていて、聞くだけで心が弾むようですね。
それにくらべて「水の春」というのは、あまり聞きなれないですが、これもまた優しさあふれる季語の一つと思います。



< 水の春 ゆれる落ち葉とドングリと >

去年の秋に川岸の木から落ちたどんぐりが、水の中に沈んだままで冬を越しました。

どんぐりが石に張り付いている落ち葉に話しかけています。

「落ち葉くん やっと少しだけ暖かくなったね」

「うん、光がまぶしいよ」

「僕たち、これからどこかへ行けるのかなあ?」

「そのうちにここのお掃除があるから、きっと外に出られるよ!」


そうなんです。 
この水路は時々水を止めて、お掃除します。
そのときに、溜まっている落ち葉と一緒に、どこかへ連れて行ってもらえるでしょう。





流れる水は、光とたわむれて、表情を変えてゆきます。

いちど、水の中から空を見上げてみたいものですね。



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