写真①:「津屋崎祇園山笠」延期を伝える立看板
=2020年6月24日、福津市役所1階ロビーで撮影
・連載エッセー『一木一草』
第66:祭りが消えた津屋崎
4月の「津屋崎千軒よっちゃん祭」終了決定
7月の「津屋崎祇園山笠」奉納は来夏まで延期
ふくつ夏まつり2020「第13回サマーナイトinふくつ」中止・・・
2020年6月24日、福津市役所1階ロビーで津屋崎祇園山笠振興会(西野正信会長)により「津屋崎祇園山笠奉納は来夏まで延期いたします」と書かれた立看板=写真①=が目に付きました。無病息災を祈念するお祭りですので中止ではなく「延期」です(なお、奉納はしなくても7月19日の祇園祭は代表者のみで無病息災を祈願の予定です)、との断り書きが添えられています。新型コロナウイルスの感染症患者拡大の状況に鑑み、来夏への延期は苦渋の決断という。
福津市津屋崎の氏神・波折神社に岡流、北流、新町流の3基の山笠が奉納される津屋崎祇園山笠は、毎年7月19日に近い日曜日にフィナーレの追い山を迎える夏祭りで、江戸時代中期の正徳4年(1714年)の始まりから起算して今年306周年となる伝統行事。A Quaint Town Tsuyazaki-sengen (古風な趣のある町並み)・津屋崎千軒を活気づける夏の名物行事が見られないのは寂しい限りです。
これに先立ち、例年4月に開催されてきた「津屋崎千軒よっちゃん祭」(同祭実行委員会主催)が2019年4月20、21両日開催の第22回=写真②=で終了と決定。実行委員会がfacebookに同年5月24日アップした「ご報告」の文面によると、「津屋崎千軒よっちゃん祭」を終了する理由について1.安全面を考慮し、継続開催は困難と判断しました。2日間で約25,000名と県内でも有数の集客のイベントとなりました。会場が複数かつ広域となり、駐車場の確保が困難となり、運営に関する警備体制について有志による運営であることから、安全に開催するために必要な人員の配置ならびに体制の強化が困難な状態でありました2.津屋崎千軒の魅力を発信するためには、大規模なイベントよりも、小規模かつさまざまなニーズに対応したものが必要とされています。常に津屋崎千軒の魅力を発信できるコトづくり・モノづくり・ヒトづくりが必要であると判断しました。イベントのない日の津屋崎千軒の交流人口の減少が顕著であり、持続可能なまちづくりを推進するためにも、新しい発想をもとにしたにぎわいづくりが必要です3.参加するすべての方々が幸せになるための環境の再構築をします。本会の運営および資金の確保、意欲の維持など、規模が大きくなることにより、相応の負荷がかかっておりました。これは、津屋崎千軒をみんなで楽しむ、という、本来の趣旨からの乖離であり、津屋崎千軒よっちゃん祭を終了することで、新たなまちの可能性を考える時間をつくることを、実行委員会の総意で決定いたしました。「新たな津屋崎千軒の豊かな在り方」を創造してまいります、としています。
写真②:「第22回津屋崎千軒よっちゃん祭」初日、来店者でにぎわう「豊村酒造」
=2019年4月20日午前10時25分撮影
私は津屋崎千軒よっちゃん祭が中止の危機に陥った平成22年(2010年)4月17、18両日、実行委員会の事務局長として「津屋崎千軒うみがめ祭・町家祭り」開催にかかわり、津屋崎塩倉庫ライトアップコンサートや塩作り体験教室、伊藤伝右衛門ゆかりの津屋崎写真展を企画運営、2日間で延べ8千人を集客できた経験があり、長年続いた名物イベントにピリオドが打たれたことは残念です。
終了した津屋崎千軒よっちゃん祭に代わって、2020年は津屋崎地域郷づくり推進協議会(山脇清会長)が4月19日(日)の10~16時、福津市まちおこしセンター「津屋崎千軒なごみ」で新規開催を決めていた「津屋崎千軒まつり」は新型コロナウイルスの状況に鑑み、今年は中止に。また、一般社団法人「地域商社福津いいざい」主催の「お魚センター」1周年祭4月18日(土)9~17時(~19日)も延期になり、開催日は未定。
さらに、例年7月に福津市津屋崎天神町商店街通りで開催されてきた夏の夜祭りイベント・「サマーナイトインふくつ」も第13回となる2020年は、新型コロナウイルスの感染症患者拡大の状況に鑑み、中止に。結局、2020年の津屋崎千軒らしい祭りは、10月11(日)の波折神社秋祭り(通称「オクンチ」)のみとなりました。波折神社が令和3年(2021年)に「ご遷座8百年」の節目を迎えるため、「波折神社御遷座八百年奉祝祭実行委員会」が同年秋に式・祭典、記念事業として奉賛金による社殿・合祀境内社・石垣の改修を行います。
いずれにせよ、新型コロナウイルス禍の鎮静を願いつつ、祭り好きの津屋崎千軒人は力を結集すればWITHコロナの時代に応じた新たな津屋崎千軒興しの祭りを創造できると信じています。