日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「漢字のテスト」。

2011-12-09 10:17:55 | 日本語の授業
 雨。今朝は、氷雨がしとしとと降っています。

 「こういう(しとしと雨)のは、雨のうちには入らねえ」と、傘なしで飛び出そうという、スコールの世界から来た南国の人たちも、一度、この雨に打たれてみれば、「あわわわわ」と、慌てて部屋へ戻り、傘を持ち出してくることでしょう。冷たい雨ですから。

 今日は、今年最後の教室での授業。最初に「お正月」について、次は、「ディズニー映画」第二弾、と言いましても、二年おきに見せている同じものなのですが、そして最後は、休み中の注意並びに12日のチェックです。

 12日のことですが、「舞浜駅」まで来ることができれば、そこには既に教員が待っていますから、「シー」へのミッキーマウス電車に乗れば、終わりなのですが、「Dクラス」の女子学生が一人、東京都内から来ているのですよね。彼女が無事に「舞浜」まで来られるかどうかが、少々心配なのです、係の教員曰く。

 あとは、大半が「ABクラス」の学生たちと同じ行動をとりますから、安心していられるのですが。

 「行徳」という町では、自転車に乗れないと、随分、不便な生活を強いられてしまいます。狭い街ですが、学生たちはアルバイトが決まるや否や、急に分刻みの行動をしなければならなくなるのです。アルバイトに行く時も、学校へ行く時もそうです。来日後、三四ヶ月までは(日本語があまりできないので)、工場のアルバイトくらいしかできないのですが。

 さて、学校です。
 昨日、最後ですので、「Dクラス」の学生たちに「1課から25課」までのテストをしました。同時に漢字テスト(三級から20字、四級から40問ほど)をしたのですが、彼らの頭の中には、「漢字、漢字」と漢字テストのことしか残っていなかったようで、全部が終わってから「先生、先生は昨日、漢字テストのことしか言わなかった」と恨まれてしまいました。

 しかも、漢字テストは、「初級Ⅰ」のテストが終わってからでしたから、せっかく覚えていた漢字を、(その前のテストで)きれいさっぱりと忘れてしまっていた…と言う人も何人かいたようです。前の10字は書けても、後半分が空白のままなのです。ちょっとかわいそうだったような気もしましたが、これも仕方がないか…。

 人というものは、どうにか手が届きそうだと感じられれば、頑張ることができても、そうでなければ、端っから、見ようとすらしないものなのでしょう。それでも(不可能と思われても)コツコツと(その夢に向かって)頑張ることの出来る人は、ある意味で、天才以上の強さと能力を持った人なのではないかと思ってしまいます。

 卑近な話ですが、漢字の習得において、(初級では)その限界が、漢字100字ほどなのかもしれません。もちろん、最初から100字というわけではありません。毎日7,8字ずつ書いていき、そして20字貯まったらテスト、その繰り返しをしてです。

 これを、三級までとばしていって、その速度についていくことができるというのは、それだけでも根性と見込み有りということになっりいます。教えながら、まだまだついてこられるかな、もうそろそろ音を上げるかなと学生たちの様子を見ながら、練習をさせているのですが。

 ただ日本語において、漢字とは、それだけを覚えればいいというものではなく、一つの漢字に幾通りもの読み方があるので、「漢字(字の形)を覚えた、さあ上がり」ということにはならないのです。高校生や社会人に要求されるものではなく、小学生や中学生くらいのものにおいても、読みを覚えるというのは、かなり難しいことです。

 つまり、その漢字の「意味」がある程度掴めていないと、和語の言い方にその漢字をあてはめていくという、そのやり方をしている思考回路が読み解けないのです。一度それができてしまえば、後はそれほど難しいことではないのですが。

 最近「Dクラス」では一つの山を越えられた人が何名か出てきたような気がします。反対に滑り落ちてしまった人もいるようですが。とはいえ、これとても、幾度か繰り返せば、最後には乗り越えられることなのですから、結局は、「コツコツ」さんの勝ちなのです。

 すべからく、人生というものは、そうなのでしょうが。

日々是好日
コメント
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