日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「朝、起きて、いつの間にか、時間が過ぎて、お昼になって、学校へ行く時間になってしまった…」。

2013-06-11 08:34:24 | 日本語の授業
 曇り。湿度はまだ50%くらいというところでしょうか。まだ、全然、梅雨時といわれる頃の湿度ではありません。しかしながら、徐々に台風3号の影響は出てきているようで、アジサイの花色が心なしか、色めいてきたような…。

 とはいえ、梅雨時に、やっと台風のおかげで、こんなお天気になるとは…。それに、確か先週の予報では、今週はもっと気温が高かったような気がするのですが。梅雨時の暑さを「ムシムシする」と言うなんて教えていましたから、学生は、こんな涼しさを「そうか。これが、ムシムシかあ」なんて思っているかもしれません。誤解だあ。

 こんなブツブツも、ことお天気に関する限り許してもらえるような…。こう言ってしまうと、「そんなことはない、できれば、ブツブツ文句なんて言わないでほしい。そうでなくても外れて、気に病んでいるんだから」と反論されそうな気もするのですが、まあ、何と言っても、お天気おじさんおばさんお姉さんお兄さんは優しい人達ですから、人々のこんな愚痴にもにこやかに耐えてくれることでしょう。

 さて、学校です。

 四月生も、来日後、既に二ヶ月が過ぎ、だんだん彼らの母国での日常が、顔を覗かせてくるようになりました。「朝、何時に起きますか。それから、何をしますか」「授業が始まるのは、1時15分からですね。それまで何をしていますか」みたいなことを、適当に聞いていくと、朝起きてからが、モヤモヤと靄の中に閉じこめられているのです。

 つまり、時間は5時間くらいはあるけれども、シャワーを浴びたり、御飯を作ったり、適当に何かをして、結局何をしたかと聞かれれば、何もない…のです。いえいえ、いろいろなことをしてはいます。けれども、きっと、母国でもそうだったのでしょう。朝起きたのはいいけれど、いつの間にか時間が過ぎてしまい、あっという間に学校へ行く時間になってしまう。それでも、メリハリがつくことはいいことで、「さあ、学校へ行こう」で、元気になり(つまり、やることができた)、そして学校へ行き、学校では言われたように口を動かし、友達と話し、終わってから家に帰る。そして、アルバイトがなければ、そのまま、いつの間にか時間が過ぎて、一日が終わり…結局、宿題をする時間は、「ありませんでした」と、そこだけはきっぱりと言える…ような生活が終わってしまうのです。

 これが、半年ほども経つと、レストランなどのアルバイトができますから、本当に時間がなくなってきますが。今の「Bクラス」の学生(来日後1年ほどです)も、最初は日本語が下手ですから、友人に紹介されても、面接で落ちてしまうような状態だったのですが、それが、友人が働いている所でも働けるようになりますと、途端に忙しくなってくるのです。それまでのタラタラが嘘のように。

 若いから、あまり何とも思っていないようですが、自転車で40分くらいはザラで、1時間ほどもかかるところなんてのもありました。この辺りは山を切り崩したような所ではありませんから、比較的平らなのですが、それでも途中にはかなりの坂があったりします。それを週に四回ほども往復したりするのですから、それだけでも疲れてしまいそうです。

 こうなってきますと、時間がいつの間にか過ぎてしまったというのも頷けるのです。だって本当にそうであろうと思われますもの。寮に帰って御飯を食べて、ホッとして、寝て、あっという間に時間が経って、また学校へ行って、それから、寮に帰って、アルバイトに行って…。時間がないというのもわかります。彼らは日本に来て初めて時間に限界があるということに気がついたのではないでしょうか。

 ただ、働くことは辛くとも、その結果として、それに見合った給料が入ってくれば、達成感があるでしょうね。働いたら、働いただけのものを得ることができる、これがいいのです。
 
 そうは言いましても、これも日本語力が関係してきます。まず「聞く」「話す」ができなければ、レストランなどの飲食業は無理ですもの。コンビニなどでは「読む」力も必要になってきます。経済や経営をやりたいという学生には、できれば、日本語学校にいる間から、こういうところでアルバイトをして経験を積んでもらいたいのですが、スリランカの学生達にはそれができても、ベトナムからの学生達には、これができないようなのです。

 たいてい、工場の方に流れてしまいます。それもベトナム人が多くいる工場の方にです。さすれば、日本語を使う必要はありませんから、学校で学んだ日本語を使う機会がなくなってしまいます。ということは、何のために日本へ来て日本語の勉強をしているのかわからないということになる。勉強をするために来たのなら、やはり最初の半年は無理でも、三ヶ月ほどは、頑張って勉強に専念してほしいものです。この最初の半年ほどが、後のアルバイトなどにも影響していくのですから。

日々是好日
コメント
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