ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

2017年のワイントレンド予測

2017-01-01 17:19:15 | ワイン&酒
新年あけましておめでとうございます

本年も どうぞよろしくお願いいたします




新しい年を迎えました。
まっさらの1年、さて何をしよう?と考えるのは楽しいものですね。

私は、とりあえず“健康第一”(笑)
健康で元気であれば、できることは、きっとたくさんあるはずです。

皆さんも、健康で素晴らしい1年を過ごせますように!

I hope you'll have a great year!



さて、早速ですが、ワインの話題を。

人間というのは面白いもので、最先端のものを追求していたかと思うと、その反動なのか、古き良きものに憧れたりします。

ワインの世界はまさにそれが当てはまるかと思います。
栽培の生産性を上げる農薬や肥料を開発し、ハイテクを駆使しながら、国際市場で通用する国際品種のワインにフォーカスしていた時代がありました。

その後、祖父の時代のワインづくりに戻るナチュラル志向、その土地の固有品種を再発見するローカル品種志向という揺り戻しがあり、さらに、アンフォラなどの古代の器を使うところまで戻ってきました。

今後のトレンドの中心となっていくのは、「ワイン誕生の地」への興味でしょう。



初めてワインが生まれた時期、場所については、著名イギリス人ワインライターのヒュー・ジョンソン氏でさえも、その著書の中で「いつ、どこでなのかを正確にいうことはできない」と書いています。(出展「The Story of Wine」Hugh Jhonson)

考古学的な発掘などから、場所は、おそらく、黒海周辺、特に、現在のジョージア(旧国名グルジア)とアルメニアのあるトランスコーカサス(コーカサス山脈の南側)周辺ではないか、といわれています。

ジョージアでは、栽培されていたと思われる紀元前7000年以上前のブドウの種子が、コーカサス山脈の南側で見つかっています。

また、トルコ(チャタル・フュック:世界で最古の都市といわれています)、レバノン(ビュブロス)、シリア(ダマスカス)、ヨルダン の紀元前8000年前の地層からもブドウの種子が見つかっています。
これらの場所は、地中海の東岸エリアで、トランスコーカサスの南西方向に位置しています。
種の形から、これらの地で発掘されたものは、栽培されていたブドウではないそうです。

最初のワインは、いつ、どこで? ―正確にはわからない、とはいえ、黒海周辺から地中海東岸地域のエリアが非常に怪しいわけです。

特に、ジョージアでは、地中に甕(クヴェヴリ)を埋めて醸造する製法が今も伝統的に残っていることから、クヴェヴリへの関心、ジョージアへの興味が高まってきています。

さらには、その土地の古代のブドウ品種への関心もです。




クヴェヴリで醸造された白ブドウ品種“ルカツィテリ”、同じく“キシ”の白ワイン(Georgia)


イスラエルワインの記事の中で書きましたが、イスラエルでも、失われた古代品種を探り、研究するプロジェクトが始まっていて、いくつかのワイナリーが古いブドウ品種からのワインをつくり始めました。

今後は、ワインのはじまりの土地、古代品種、古代製法、への関心が、新しいトレンドとなっていくはずです。

中でも、
黒海周辺(Black Sea Region)は、過日も紹介したように(Black Sea Region Wines & Spirits Contest 2016)、今後のトレンドのキーワードとなっていくでしょう。


我々の心を動かすのは、「いにしえへの“ロマン”」なのかもしれません




ジョージアのワインは日本にもだんだんと入ってきています。



【参考記事】

 個性派ワインを探している方にオススメのジョージア(旧グルジア) → コチラ

 地中海東岸エリアも注目 → 「レバノンワインの可能性」

 2015年に注目したいワイン → 2年前にも「1.ジョージアワイン(グルジアワイン)」と予測!(笑)

コメント
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