10月になってあちこちの田んぼで稲刈りが始まった。
コンバインが動いている田んぼを目指して自転車を走らせて声をかける。
「すみません、わらを少しいただけませんか?」
おう、持っていきなヨ。
請負で稲刈りをしているところ、すでに田んぼごと稲わらを売る契約をしているところなど一部の例外を除いて、たいていのところでは気軽に譲ってもらえる。
*自転車で声をかけるから、たいした量でもあるまいと、気軽に譲ってもらえるが 軽トラで行ってわらを譲って欲しいなどと言えば、どれくらい持って行かれるかと警戒をされてしまうだろう。
この時期は毎年こうして自転車で何度も田んぼと菜園の間を往復して、あちこちの田んぼから稲わらをもらって菜園に運び込む。
一部のわらは11月に世田谷から長芋の収穫体験にやって来るボーイスカウトの子どもたちの焼き芋作りの焚き火となり、出来た灰はカリ肥料として利用する。
また稲わらは冬越しの野菜や花の風避け、敷きわらにもなり、秋にはかかし作りの材料にもなる。
最後は堆肥となって余すところもなく利用するために、この10月のうちにわらを集めて溜込むのに忙しい。
金魚草、ゴテチアなどの栽培予定地の北側に作った冊に稲わらを吊るして風避けにする。
品の良い濃いエンジ色をした今年の新色のコスモスと稲わらの取り合わせは貴婦人と野良者といったミスマッチの趣もあるが、なかなか風情のある風景でもある。