吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2008年5月10日〈エッセー〉012:「モマ笛」の効用

2008-05-10 06:33:57 | エッセー
写真①:津屋崎人形原田半蔵店で制作された「モマ笛」
     =2008年3月30日撮影

・連載エッセー『一木一草』

第12回:2008.5.10
 
「モマ笛」の効用

 私の古里・福津市津屋崎の福岡県指定特産民芸品で知られる津屋崎人形の「モマ笛」=写真①=が、高齢化社会を迎えた今、脚光を浴びているようです。

 津屋崎人形は、江戸時代から続く古博多人形の流れを汲む素朴な土人形で、色褪せない鮮やかな色彩が魅力。「モマ笛」は、五月人形や雛人形、干支人形などと店頭に並ぶ人気商品の一つです。モマ(フクロウの津屋崎方言)をかたどった笛で、吹くと「ホー、ホー」とフクロウやアオバズクに似た鳴き声が出て、子供の玩具としても喜ばれます。

 この「モマ笛」は、お年寄りが毎朝吹き、喉の通りを良くして食事したと伝えられており、食べ物が喉につかえる事故を防ごうと、津屋崎人形師が生活の知恵であみ出した高齢者の命を守る玩具ともいえます。

2007年3月、脳梗塞で福津市内の病院に入院し、嚥下力が弱まっている私の長姉にも今月7日、「モマ笛」を渡し、毎朝吹くようにリハビリの療法士さんに頼みました。言葉が話せなくなった長姉ですが、「モマ笛」を懐かしそうに見て笑いました。

 ところで、福津市宮司元町の宮地嶽神社では、「〝福を呼ぶ〟モマ笛」=写真②=を参拝者に1体初穂料500円で授与しています。神社の説明書きによると、〈昔、正直者の商人が宮地嶽の山中で道に迷ったとき、モマ(ふくろう)の鳴き声に導かれて金の玉を得、お祭りをしたところ、大変隆昌を極めたとの故事に則り当社ではモマ笛を授与致しております。ホーホーと鳴くモマ笛にてたくさんの福を呼び込んで下さい。この故事にちなんで正月に「玉替祭」を斎行致しております〉という。


写真②:宮地嶽神社で参拝者に授与されている「〝福を呼ぶ〟モマ笛」の説明書き
     =2007年5月3日撮影

 江戸時代から栄え、〝津屋崎千軒〟と呼ばれた古い町並みの観光案内・〈津屋崎千軒そうつこう〉(「そうつこう」は津屋崎の方言で「歩き回ろう」の意味)のボランティアガイドをしている私も、ガイドの小道具に「モマ笛」を鳴らしています。お年寄りに優しい玩具で、福を呼ぶいわれを話すと、津屋崎人形の歴史や特徴の説明も親しみをもって聞いていただけるようです。

 「モマ笛」は、福津市津屋崎天神町の「津屋崎人形原田半蔵店」と「津屋崎人形巧房」の2店で制作されています。最近は、ガイドやテレビ放送で紹介され、「モマ笛」を求める観光客も目立っており、ガイドとしてお勧めの「500円で購入できる絶好の津屋崎土産」なのでぜひ増産を、と私からも2店の当主にお願いしています。
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