ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

第18回 Brokenwood@「キャッチ The 生産者」

2009-01-19 15:20:59 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2006年1月11日)

第18回  Iain Riggs  <Brokenwood>

オーストラリアのワイン生産地、南オーストラリア州(SA)のハンター・ヴァレーにあるワイナリー『ブロークンウッド』
今回のゲストのイアン・リッグスさんは、ブロークンウッドのオーナーの一人で、かつチーフ・ワインメーカーも務めています。



<Iain Riggs>
1955年、南オーストラリア州のBurra出まれ。 ローズワーシー大学卒業。
マクラレーン・ヴェールのBleasdaleワイナリー、Hazelmereワイナリーを経て、1982年にブロークンウッドに着任。
現在、ブロークンウッドのマネージング・ディレクター兼チーフ・ワインメーカーで、オーナーの一人 。
また、ハンター・ヴァレー・ワインショーの議長やその他のアワードの審査員なども務めている。


白ワインのスペシャリストからシラーズのスペシャリストへ

イアンさんが入る前まで、ブロークンウッドは、オーナーが趣味で片手間にやっているような、ちっぽけなワイナリーで、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズの赤ワインのみを生産していました。

ところが、「白ワインもつくってみたい」というオーナーの願いから、白ワインづくりで名を馳せていたイアンさんに白羽の矢が当たり、1982年、イアンさんはブロークンウッドのチーフ・ワインメーカーとして着任。
そしてこの年、ちょうど新しいワイナリーも完成し、イアンさんを中心とする"新ブロークンウッド"がスタートすることに。

イアンさんの活躍の成果はすぐに現れ、翌1983年の生産は、赤ワインが30%、白ワインが70%と、いきなり白ワイン優勢のワイナリーへと転換しました。
現在も白ワインは、セミヨン、シャルドネ、ピノ・グリ、ヴィオニエ、リースリングと、幅広く生産しています。

ですが、現在のブロークンウッドを有名にしているのは、実は赤ワインのシラーズ
イアンさんはシラーズのスペシャリストでもあるのです。





Q.セミヨンは、ボルドーではソーヴィニヨン・ブランとブレンドした辛口に、また、ソーテルヌでは甘口ワインに使われていますが、ブロークンウッドのセミヨンのスタイルは?
A.我々のセミヨンは辛口スタイルで、ボディはあくまでもライトに仕上げています。フレッシュなシトラスと花の香りがあり、酸が生き生きとし、味わいもフレッシュで、アルコール度数も低めです(10.5%)。

ハンター・ヴァレーは高温多湿の地として知られています。つまり、ブドウにとってはあまり良い条件ではないんです。そこで、なるべく早めに収穫をするようにして、フレッシュさが損なわれないようにしています。

Q.ブロークンウッドのリースリングのスタイルは?
A.オーストラリアで辛口のリースリングを生産しているワイナリーは、非常に多くありますが、当社では、リースリングは甘口タイプのみを生産しています。
マクラレーン・ヴェールのジェルカ・ヴィンヤードという単一畑のもので、収穫は6月に行ないます。2004年は貴腐菌が少し付き、大変良いものができました。

Q.イアンさんはシラーズのスペシャリストということですが、ブロークンウッドのシラーズには、どのようなものがありますか?
A.当社を代表する、つまりフラグシップとなるワインは、"Graveyard Vinyard"(グレーヴヤード・ヴィンヤード)です。
畑はニューサウスウェールズ(NSW)のハンター・ヴァレーにあります。グレーヴヤードの樹齢の若いブドウ"Baby Graveyard"からのワインも少しつくっています。

ハンター・ヴァレーでは他に、単一畑"Mistress Block"と、"Hunter Valley Shiraz"があり、SAのマクラレーン・ヴェールでは、単一畑"Rayner "Graveyard Vinyard""Wade Vinyard Block2 Vinyard"があります。

他に、マクラレーン・ヴェールとパサウェイのブドウをブレンドした"Brokenwood Shiraz(McLaren Vale/Padthaway)"があり、広い範囲の土地でシラーズをつくっています。

Q.フラグシップワインについて詳しく教えて下さい。
A.先ほどお話した"Graveyard Vineyard Shiraz"が、当社のフラグシップワインです。
ブロークンウッドが設立された1970年、ハンター・ヴァレーのグレーヴヤード・ヴィンヤードにシラーズを植えました。
重たい粘土質土壌のため、自然と収穫量も低く抑えられてしまう畑ですが、そのおかげで、凝縮感のあるブドウが得られます。
現在は、グレーヴヤードにはシラーズの他にシャルドネも植え、単一畑の"Graveyard Vineyard Chardonnay"としてリリースしています。

Q.マクラレーン・ヴェール(SA)とハンター・ヴァレー(NSW)のシラーズの違いは?
A.マクラレーン・ヴェールのシラーズの特徴は、果実味の甘さにあります。そのため、樽はアメリカンオークを使い、果実味を生かすようにしています。
ハンター・ヴァレーの方は、マクラレーン・ヴェールよりも果実味が抑えられたキャラクターですので、熟成樽はアメリカンオークとフレンチオークの両方を使っています。

Q.ブロークンウッドのワインには全てスクリューキャップが採用されているようですが?
A.はい、高級レンジのワインも含め、全てスクリューキャップを採用しています。というのも、ワインをベストな状態で飲んでいただくには、スクリューキャップこそ最適な栓である、ということを確信しているからです。コルクによるダメージを受けることはありませんし、新鮮さを保てますから。




<テイスティングしたワイン>

Brokenwood Semillon 2005
グリーンがかった透明ボトルに入れられ、見るからに爽やか!口にすると、とてもフレッシュ。最初は刺激的だった酸が、飲んでいるうちに落ち着き、骨格のある酸に変化します。
「2005年はとても強い年で、フルーツのニュアンスがよく出ています。料理を合わせるのなら、オイスター(牡蠣)がピッタリ。ワインがフレッシュなので、フレッシュな味わいの料理や食材に最適ですよ」とイアンさん。アルコール度数10.5%。

Brokenwood Shiraz (McLaren Vale / Padthaway) 2001
香りはおとなしめで、味わいもピュアできれいなタイプのシラーズ。ソフトで甘い口当たりですが、よく凝縮されています。
「2001年はとても良い果実ができました。収穫も多かった年でしたが、10年は持つワインに仕上がっています」(イアンさん)。アルコール度数は13.5%。

Brokenwood Hunter Valley Shiraz 2003
樹齢10年。涼しげな香りで、まだ少々タンニンが若く、暴れている感じがありますが、もう少し落ち着くと、ちょうどいい飲み頃になるでしょう。アルコール度数は13.0%。
「2003年はとても暑い年でした。このワインは、フレンチとアメリカンオークを50%ずつ使って熟成させています。ラム肉やロブスター料理に合わせてみてください」(イアンさん)。

Brokenwood Wade Block 2 Vineyard Shiraz 2003
とても深い色合いで、甘さと凝縮感があります。アルコール度数は14.5%と高め。
「よりリッチで、ダークチョコやチェリーリキュールのニュアンスが感じられます。アルコール度数が高いのに、アメリカンオークを使っているため(19ヶ月)にそれが和らげられ、あまりアルコールを感じないと思います。料理はオーソ・ブッコ(牛スネ肉の煮込み)などがオススメ」(イアンさん)。

Brokenwood Graveyard Vineyard Shiraz 2003
ブロークンウッドのフラグシップワイン。スパイシーで、レッドチェリーのニュアンスがあり、酸も非常に豊かで、優美さも漂います。アルコール度数は13.5%。「このグレーヴヤードのシラーズは、デカンター誌で金賞を受賞するなど、国際的に非常に高い評価をいただいています。嬉しいですね」(イアンさん)。

Brokenwood Jelka Riesling (botrytis affected) 2004
マクラレーン・ヴェールのジェルカ・ヴィンヤードから生まれた、甘口のリースリング。深いハチミツ色で、アプリコットのような甘い香りがあります。口当たりはなめらかで、ふっくらとした甘さもたっぷりなのに、酸のボリュームあるので、バランスもグッド。食事の最後にこういうワインを口にすると、ほっとします。アルコール度数は10.5%。
「この年は少し貴腐が付きました。チーズなどをつまみながら飲んでください。デザートのタルトタタン(リンゴの焼き菓子)にも合いますよ」(イアンさん)。



スクリューキャップ

今回テイスティングしたワインは、全てスクリューキャップが採用されていました。このところ、オーストラリアやニュージーランドなどを中心に、スクリューキャップを選択する生産者が多くなってきました。
中には、"流行"だからと、ただ真似ているだけのところもあるかもしれませんが、ブロークンウッドでは、きちんとした理念のもと、高級レンジを含めた全てのワインにスクリューキャップを採用しています。
ブロークンウッドのワインに共通して感じるエレガントできれいなスタイルは、スクリューキャップだからこそ、よりそれが具現されているのかもしれません。

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インタビューを終えて

白ワインのスペシャリストとしてブロークンウッドに着任したはずなのに、いつのまにか、シラーズでも大々的な評判を得てしまったイアンさん。

たしかに、オーストラリアではシラーズの存在を無視することはできません。
ですが、単なる"オーストラリアのシラーズ"ではなく、それぞれの土地の個性を生かし、単体で、また、いくつかの土地を組み合わせたシラーズを生み出している点が、ブロークンウッドの特徴です。

しかも、「これでもか!」という強烈なスパイシーさや力強さを前面に出しているワインとは一線を画し、洗練されたエレガントさが備わっています
だから、いつまで飲んでいても飲み疲れないし、料理とのマリアージュの可能性も広げてくれるのでしょう。

ブロークンウッドのワインは、今までは日本ではほとんどお目にかかれませんでしたが、いよいよ日本に上陸することが決まりました



フラグシップのグレーヴヤードのワインは少々お値段が張りますが、オーストラリアでも指折りの品質を誇るワインを、ぜひ一度、試してみてはいかが?

*ブロークンウッドのホームページ  http://www.brokenwood.com.au/              

(取材協力: ミナト・ワイン・インポート)

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「ルナティック神楽坂」で食事♪

2009-01-18 09:48:23 | レストラン&店
昨日から紹介している 「ルナティック神楽坂」 でいただいたお料理です。

ほとんどの料理は「通常サイズ」か「Sサイズ」が選べます。
今回は2人なので、SサイズがあるものはSをチョイスしました。




ズワイガニのトマトゼリー

ちょっと酸味のきいた柔らかいジェリーの中にズワイガニの身が入っている小さな一皿。ジェリーの口当たりがよく、食欲を刺激してくれます。



15種類の野菜サラダ

このお皿もSサイズですが、かなりのボリュームがあり、これは本当に嬉しい限り。しかも野菜の色も味も濃く、実に美味しい!
これは毎回注文したい!と思ったサラダでした。



北海道産のホタテとトコブシのソテー バーニャカウダソース

なんともゼイタクな素材を使った(しかも新鮮!)一皿。
キリリと酸が爽やかな、サッパリ系の白ワインに合わせたい!


豚足のテリーヌ パートブリック揚げ

コラーゲンたっぷりの豚足をパートブリックで包んで揚げています。
メニューにはパン粉でカツレツのように揚げるとあったのですが、その日のシェフの気分で?今回はパートブリックの包み揚げになりました。



パートブリックの中には豚足がゴロゴロ 
 



タパスの一種?
薄力粉で作ったパンの中にトマトソースが入っています。



メニューにはパスタやリゾット魚や肉のメイン料理もありますが、以上を食べたらもうお腹がいっぱいで、今回はもうここでギブアップ。
ただ、ワインはもう少し飲みたいので、チーズをチョイスすることに。



チーズ左から、タレッジョ、ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ、ブリア・サバラン

タレッジョ
伊・ロンバルディア。牛乳。ウオッシュチーズとしては誰でも食べやすいタイプかもしれません。クリーミーでねっとりとし、コクがあります。

ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ 
伊・ピエモンテ。山羊乳のシェーブルで、かなり乾いてきたセミハード状態。
シェーブルっぽさと、コクのある濃厚な味わいが楽しめました。

ブリア・サバラン
仏・ノルマンディー。牛乳にクリームを添加した白カビタイプ。
「美味礼賛」の著者ブリア・サバランの名前をとった有名チーズ。
今回のチーズは非常にクリーミーで、ねっとり感がありました。



デザートは・・・と悩みましたが、せっかくなので(お腹いっぱいといいつつ)コチラを注文。


(左)マスカルポーネのロールケーキ   (右)バウンドケーキ

どちらもティータイム向けのガツンとしたケーキですが、お腹はいっぱいでも、別腹に入りました(笑)
特に、右のパウンドケーキは、しっとり&ずっしり&キメ細かいタイプで、まさに私好み~



ワインといい、料理といい、本当に今回は満足でした。
ごちそうさまでした&お世話になりました!

また次回、今度もルナティックナイトを狙って(笑)、お邪魔したいと思っています。

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ルナティック神楽坂

http://r.gnavi.co.jp/a927702/

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「ルナティック神楽坂」でワイン♪

2009-01-17 10:45:01 | レストラン&店
以前、九段下にあった好きなお店(ラ・フェーヴ)が神楽坂に移転したというご案内はいただいていたものの、なかなか行く機会がなく、あ~早く行かねば!と気を揉んでいたのですが、
今回「私のワインライフ」さんのインタビュー場所に指定させていただき、ようやくお邪魔することができました!



ここのA支配人のブログを見ると、お邪魔する日はちょうど
満月の夜のイベント「ルナティック・ナイト」が開催されるとのこと

今回は「700円までのグラスワインが500円で飲める」という超オトクな企画でしたが、先月はグラスワインがすべてマグナムボトルからサービスされるという「マグナムナイト」だったそうで(普段では体験できないものをこのチャンスに!というA支配人の心配り)、それも魅力的ですね♪



さて、グラスワインリストを見ると、泡1種類、白9種類、赤9種類と豊富にあり、これは前の「ラ・ヴェーヴ」の頃から変わらない充実ぶりで、フランスとイタリアの自然派のものが多く揃っています。

嬉しいことに、「3杯で2100円」というグラスワインセットも健在でした

「おひとりさま」でも、このグラスワイン3杯セットがあれば、ボトルは開けられなくても充分楽しめます。

ただ、グラスワインが1杯500円~のルナティックナイトの時は、セットに関係なく、さらにとお得に飲めてしまいますので、本当に素晴らしいグラスワインサービス企画です!



前置きが長くなりましたが、私が今回いただいたグラスワインは以下の5種です。


Bianco dei Muni 2006 Piccinin Daniele (Veneto, Italy)

シャルドネ80%と、20%のDurella(デュッレラ)のブレンドの白ワインで、色が琥珀色に近く、味わいはちょっとシェリーぽい感じもします。
デュッレラは酸が特徴ということですが、シャルドネに混ぜたことで、もたつく感じを解消しているように思います。



Pinot Grigio 2006 Ronco Severo (Friuli, Italy)

白ワインのくせに、ロゼワインかと思うようなサーモンオレンジ色。
ピノ・グリは果皮に色がついているため、このワインのようにマセラシオンすると色素が出てきますが、それにしても凄い色。
口当たりはやさしくなめらかで、まろみがあり、味わいはナチュラルです。



窓辺 2007 四恩醸造株式会社 (山梨市牧丘町、山梨県)

2007年設立の若い「シオンワイナリー」は気になっていました。
が、すぐに完売するらしく、なかなか飲むチャンスがなく、ここで初対面。
メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨンブレンド。植物ぽさがちょっと目立つ感じの若く軽い味わいで、今の段階では少しバランスが微妙に感じました。500円。



Bourgogne Pinot Noir 2006 Isabelle et Denis Pommier
(Bourgogne, France)

シャブリの生産者のつくるピノ・ノワールの赤ワイン。
軽いチャーミングな味わいでした。これも500円。



Vin de Pays du Loir-et-Cher "La Cheville de Fer" 2003 Les Vins Contes (Loire, France)

樹齢20~ 50年という「Cot」(コー)100%の赤ワイン。
つまり「Malbec(マルベック)」でもあるわけですが、全然マルベックという感じではなく、もっと軽くやわらかな、超意外性のあるワインでした。



Barbera d'Alba Superiore La Rosina 2006 Erbaluna (Piedmont, Italy)

清水さんのチョイスしたバルベーラはとてもしっかりしたボディ。
とても美味しく、私も次はこれにしようと思ったほど。これもグラス500円!



ホント、グラスワインが充実しているのが嬉しい店で、
あ!そういえば、ボトルワインのリストを見るのをすっかり忘れていました!

まとまった人数ならボトルのチョイスは当然アリですが、2人くらいなら、今回のようにグラスワインを色々チョイスして楽しむのも面白いと思います。

「料理編」は次回です。

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ルナティック神楽坂

http://r.gnavi.co.jp/a927702/


*「ルナティックナイト」がいつ開催されるかは、支配人のブログでチェックを!

http://blogs.yahoo.co.jp/lafeveblogs/MYBLOG/yblog.html


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「私のワインライフ」インタビュー

2009-01-16 15:02:55 | ワインのお仕事


仕事柄、「インタビュー」というと、自分が相手にインタビューをするのが普通なのですが、今回は私がインタビューされる側になってしまいました(笑)

「私のワインライフ」というサイトを運営する(株)アースドリーミングの清水さんより年末にメールをいただき、なんと、私のインタビュー取材をしたいとのこと

インタビューされるのは性に合わないし、写真を撮られるのも苦手なのですが
写真を出さないことを条件に(笑)お受けし、先日清水さんとお話をしてきました。



で、早速、本日アップしました!というご連絡をいただきました。
それが掲載されているのが下記のサイトですので、ぜひアクセスしてみて下さい。



「私のワインライフ」 http://my-winelife.com/ 

インタビュー記事はコチラ→ http://my-winelife.com/contents/ (第6回)



なお、この時に行った店(ルナティック神楽坂)については、私の方でも明日改めて紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに~

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京都「村上開新堂」のクッキー♪

2009-01-15 09:24:12 | 甘いもん
先日、とある会に参加した際、参加者のひとりの方が差し入れてくださったのが、こちらのクッキーです。



クッキー  村上開新堂 (京都・寺町二条)

「村上開新堂」 (むらかみかいしんどう)というと、私は東京の一番町(千代田区)の店を思い浮かべたのですが、京都にも同じ名前の店があることを今回初めて知りました。

調べてみると、古い時代に多少の縁はあったようですが、今はどちらの店もお互いにかなりの距離を置いているようですので、まったく別店と捉えた方が良さそうです。

東京の店が「一見さんお断り」なのに対して、京都の店は誰でも買うことができる間口の広さがあります。

とはいえ、京都の「村上開新堂」は京都で最初にできた洋菓子店(明治37年創業)ということもあり、非常に人気が高く、このクッキーも、店に行ってもなかな手にすることができず、予約は必須(しかも予約待ちはかなり長い!)だとか。


この店商品は、「クッキー」、「ロシアケーキ」、「みかん(オレンジ)ゼリー」の3点のみ。
ゼリーは、紀州みかんのある季節だけ「みかんゼリー」になり、4~10月は「オレンジゼリー」になってしまいます。




さて、本題の「クッキー」ですが、仕切りのない状態で、見事なまでにビッチリと缶に詰められていました

いわゆる、「上げ底」ではなく、一缶丸々クッキーで、この姿を見ただけでも感動モノです(笑)

さまざまな種類のクッキーが詰められていましたが、クッキー自体は非常にシンプルでありながら、それぞれの味の違いがきちんとあり、ていねいに作られているのがわかりました。


先日紹介した、バターたっぷりのフランスのブルターニュのビスケットや、スコットランドのショートブレッドの濃厚さの対極にある、キリリと切れ長に目鼻立ちが整った和風の顔を持つクッキーといえるでしょうか。
(もちろん、どちらも好きですが

サクサクとした歯ざわりで、どんどん食べ進んでしまいますが(笑)、この一缶で4,000~5,000円する高級品!
しかも、なかなか手に入らない貴重なものをいただくことができ、本当に感謝です。

ありがとうございました&ごちそうさまでした 

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会津磐梯サイダー

2009-01-14 11:28:07 | おいしい飲みもん
新年に入り、実は家でプライベートでワインを開けていません。
ワインを飲むことは飲んでいますが、仕事のテイスティング用のものばかりというのが悲しいところで・・・

ということで、2009年1月1日 に開けたのはワインでなく、コチラでした。



会津磐梯サイダー 復刻ラベル (会津心水株式会社)

母が会津出身なので、なにかと「会津」のものにこだわる母の影響を受け、思わず私も会津のものが名に付いたので買ってしまいました(笑)

ガス入りミネラルウォーターを愛する私としては、甘みの付いたサイダーはちょっと邪道なのですが、 「奥会津の天然炭酸水」を使っていると書かれていたので、ちょっと気になったのです。


奥会津の金山町には、天然の炭酸ガスが湧く冷鉱泉があるとのこと。
(母もそんなことを言っていました)

泉質は単純二酸化炭素冷鉱泉で、泉名は「奥会津天然炭酸胃健冷鉱泉」というそうですが、これが 「会津磐梯サイダー」 の原料になります。



ナチュラルで雑味のないクリアな飲み心地で、泡は非常にやさしく、甘さもスーッと自然に入ってきました。
流れ出す清水をそのまま飲んでいるかのようで、本当に「甘露」という言葉がぴったりだと思いました。

新年から感動した美味しさでした 




天然炭酸水には 「aWa心水(あわしんすい)」 という名前が付けられています。

レトロなラベルは、昭和9年~56年頃まで地元で愛されてきたものの復刻版だそうで、なかなかいい味を出していますよね?

このサイダーはお値段も手頃だったので(150円ほど)、リピートしてもいいかなと思っています。

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リースリングをちょっぴりと(笑)

2009-01-13 09:08:55 | ワイン&酒
いつも 「リースリングをたっぷりと」 飲むのですが、
今回ばかりは家の都合があったため、 「リースリングをちょっぴりと」 です(笑)



Hochheimer Kirchenstuck Riesling Spatlese Trocken Erzeugerabfullung 2002 Domdechant Werner (Rheingau, Germany)



Mr. Riggs Watervale Riesling Clare Valley 2007 (SA, Australia)



Brokenwood Semillon Hunter Valley 2007 (NSW, Australia)

3本目はリースリングではなく、非常に酸が生き生きとしたセミヨン
ブロークン・ウッドのセミヨンはもう何度も飲んでいますが、ペイルグリーンのボトルカラーも涼しげで、非常に気に入っている豪州セミヨンのひとつです。



残念ながら、私はここで時間切れ・・・

料理は前菜4品のみをいただき、後ろ髪を引かれながら帰りました。











ごちそうさまでした&また次回よろしくお願いします。

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第17回 Picardy@「キャッチ The 生産者」

2009-01-12 10:35:46 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2005年12月11日)

第17回  Bill Pannell  <Picardy>

今回は、 オーストラリアのワイナリー『ピカーディ』のオーナー、
ビル・パネルさんがお客さまです。
ビルさんは、良きパートナーであり理解者でもある奥さまのサンドラさんも一緒に連れての初来日です。



<Bill Pannell>

西オーストラリアのパース出身。
医学部の学生時代にワインに興味を持つようになり、1969年にワイナリー『モスウッド』をマーガレット・リヴァーに設立。
1985年にモスウッドを売却後、1986年にブルゴーニュの『ドメーヌ・ド・ラ・プスドール』の経営に参画。
1989年、ペンバトンに『ピカーディ』を設立。
1990年、ドメーヌ・ド・ラ・プスドールを離れ、ピカーディに専念 。


オーストラリアでピノ・ノワールとシャルドネ!

ピカーディは、西オーストラリア州(WA)のペンバトン(Pemberton)にあります。WAには、高品質ワインの生産地として知られるマーガレット・リヴァーなどがあり、特に冷涼地のワインのクオリティの高さと安定性には定評があります。

オーストラリアというと、まず思い浮かべる品種は「シラーズ」。一般的には、スパイシーで濃厚な赤ワインとして知られています。
ですが、『ピカーディ』では、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネをメインにしています。
「まるでフランスのブルゴーニュみたいじゃない?」と思う人も多いことでしょう。
その理由を、ぜひビルさんから聞き出さねば!



Q.医者からワイナリー経営へというのは、かなり大きなチャレンジだと思いますが、そのきっかけは?
A.医学部にいた23歳の頃、大学の教授が大のワイン好きで、スワン・ヴァレーのワイナリーに連れて行ってもらう機会がありました。それをきっかけに、ワインに対して興味を持つようになり、よく飲むようになったのです。
人生を変えるまでのきっかけになったワインは、サンドラと一緒に結婚1周年の記念日に飲んだ、ペンフォールドの「グランジ 1962」です。それがたまらなく美味しく(当然でしょう!)、すっかりワインの魅力にはまってしまい、『モスウッド』を設立することになりました。

Q.『モスウッド』をマーガレット・リヴァーに設立した理由は?
A.1967年にアメリカで、「涼しい土地から良いワインができる」という研究報告書が出されたからです。そこで、WAの中でも涼しいマーガレット・リヴァーに土地を求めることに決めました。あちこちの牧場に出かけては、シャベルで土を掘り返して土壌を調べました(笑)。
ここではカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に植えたのですが、1970年代から85年にかけて、『モスウッド』のカベルネのワインは非常に有名になってくれました。

Q.『モスウッド』を売却し、フランスに渡ったのはなぜですか?
A.1980年、パースの酒屋でたまたま買ったブルゴーニュの「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ 1966」(ブシャール ペール&フィス)との出会いがきっかけでした。このワインで、私はピノ・ノワールのとりこになってしまったのです。

なんとか自分でもピノ・ノワールのワインをつくりたい!
その思いから、1986年にブルゴーニュの『ドメーヌ・ド・ラ・プスドール』の株を購入し、フランスに渡りました。
共同経営者が7人いましたが、私以外の6人は投資が目的です。私一人だけ畑に出て、ブドウを育て、醸造に携わっていました。

Q.ブルゴーニュではどのような成果が得られましたか?
A.1970年代半ばから80年代半ばにかけて、ブルゴーニュではクローンの研究が進められていました。こうしたクローンの情報を得ることができましたし、もちろん他の技術的な情報も含め、ブルゴーニュのことをかなり知ることができたことは、非常に大きな収穫でした。

Q.その後、オーストラリアに戻ることになったのはなぜですか?
A. 実は、プスドールの経営は、あまり利益が出なかったのです。 そこで、故郷のWAで土地を探すことにしました。
マーガレット・リヴァーよりも南で標高が低い土地を探していたら、ペンバトンに行き着きました。ここは石がゴロゴロとして、水はけも良好だったので、1989年に『ピカーディ』を設立しました。
この時はまだプスドールの株を持っていて、すべてを売却したのは1990年です 。

Q.『ピカーディ』の設立で苦労したことは?
A.ブドウの苗(ブルゴーニュ・クローン)をブルゴーニュから持って来るのに、非常に時間がかかったことです。

外国から植物を持ち込むには"検疫"を通す必要があります。ヴィクトリア州の検疫はスムーズに行きましたが、WAの検疫が難航し、トータルで5年もの年月を要しました。このときの3本の苗は、今では3000本に増えました。

また、畑もワイナリーもすべて私たち家族の手作りです
元々牧草地で石が多く、土地の持ち主から、「本当にこんなところでいいのか?」とまで言われたほどです(笑)。そのため、自分で石をどかして畑を整え、苗木を植え、ワイナリーまで完成させるのに、12年もかかりました。(本当にご苦労さまです!)



Q.ペンバトンはどのような土地ですか?
A.1時間に50mlの雨が降ることもありますが、すぐに地面に吸収されてしまうほど水はけのいい土地です。地表50~100cmのところに、大きさがさまざまな砂利の層があり、その下は粘土質です。この粘土質土壌は砂利も含むので、ブドウの根がどんどん下に入っていきます。
モスウッドも、気候は違いますが、土壌はよく似ていました。 土壌に砂利があるということは、非常に重要なポイントです。栄養過多を抑える効果がありますし、昼間に暖められた石は、夜になると熱を放出し、熱のコントロールを行います。

Q.ブルゴーニュ・クローンのブドウ樹を選択し、ピノ・ノワールとシャルドネを中心としたワインづくりは、ブルゴーニュの模倣に見られがちでは?
A.ブルゴーニュには、ワインづくりでの長い歴史があるので、つくり方や考え方においては見習うべき先生だと思っています。
しかし、私はペンバトンならではのピノ・ノワールを目指しています。
ここはブルゴーニュほど強い大陸性気候ではありませんし、土壌はブルゴーニュほど石灰質が多くありません。この土地独特の気候があり、土壌があります。ブルゴーニュのピノ・ノワールはタイトで、開くのに時間がかかりますが、ペンバトンのものは若いうちから果実味があり、やわらかいワインになります。

Q.ほかのオーストラリアのピノ・ノワールと『ピカーディ』のピノ・ノワールとでは、スタイルが違うようですが?
A.今まで、オーストラリアでは、色が濃くて力強く、かつ凝縮感のあるピノ・ノワールしか受け入れられませんでした。
しかし、あるワイン評論家は「ピノ・ノワールは、グラスの上からグラスの底が見えるくらいがいい」と言っています。 私がピノ・ノワールに求めるのもそれで、味わいには、チェリーの種の周りの部分やレッド・カラントの赤い実の感じがあり、フィネスやエレガントさが備わっています。過剰なまでに色素分やエクストラクト分を抽出した力強いピノ・ノワールは、私の理想ではありません。

Q.あなたのワインづくりのコンセプトは?
A.質にこだわり、とにかく最高のものを、と思っています。
良いワインは畑でできます。そのためには良いブドウをつくることが大事です。

私は、ベストなクローンを選ぶこと、すべてに手をかけること(樹の仕立て、芽かき、摘房など)を心がけています。
畑は100%自社畑で、オーストラリアでは珍しいことですが、灌漑もしていません。 その土地に最適な品種を選び、樹は密植し、適度なストレスを与えます。殺虫剤は使いたくないので、ホロホロ鳥を放し飼いにしたり、てんとう虫を放したりして病虫を駆除しています。

ブドウは十分に熟成するまで待ってから収穫を行い、収穫後は30分以内にワイナリーに運び込むようにしています。
ブルゴーニュにも定期的に行って研究しています。醸造設備にはきちんとお金をかけ、最新のもの、しかし自分たちに合ったものを導入しています。例えば、オーストラリア産の樽では納得できないので、自分で探した、フランスの小さなメーカーのものを取り寄せています。この樽がブドウにエレガントな風味を与えてくれるのです。

Q.これからの夢は?
A.もっと畑を広げたいですね。また、今はワイナリーに来てくれた人にテイスティングしていただける場所(=セラー・ドア)がないので、セラー・ドアもぜひ作りたいですね。


<テイスティングしたワイン>



Picardy Chardonnay
フレンチオークで約10ヶ月熟成。エレガントなスタイルのシャルドネ。すぐにも楽しめ、食事とも合わせやすく、また、熟成にも耐えるストラクチャーもあります。 口当たりはまろやかで、年を重ねるたびに複雑さが出てくるのも特徴。

Picardy Pinot Noir
フレンチオークで約12ヶ月熟成。若い時は、みずみずしいピュアな果実味が心地よく、素直においしいと感じますが、熟成が進むにつれ、ピノ・ノワール独特の、まったりとした熟成感が出てきます。




Pinot Noir Tete de Cuvee
Pinot Noirには、特別なキュヴェ"Tete de Cuvee(テト・ド・キュヴェ)"があります。通常は、瓶詰めの前にワインをテイスティングし、これ!と決めてピックアップした樽をスペシャルなキュヴェとすることが多いのですが、ピカーディでは、畑の段階から決めているそうです。
また、Tete de Cuveeだけ毎年つくり方を変えている点もユニークです。
ブルゴーニュのグラン・クリュと並べてもひけを取らないほどのエレガントさと凝縮感が魅力で、ぜひ一度経験してみることをお勧めしたいワインです。


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インタビューを終えて


ちっぽけな日本列島でも、北海道と沖縄の気候で大きな差があるのですから、広大なオーストラリアでは、もちろんさまざまな気候があります。涼しい土地では、ピノ・ノワールやシャルドネからのワインが次々に誕生しています。
とはいえ、濃厚な色調と味わいを持った赤ワインのイメージが強烈なため、すべてのオーストラリアワインがこんな感じなんだと思われがちなのも確かです。

そういう意味では、ピカーディのワインから、オーストラリアワインの多様性や可能性を再認識することができます。 ピノ・ノワールに目覚め、追究してきたビルさんの苦労と功績に感謝です。



ですが、それも、奥さんであるサンドラさんの内助の功の賜物。このことは、ビルさんもしっかり認識しているようです。
現在は、息子さんや娘さんたちもワイナリーを手伝い、家族一丸となってワインづくりをしています。

ピカーディのワインには、 「夫婦愛」と「家族愛」 がいっぱい詰まっています。


*ピカーディのホームページ  http://www.picardy.com.au
            

(取材協力:ヴィレッジ・セラーズ株式会社)

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第16回 Champagne Pannier@「キャッチ The 生産者」

2009-01-12 10:28:28 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2005年11月11日)

第16回  Terence Kenny  <Champagne Pannier>

今回のゲストは、シャンパーニュのヴァレ・ド・ラ・マルヌにあるシャンパーニュメーカー、メゾン・パニエの輸出部長を務めるトゥランス・ケニーさんです。



<Terence Kenny>
スペイン、ニューヨーク、ブルゴーニュetc…を転々とし、フランス観光局にも勤務。
30歳の時には、ミシュランの星付きレストランを全て制覇。このレストラン巡りでワインに開眼。
その後、1990年にメゾン・パニエに入社。 現在は同社の輸出部長を務める。


ミステリアスな パニエの地下回廊カーヴ

ヴァレ・ド・ラ・マルヌは、シャンパーニュ地方の中心にあるエペルネから西に広がる生産地です。このヴァレ・ド・ラ・マルヌのぶどう畑の中心の地下には、12世紀に騎士ユーグ・ランベール公(通称ティエリー)が掘ったという2kmにおよぶ回廊があり、そのため、この町は"シャトー・ティエリー"(Chateau Thierry)と呼ばれています。

実は、このミステリアスな回廊をシャンパーニュ熟成のための地下カーヴとして使っているのが、メゾン・パニエです。1930年代に回廊はカーヴに生まれ変わりました。

メゾン・パニエは、1899年にエペルネの郊外ディジィに設立され、その後1937年にシャトー・ティエリーに移転しました。
元々は創設者のパニエ家がメゾンを所有していましたが、現在は1974年に買収した共同栽培者グループ(SCVM)が運営に当たっています。グループは350人の組合員で構成されています。



Q.パニエのシャンパーニュの特徴は?
A.ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエという3種のぶどうのブレンドの妙にあります。もちろん、ぶどうの選別は徹底して行います。
また、熟成期間にも注意を払い、シャンパーニュの規定では、ノン・ヴィンテージなら15ヶ月のところを3年、ヴィンテージ入りなら3年のところを5年というように、長めに熟成させるようにしています。それにより、バランスが良く、優雅な味わいのシャンパーニュが生まれます。

Q.プレステージュ・シャンパーニュ"エジェリ"(Egerie)について教えて下さい。
A. "エジェリ"は当社の最高級品で、特別良い年にしかつくらないヴィンテージ・シャンパーニュです。
1985年が最初で、その後は、88、89、90、95、96、98年があります。

"エジェリ"という名前は、ローマ神話の女神"エジェリア"から取っています。王が霊感が欲しい時にエジェリアに助けを求め、彼女のおかげで繁栄を続けることができたと言われています。表立ったことはしないけれど、良いアドバイスを与える女性の代名詞で、女性にとって"エジェリ"と言われることは、最大の賞賛の言葉でしょう。私のイメージでは、故ジョン・レノンの奥さんのオノ・ヨーコさんかな?

といったことから、複雑で、まじめで、霊感を与えるようなシャンパーニュにしたいということで、"エジェリ"と名づけました。

Q."エジェリ"のブレンド比率は決まっていますか?
A.年によって変わります。毎年1~2月にテイスティングし、2月にブレンド(アッサンブラージュ)を行います。
なお、ドザージュ(*1)の際のリキュールの量は、デゴルジュマン(オリ抜き)の時に決めます。よって、同じヴィンテージのものでも、デゴルジュマンの時期が違うボトルはドザージュの量も違います。

Q.パニエでは、ヴァン・ド・レゼルヴ(*2)の管理はどのようにしていますか?
A.ヴァン・ド・レゼルヴとして25%取っておきます。ステンレスタンクで保存し、3年前のものをドザージュの時に使います。これはノン・ヴィンテージ用で、ヴィンテージ入りのシャンパーニュには、マグナムボトルにして取っておいた同じ年のものを使います。
ヴァン・ド・レゼルヴとして取っておくことは、非常にお金のかかることですので、小さな生産者ではストックできないこともあります。

Q.国内外のシェアの比率は?
A. 65%はフランス国内で消費され、35%が輸出です。イギリスやアメリカが中心で、アジアではシンガポールなどにも輸出しています。しかし、日本のマーケットが一番成熟し、本物をわかってくれていると思っています。
いずれの場合も、いいホテルやレストラン、ワイン専門店に置くようにし、クオリティにうるさい人たちをターゲットにしています。

Q.ヴィンテージ・シャンパーニュの楽しみ方を教えて下さい。
A.ヴィンテージの入ったシャンパーニュは、軽い味わいのものではありません。もちろん、そのまま飲んでもよいのですが、ガストロノミー(美食、美味しい食事)と合わせるのはとてもいいことです。現在は、フランス料理のガストロノミーも再検討され、よいものになってきています。日本人は情熱があり、知性も高いので、料理とうまく合わせて楽しんでいただきたいですね。

(*1)ドザージュ
オリ抜きによって減ったワインを足してあげること。この時に、甘さの調整としてリキュールを加える(辛口に仕立てるため、全く加えないこともある)。

(*2)ヴァン・ド・レゼルヴ
オリ抜きで減った分の補填用ワインのこと。リザーヴ・ワインともいう。



<テイスティングしたシャンパーニュ>



Egerie de Pannier 1998
ピノ・ノワールとシャルドネが同量で、ピノ・ムニエが約10%。ドザージュの糖分量が3.5gというドライなブリュット。ケニーさん曰く「ダイエット・シャンパーニュ」。 香りが華やか!やわらかく熟成した感じがあり、飲みやすいのにコクのある味わい。


Egerie de Pannier 1990
ドザージュは7~8g。ものすごく夏が暑く、ここ最近では最良の年。酸度は十分あったが、思ったよりも熟成が早く進んでいるようです。 蜂蜜の香りがあるが、酸が熟成した感じで、後味にレモンや柑橘も感じられます。


Egerie de Pannier 1989
良年の1988年と1990年に挟まれ、忘れられた存在と言われているが、実は素晴らしい年。生産本数は3000本のみ。柑橘のニュアンスは少なく、最初からまろやかに感じるはず。 骨格がしっかりとし、かつ繊細な部分もあり、メインの料理にも合わせられます。


Egerie de Pannier 1988
ドザージュは7~8g。90年と似たニュアンスがあるが、酸は穏やか。コクのあるボディが魅力。


Egerie de Pannier Rose de Saignee
ピノ・ノワール80%とシャルドネ20%のロゼシャンパーニュ。シャルドネで軽やかさを出している。 淡いロゼ色が美しく、きりっとドライだが、ふくよかさもある。バランス良好。




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インタビューを終えて


乾杯だけではもったいない!

このところのシャンパーニュ人気は大変なものです。特に日本では、昔からロゼ・シャンパーニュの人気が高く、それは雰囲気で飲まれているような感じもあるのですが…。 たしかに、シャンパーニュによる乾杯は、優雅かつゴージャス。でも、それでおしまい、という飲み方が多いのも事実です。

ケニーさんも言うように、ガストロノミーと合わせるという楽しみもシャンパーニュにはあります。エスプリを感じるタイプや軽快なタイプ、芳醇でコクのあるタイプ、心地よい甘さのあるタイプetc…と、とても多彩なシャンパーニュだから、乾杯はもちろん、前菜、メイン、そしてデザートまで活躍してくれます。 私も以前は、「ずっとシャンパーニュで通すなんて…」と思っていましたが、ここ数年は、シャンパーニュの多様さ、懐の深さを実感し、「ずっとシャンパーニュだけでもOK」と思えるまでになりました。

これからの季節、色々なシーンでシャンパーニュが登場するかと思いますが、固定観念にとらわれず、もっと自由にシャンパーニュを楽しんでみてはいかがでしょうか?

*パニエのホームページ  http://www.champagnepannier.com/

            
(取材協力:ディス・エクスポール・ジャポン)

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G.ルノートル逝去

2009-01-11 14:22:33 | 甘いもん
G・ルノートル氏死去 フランスの著名パティシエ(共同通信) - goo ニュース


昨日だかの新聞の「お悔やみ欄」に、え?という名前を見つけました。

1979年、池袋西武にも日本第一号店を出店した

「ルノートル」 の創始者 ガストン・ルノートル氏 です。



パン好き、甘いもの好きにとって、 「LENOTRE」 は、昔からなじみの深い名前でした。

1920年、フランスはノルマンディのサン・ニコラ・デュ・ボスク生まれで、ペストリーシェフとしてスタート。
1957年に初めてパリに出店、1971年にエコール・ルノートル(料理学校)を設立。


ルノートルは現在、パン、菓子はもちろん、惣菜、グロッサリー、カフェ、レストランを展開し、フランス国内だけではなく、世界でも知られたブランドになっています。

現在人気のパティシェ、ピエール・エルメ が14歳で最初に弟子入りしたのも、
このガストン・ルノートル氏でした。



2009年1月8日(木)11:00、病気療養中のガストン・ルノートル氏はソローニュの自宅で亡くなりました。享年88歳

ご冥福をお祈りいたします。

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英スコットランドのバターたっぷり菓子♪

2009-01-11 10:22:45 | 甘いもん


昨日紹介したフランス、ブルターニュ地方の「パレット・ブルトン」に外見がよく似ていると思いませんか?

これはブルターニュの海の向こう側、英国・スコットランドの「ショートブレッド」
ショートブレッドについては以前(2008/9/29)も取り上げましたね。

フィンガータイプがポピュラーだと思いますが、
今回のは 「ボタン」 型(洋服に付ける方)だそうです



Campbells Shortbread Buttons
(紙製の手提げバッグタイプのパッケージ)

ボタンというと、せいぜい指の爪くらいの大きさを想像しますが、
これは直径が約4cmある大きなボタンで(笑)、食べ応えもずっしり

バターは32%と実にリッチ。
これも本当に大好きな味わいで、「パレット・ブルトン」と甲乙つけがたいほど。



ショートブレッドの形は、本場スコットランドでは円盤状タイプ(マーガレットの花を象ったものなど)がポピュラーのようですが、色々な形のこんなアソート詰め合わせもありました。


Campbells  Gold Collections Shortbread

これは缶入りタイプでした(縦17cm、横11cm)。




パッケージの絵の大きさよりも実物の方が大きかったのがびっくり!
普通は、パッケージの絵よりも中身の方が小さいと思うのですが?(笑)

こちらのバター含有率は31%
同じメーカー(キャンベル社)だからバターの比率も同じにしているのかと思いきや、微妙に変えているとは、やっぱり何かこだわりがあるんでしょうか・・・

ちなみに、食べた後のこのは捨てるのにしのびず、手元に残してあります。

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仏ブルターニュのバターたっぷり菓子♪

2009-01-10 10:05:57 | 甘いもん
スウィーツが続きます(笑)

先月紹介した(2008/12/17)、「ガレット・ブルトンヌ」の“姉”的存在でしょうか。


Palets Bretons Au Beurre / Auchan (8枚入り 125g)

フランスはブルターニュ地方の発酵バターがたっぷり(約30%)入った、リッチなクッキーです。




「ガレット」は16枚で125gなので、こちらの「パレット」はちょうど倍の厚さ
よって、食べ応えもずっしり

お菓子はガツンと濃厚なのが好きな私にとって、このパレットは本当に嬉しく、思わず笑顔になってしまう美味しさでした


これもフランスのハイパーマーケット「オーシャン」のオーガニックPB商品です。
(日本に輸入されています)

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ペルティエの「デセールショコラ」

2009-01-09 11:23:05 | 甘いもん
昨日の「セコイヤチョコ」とは次元が別の デザートショコラ です。
(比べてはいけませんが)(笑)



デセールショコラ  Desserts aux Chocolats  Peltier 

フランス産のチョコを使用した、ババロアのような口当たりのぷるぷるデザート

色ラベルがミルクチョコを使った「Lait」(レ) (フランス語でミルク)

色ラベルがビターチョコを使った「Noir」(ノワール) (フランス語で黒)



チョコのフレーバーのスウィーツがある場合、私の好みは必ずや「ミルクチョコ」の方なのですが、今回ばかりは違いました。


「Lait」 は、かな~りやさし~い味

「Noir」 は、本当に本当にチョコがものすごく濃厚で、ビターといいながらも丸みがあり、濃密でクリーミーなビターチョコが口の中でなめらかに溶け、久しぶりにガツンとやられたデザート菓子でした。

甘さも、ミルクの方が軽めで、ピターの方が強めに私は感じました。



ということで、このデセールショコラは、
ぜひ 「Lait」→「Noir」 の順番で食べることをオススメします。
(けっこうボリュームがあるので、もちろん別のタイミングに分けてくださいね)


4個入りで1050円(約5cm×5cm、重さが1個60gほど)
チョコ製品なので、バレンタイン にも使えそうですね


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フルタ製菓「セコイヤチョコレート」

2009-01-08 11:46:33 | 甘いもん
過日、お菓子やさんで気になる名前のスナックチョコを発見!

それは 「Sequoia(セコイヤ)」チョコレート

「セコイヤ」って、何かひねった意味があるんでしょうか?
と思わせるネーミングですが(笑)、

とっても大きくなる樹「セコイヤ」から採っているそうで、そのためチョコの表面は木目模様になり、食べた時のボリューム感もポイントにしています(長さ約10cm)。

種類は色々ありましたが、私が選んだのは下の2種。



セコイヤチョコレートいちご

一番外側はイチコチョコレート、その内側がミルククリーム、3層のウエハースの間にイチゴクリームがサンドされています。
予想通りのイチゴミルク味で、とてもかわいらしい味わいでした。



セコイヤチョコレートティラミス

ティラミスとは懐かしい~
マスカルポーネチーズとコーヒー風味の組み合わせが濃厚なので、非常に私好みのデザートでした。

このチョコは、外側がミルクチョコ、その内側がミルククリーム、3層のウエハースがティラミスチョコとホワイトクリームをサンドしています。本物のティラミスとはやはり違いますが、ちょっとチーズっぽい風味があり、これはこれで美味しいと思います。



どちらも甲乙つけがたく、スナックチョコの割に味もけっこうちゃんとしているし、食べ応えもまずまずあり、ホント、小腹が空いた時はもちろん、ワインを飲みに行く前の胃のコーティングにも便利です(笑)。

バータイプなのも食べやすくてマルです



そうそう、この時期、ミルクチョコレートが5本入った受験生応援商品
「合格セコイヤ」 なる商品が発売されているそうで・・・

合格に因んだ五角形のパッケージで、招き猫のイラスト入り。

「セコイヤ」 を 「成功YEAR」 と掛けて、サブタイトルにしています(笑)



合格応援菓子として最も有名なのは、ネスレの「キットカット」(きっと勝つ)だと思いますが、他にもこの手のネーミング菓子をけっこう見かけますし、受験生応援商品はけっこう大きなマーケットになっていますね。

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第15回 Weingut Selbach-Oster@「キャッチ The 生産者」

2009-01-07 13:15:54 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2005年10月11日)

第15回  Johannes Selbach  <Weingut Selbach-Oster>



<Johannes Selbach>
1959年生まれの46歳。
16歳の頃、家業を継ぎたい、自然に密着した仕事をしたいと決意。
ドイツのガイゼンハイム大学で経営学を2年学んだ後、アメリカに留学し、ドイツワインに興味のある教授に師事。研究テーマは、アメリカにおけるドイツワインのマーケティングについて。
卒業後は1985~87年までニューヨークでワイン関係の会社に勤務。
1988年にドイツに帰国してワイナリーを継ぎ、現在に至る。

ヨハネス・ゼルバッハさんは、ドイツといったらこの生産地を抜きにしては語れない、モーゼル・ザール・ルーヴァーのワイナリー 『ゼルバッハ・オースター』 のオーナーです。
今回は、日本へは何度も来ている日本通のゼルバッハさんに、モーゼルワインの魅力をたっぷりと伺いました。



モーゼルといったら“リースリング”!

ドイツワインのことをよく知らないという人でも、「モーゼル」という名前は、きっと耳にしたことがあるでしょう。

「モーゼル」とは川の名前です。フランスのボージュ山中を水源とする流れは、ルクセンブルグを通ってドイツに入り、大きく蛇行しながら流れてゆき、ゴブレンツでライン河と合流します。

このモーゼル川の上流はザール川とルーヴァー川に分かれているため、これらの3つの川の流域を合わせて「モーゼル・ザール・ルーヴァー」地域と呼んでいます。

モーゼル・ザール・ルーヴァーは、リースリング種からつくられる上質な白ワインを産する生産地として有名です。

モーゼル川がドイツ国内を流れる距離は約240km。
それだけの長さがあると、上流と下流ではだいぶ様子が違ってきます。上流地域は「オーバー・モーゼル」、中流は「ミッテル・モーゼル」、下流は「ウンター・モーゼル」と呼ばれていますが、銘醸といわれる畑は「ミッテル・モーゼル」に集中しています。
もちろん、ゼルバッハさんの『ゼルバッハ・オースター』も、このミッテル・モーゼルのツェルティンゲン(Zeltingen)という地にあります。




Q.ワイナリーの歴史について教えてください。
A.ぶどう園として1661年まで遡ることができます。
伯父がワイナリーを経営しています(J&Hゼルバッハ)が、私の父はぶどう栽培農家で、ワイナリーにぶどうを提供していました。
しかし、新しいワイナリーとして伯父のところから独立し、1964年から『ゼルバッハ・オースター』としてリリースしています。
ゼルバッハ・オースターは家族経営の小さなワイナリーです。

Q.モーゼルワインの最大の特徴は?
A.軽くてフルーティーな早飲みタイプから20~30年も熟成可能なものまで、幅広く楽しめるワインだということです。
モーゼルワインの飲み頃には3段階あります。

1) 若く生き生きとしたフルーティーさを楽しむ時期(5年未満)。

2) 人間でいえば中年期で、さまざまな複雑な要素が出てくる時期。晩年に備え、ミネラルやアロマが倍増します。

3) 人間なら晩年期で、今までとは違ったアロマをかもし出し、まろやかな味わいで、舌触りもよく、何杯でも楽しめます。

Q.では、あなたのワインの特徴は?
A.私は「リースリングのスペシャリスト」だと自認しています。
モーゼルの伝統を生かしたワインづくり、つまり、軽くてフルーティなタイプから、何十年も熟成させてから楽しむタイプまで、幅広く生産しています。
また、より畑の個性を反映させるワインづくりを行っています。

畑は16haありますが、ほぼ100%がリースリングで、ゼクト(=スパークリング・ワイン)用にヴァイスブルグンダー(=ピノ・ブラン)を少々植えています。
畑はすべて南向きで(大きく蛇行するモーゼル川には、川に対して南向き斜面の畑が存在します)、土壌は青いスレート(珪酸質の粘板岩の薄板)です。
傾斜は最大で70度もあり(!)、川に近い下の場所は湿気が多く、川面に反射する光を集めますが、山の上の場所は少し冷涼になります。


非常に急な斜面の畑

Q.ツェルティンゲンでは、いつ頃収穫を行うのですか?
A.私のところは、だいたい毎年10/18頃からリースリングの収穫を始めます。
畑の上下でも収穫時期が変わりますし、上級クラスのワイン用のぶどうは、アロマやエキス分をよりぶどうの粒にしみ込ませるため、11月の初旬に集中して収穫作業を行います。 。

Q.リースリングのシュペトレーゼクラスまでは、よく食事に合わせて飲むといわれますが、その上のアウスレーゼは、どのように飲んだらいいでしょうか?
A.モーゼルのアウスレーゼは食中酒としても楽しめます。
実は150年くらい前の晩餐会のメニューを見ると、メイン料理に合わせて、シュペートブルグンダー(=ピノ・ノワール)の赤ワインとリースリングのアウスレーゼが提供されています。アウスレーゼは、昔から食中酒としても楽しまれていたんです。

私はアンティパスト(前菜)に合わせたり、ナッツや、アロマが豊かな青カビのチーズと一緒に飲むのが好きです。それほど甘くないデザートと合わせてもいいと思います。
ほのかな甘さを持ったアウスレーゼが私の理想です。アウスレーゼは1杯で満足するワインではなく、2杯、3杯と飲みたくなるワインです。

Q.現在、輸出の割合はどのくらいですか?
A.輸出が6割で、国内消費が4割です。アメリカ、北欧、日本の順に多く輸出しています。
イギリスは重要なマーケットとしては考えていません。アメリカでは、かつては安くて甘いドイツワインが人気でしたが、最近は辛口タイプの比率が上がってきました。アジアの各国もマーケットとして大事ですが、もっとも重要なのは日本です。
繊細で素材を生かした料理が多い和食は私も大好きで、和食には白ワインが合うと思っています。ですから、今後もぜひ日本に力を入れていきたいですね。


<テイスティングしたワイン>



Zeltinger Sonnenuhr Riesling Auslese
(1983、1985、1989、1993、1995、1998、2001、2003年の垂直テイスティング)

同じワインが20年でどう変化するか?という、興味深いテイスティングです。
日常生活では、熟成期間が20年を超えるリースリングを飲む機会はなかなかありません。しかし、熟成したリースリングがこんなにも気品があり、ふくよかで、しかも酸が十分に残り、ミネラル感も感じられるものなのだということを、今回のテイスティングで実感させられました。

ヴィンテージが若くなるに従って、軽快で爽やかなフルーティー感が増してきますが、どれを取っても酸と甘さのバランスが良く、それぞれの時期ならではのおいしさを感じます。

ですが、セルバッハさんは「リースリングを飲むには忍耐が必要です」と言います。
確かに、数十年の熟成を経たリースリングの味わいは格別なものです。私たちは少し急いだ飲み方をしているかもしれません。




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インタビューを終えて

ドイツのリースリングは、アメリカで"リースリング・ルネッサンス"を巻き起こしました。地元消費が多いドイツワインが海外に輸出されるようになり、しかも"リースリング・ルネッサンス"といわれるような人気が出るようになるとは、ゼルバッハさんのお祖父さんやお父さんには信じられないことなのだとか。

「リースリングのワインは確かに糖分が多いかもしれませんが、それに負けない酸を持っています。そのため、30年は成長し続けるワインなのです。ですから、今から30年後にまた新たなリースリング・ルネッサンスが起きるかもしれませんね」とゼルバッハさんは言います。

「今まで、熟成した赤ワインに興味を持っていた人が、熟成したリースリングに興味を持つようになり、さらに、フレッシュなリースリングにも興味を持つようになってきました」。

リースリングからは、極甘口から半辛口、辛口、さらにゼクトまで、幅広いタイプのワインがつくられています。また、料理とのコンビネーションによっても、それらの味わいに変化が生まれます。そうした奥深さも、リースリングの魅力のひとつでしょう。
この日本でも、近いうちに"リースリング・ルネッサンス"が巻き起こるかもしれません。


*ゼルバッハ・オースターのホームページ  http:// www.selbach-oster.de
            
(取材協力:ドイツワイン基金)

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