写真①:「津屋崎千軒町並みフォーラム」のポスター
・連載エッセー『一木一草』
第64:津屋崎千軒町並みフォーラムをバネに
<津屋崎千軒>の魅力と宝を活かしたまちづくりを
「豊村酒造」の近代和風建築の特徴を守って
福津市津屋崎の古風な趣のある町並み<津屋崎千軒>の「豊村酒造」で10月6日、<津屋崎千軒>の価値を伝え、持続可能なまちづくりを進めようと開かれた「津屋崎千軒町並みフォーラム」(市と「NPO法人津屋崎千軒を未来につなぐ会」主催)。正午、クロストーク「これからの観光と津屋崎千軒の役割」の終了後、ゲスト(来賓)のコメントも注目されました。
ゲストの一人で、「津屋崎千軒町並みフォーラム」=写真①=を後援した国土交通省・観光庁の観光資源課の佐藤智介・観光資源活用コーディネーターは、観光庁の古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進について、地域に眠っている古民家等の歴史的建築物を宿泊施設、レストランなど地域再生の核となる観光資源として活用する取り組みで、国内外からの旅行者の増加、交流人口の拡大、地域の雇用の創出などの効果を目指していると説明。そのうえで、福岡県太宰府市の滞在型観光を創出する取り組みとして「大宰府天満宮」門前町の古民家を西日本鉄道が改修した古民家ホテル「ホテル・カルティア 太宰府」が10月4日開業した例を紹介しました。
もう一人のゲストで同フォーラムを後援した福岡県教育委員会の田上稔・県文化財課長補佐は「県が調査した県内の財力のある人が建てた多様な意匠を持つ建築物120件の中で、豊村酒造は一番の建物。醸造部門でも一番です。店舗土間の松の梁は、博多町家と同じく半間おきに蜜に組まれている」と、梁は1間おきに組めばよいとされるのに度肝をぬぐように“見えの大梁”と呼ばれる豊村酒造の梁を解説。「建物の中心の中の間の建具を取り払うと、開放的な雰囲気になり、魅力的な空間が広がります。豊村酒造の近代和風建築の特徴を守っていただきたい」と建物保存の必要性を強調しました。
最後に、原﨑智仁福津市長が「東大の西村幸夫教授(現神戸芸術工科大教授)が2008年に福津市文化会館で、<津屋崎千軒>まちおこしへの提言、と題して講演(「津屋崎千軒海とまちなみの会主催」=写真②=された際、津屋崎の七不思議として本町の裏の町が3本も4本も道ができるほど発達している」と指摘されたことを思い出したと話し、津屋崎の魅力と宝を活かしたまちづくりをと提言されたことを紹介。「津屋崎のしとやかで上質な、静かな空間をしっかり磨き、津屋崎千軒の観光で持続可能なまちづくりを市民の皆様と進めていきたい」と挨拶し、会場から大きな拍手が起きました。
写真②:町並み散策地図「津屋崎千軒そうつこう」をスライドに映写して講演する西村幸夫東大教授=現神戸芸術工科大教授(208年7月19日、福津市文化会館で)