語呂が悪いから、タイトルには70の手習いとしたが、正確に言うと77歳の手習いである。
私もパソコンを使いだしてもう20数年になるが、当時はイラストレーターという職業ながら、お絵かきソフトで絵を描くことはなかった。
今更ながら、この歳になってお絵かきソフトを使ってみようと思ったのは、やはり時流に遅れまいとすることより、そんなことをして遊んでみたい・・・といった気持ちのゆとりのようなものである。
フリーソフトのGIMPをダウンロードをしてみた。
ちょっと気の利いた今どきの中学生でもこれで絵を描いているのであろうが、高齢者の私にはこの使い方が皆目わからない。
私には線描きからパソコンで描くのは到底無理だから、冒頭のカヌーの絵は昔取った杵柄とやらで手描きの絵をスキャナーで取り込んだものだが、ベタ塗りの彩色ならソフトを使った方が早そうだ思っていた。
バケツのツールで日焼けをしたO氏の肌色を流し込むと、面白いように顔も手も足も一瞬で色が着いた。
・・・と思ったのは間違いで、黒い線の際にかすかな白い部分が残る。
画像をアップしてみると、原画では黒い線だけで描いたつもりの絵だったが、線の周囲のタッチのカスレなどは微妙なグレーゾーンとなって残ってしまっていた。
夜中の作業で、電話で尋ねる人もなく、とりあえずドットの一つ一つをブラシツールで肌の色に置き換えていく。
数時間に及ぶ作業で、投げ出したくなるがここは執念で仕上げた。
夜が明けて、近所のデザイナーに訊いてみると、レイヤーを使えばいいんだと教えられたが、電話でレイヤーの使い方を習うには私の技量が幼稚過ぎるので、やむなくここは時間がかかってもドットつぶし作戦に 徹することにした。
しかし、しかしだ。
こうして執念で仕上げたイラストも、出来上がってみるとなんと上の絵のように、小さな小さな絵になってしまっていた。
なぜだ・・・!
パソコンの先生に通信教育(電話)で指導を仰ぐと・・・。
それは最初に仕上がりサイズの設定をしておかなかったせいで、今から直しようはないから、また最初からやり直しと冷たく言われてしまった。
ここで折れてしまっては、ここまでの苦労は何だったのかということになるので、気を取り直して再挑戦・・・あのドットつぶしの悪夢の再来だった。
そして数日後、ついにやった!
ついに克服をしたぞ。
そこへ今度はO氏からメールが入り、カヌーの絵が出来上がったら、もう一枚ヨットの絵も描いてほしいという。
今度はパソコンの先生の所に行って、レイヤーの使い方を習ってから描くことにしたが、今度も白黒の原画だけは先に手描きで仕上げておくことにした。