我輩は猫である。
名前はあるが、もーさんは我輩の名前を知らない。
首輪をつけているからどこかの飼い猫だという認識はあるようだが、どこの猫だかはさしたる興味はないようだ。
我輩はもーさんの畑を散歩のコースにしているが、私を見かけても追い立てるようなことはしないが、エサをくれたり遊んでくれたりするわけでもない。
先日もーさんの野良仲間との会話に聞き耳を立てていると「あのホルスタインが・・・」私のいる方角をアゴをしゃくって示しながら・・・畑にネズミがいるようだから・・・などという話の内容から察すると、どうやらホルスタインというのは我輩のことらしい。
言われてみて、我輩は自分の毛色が乳牛のホルスタインと同じだと気がついたが、我輩の親は乳牛ではなく、やはり同じ白と黒のまだらな猫だったと記憶している。
最近になって、我輩の散歩コースにもう一匹のホルスタインじゃあなかった猫がやって来るようになったが、これもホルスタイン柄で、なぜかこの畑が気に入っているようである。
この畑がなぜ気分が落ち着くのかなぁ・・・、ふと見上げると、JR相模線(単線)をはさんで線路の向こう側には牛乳会社の工場があった。
やはり、俺たちのどこかにホルスタインのDNAが混じっているようだ。