とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2020粟ヶ岳

2020-04-12 21:10:45 | 山登り
先日、女房と二人で掛川の粟ヶ岳に登ってきた。近頃は、他人との接触も避けなければならないという事で、マイカーで移動、途中の登山者との接触も避けるなどして静かな山旅を楽しみ、ストレス発散をしてきた。

粟ヶ岳の登山口は、一般的には東山からの往復コースで登る登山者が多いのだが、車でも行けるし、大昔家族連れで登って以来、ちょっと物足らない山だと思い込んでいたので、今回は、全く違うコースで行ってみることにした。いろいろ、調べてみると、最近整備されたばかりの倉真温泉からのルートが面白そうだと思い、そちらから登ることにした。

倉真温泉自体も行ったことがなく、ナビを頼りに倉真温泉近くにあるこんにゃく亭を目指す。こんにゃく亭近くに登山者用の駐車場があり、駐車料金200円(無人)を払って、長源寺に向かう。倉真温泉は1599年に長源寺の梅庵和尚が発見したという事らしく、歴史のあるお寺のようだ。


駐車場にあったコースマップを見ると、長源寺経由のルートは現在通行止めになっているらしく、迂回ルートとなる宝殿神社ルートで行くことにした。幸いルートを示す看板があちらこちらに立っていて地元の人たちがしっかり整備してくれているようだ。鳥居から先が宝殿神社への参道となる。


鳥居から3分ほどで宝殿神社に到着する。神社で登山の安全を祈願してから左後方にそれて登山道に向かう。


登山道は、雨で道がえぐれて木の根も張り出してしまっているのか、なかなかワイルドで歩き甲斐がある。


登山道には、竹林の中を抜けたりと、変化があって面白い。こちらは、けやきとぶなの夫婦木。仲良くけやきとぶなが合体している。


谷側が切れ落ちて、ロープに捕まっていかないと、危ない場所もあり、そこそこスリルもある。


見晴らしの丘からは、新東名高速道路が見える。


10:44。榎辻に到着する。大きな榎が目印となる分岐路だ。粟ヶ岳、松葉、青田の3方向に分かれるが、まずは粟ヶ岳方面に向かう。


榎辻からは、しばらく車道となる。11:20。粟ヶ岳ハイキングコースの入り口に到着する。


下方を振り返ると、東山からの登山道が見える。広大な茶畑の中を登ってくる登山者の姿もちらほら見える。


11:46。磐座(いわくら)と呼ばれる巨石群の場所に到着する。古代社殿がなかった時代の祭祀跡だ。


磐座の近くにある地獄穴。岩の割れ目が地獄に通じていると言われている。


11:54。阿波々神社は、736年に創建され、祭神として阿波比売命(あわわひめのみこと)が祀られている。また、素戔嗚命(すさのおのみこと)と櫛稲田姫(くしなだひめ)を祀った八重垣神社も併設されている。


運がいいことに、阿波々神社の周りは、シャクナゲの花が満開だった。まさか粟ヶ岳山頂がシャクナゲの群生地だとは思いもよらなかった。




阿波々神社から東側に出ると、2019年5月30日にオープンした山頂休憩所「粟ヶ岳世界農業遺産茶草場テラス(愛称 かっぽしテラス)」が見えた。2階建てのテラスで食事処も併殺されている。


かっぽしテラスからは、伝統的農法である「茶草場農法」が培ってきた広大な茶園が織りなす美しい風景をはじめ、静岡空港、大井川、駿河湾が一望できる。そして、テラスの前には、初めて中国から茶を日本にもたらした茶祖として知られている栄西禅師像と、今年の干支である「ねずみ」を模した茶草の巨大オブジェが立っている。高さ5メートル、幅2.5メートルで、ネズミが湯飲みで茶を飲む姿を表現している。


テラスから、茶園や桜を見ながら休憩している登山者たち。我々も、このテラスでしばらく昼食休憩をした。


阿波々神社裏手にある遠州七不思議の一つ「無間の井戸」。その昔、山頂には突くと長者になれるという無間(むげん)の鐘があった。山頂には人が押し寄せ、ケガをしたり死ぬ人も出てしまい、住職は鐘を井戸に投げ込んでしまったという。その井戸が無間の井戸だ。


無間の井戸からすぐ先にあるのが、本当の粟ヶ岳山頂532mだ。かっぽしテラスの前にも山頂標識があるので、本当の山頂まで来る人は少ない。


粟ヶ岳山頂からは、松葉不動滝方面に向かう。このルートに向かう人はほとんどいない。たまたま一人だけ、そちらに下山して行ったので後を追って下山する。しかし、この下山道はとんでもない道だった。ものすごい急勾配でロープに捕まって下りないと危険極まりない。


途中からは、岩や根が網の目のように張り出し、歩きにくいことこの上ない。しかも延々と続いている。


急勾配の下山道は40分以上もかかり、やっと沢沿いに出た。


やっと普通の登山道に出て、しばらく進むと“不動滝の天井覗き”という案内があったので、そこまで行ってみる。危なっかしい場所だが、滝が流れ落ちる場所を間近で見ることが出来るのだ。


一旦登山道に戻り、さらに進むと滝への近道があったので、そこから滝壺まで歩く。落差20mもある倉真川の源流をなす松葉不動滝だ。思いもよらず、なかなかの名瀑だった。


松葉不動滝から元の登山道に戻り、倉真温泉へと進む。途中には、松葉城址の案内があったので、寄り道していく。


10分ほどで松葉城址に到着する。松葉城は室町時代中期、河合氏によって築かれたとされる。明応五年(1495)、当時の城主・河合成信は今川派に属していたが、今川氏に敵対していた軍勢に攻められ松葉城は落城。成信は自害したとされる。


その後は、車道をグングン進み、15:04、倉真温泉の駐車場に到着する。


あまり面白みがない山とバカにしていた粟ヶ岳だったが、今回のコースは変化に富んで面白かった。しかも途中で会った登山者もごく僅かで、静かに山を楽しむにはかなりお勧めだと言えるだろう。

参考1.粟ヶ岳のコースマップ


参考2.粟ヶ岳の高低図とコースタイム