とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2020春・九州二百名山&三百名山登山ツアー:4日目高千穂峰

2020-04-03 20:34:02 | 山登り
宿を早めに出て、高千穂峰の登山口となる高千穂河原ビジターセンターに向かう。この辺り一帯前日から深い霧に包まれていたが、この日の朝も霧が濃く、駐車場からも山は霧に包まれ全く見えない。止まっている車も1台のみで、ガラガラの状態だ。


高千穂河原の駐車場端に一本の鳥居が立っている。現在沢山の参拝者が訪れる霧島神宮は古くは高千穂峰山頂近くにあり、火山噴火とともに頻繁に焼失したため、天暦年間には高千穂河原に神社が移された。しかし、ここに移された霧島神宮は1235年の噴火で焼失し、鳥居と参道、そして社殿の跡地が残るのみだ。この鳥居は、かつて神社がここにあったことを物語っている。


霧の中を進んで行くと、天孫降臨神籬(ひもろぎ)斎場こと霧島神宮の社殿跡に出る。


石段を登り、鳥居をくぐる。霧に包まれ、厳かな雰囲気の場所に来たと感じる。


広場の奥に、ロープが張られた場所があり、毎年11月、この古宮址と高千穂峰山頂にて「天孫降臨御神火祭(てんそんこうりんごじんかさい)」が行われ、崇敬者が願いを託した祈願札や絵馬が焚かれ国民の平安が祈念されるそうだ。我々も、この前で登山の無事を祈願して登山道に向かう。


樹林帯の中を進んで行くと、次第に霧が晴れてきた。陽も差して明るくなってきた。


いつの間にか、辺りの霧はなくなり、お鉢の縁がくっきり見えてきた。


新燃岳の頭もはっきり見えだしている。


樹林帯を完全に抜けると、急な斜面となる。赤茶けた砂礫の斜面で、新燃岳の噴火により火山礫等が堆積した状態だ。


完全に雲の上に出たようだ。霧島連山が連なっている様子がよく見えている。


雲海の上に頭を出しているのは、桜島だ。左端から噴煙がたなびいているのが見える。


さらに左側に目を移すと、三角錐の山がかすかに見える。本州最南端の百名山、開聞岳だろう。霧の中を登ってきた我々にとっては、最高のご褒美となる大展望だった。


お鉢の上に出ると、荒々しい火口が見える。


今もなお活動を続けている新燃岳からは、噴煙が上がっているのが見える、そして、その奥には、霧島連山最高峰の韓国岳も見える。今年の1月には、韓国岳山頂から高千穂峰を遠望したのが思い起こされる。


高千穂河原ビジターセンターの駐車場も小さく見える。


火口縁を左周りで進み、馬の背を歩いて高千穂峰に向かう。


みわたすかぎりの雲海をバックに歩くのは気持ちがいい。


馬の背から脊門丘(鞍部)に降りていく。かつては、ここに霧島神宮があった場所だ。




脊門丘から10分ほどで高千穂峰山頂に到着する。我々しかいないと思っていたが、先着の登山者が既にいて、この日の2番手であった。山頂からも雲海が広がり、まさに神が降りったった場所にふさわしい状況だ。


細長いポールの下には“天孫瓊瓊杵尊降臨之峯”の文字が見える。この高千穂峰は、日本神話によれば、天照大神の孫であるニニギノミコト(瓊瓊杵尊)が、葦原中国の統治のために降臨(天孫降臨)した山であるとされている。神話の世界に入り込んだような、不思議な感覚になる。空を見ると、筋のように雲が広がっていて、まさに神が降臨してくるかのような雰囲気だ。改めて、歴史があって山容も素晴らしく霧島山の主峰の風格を十分に備えた山だと思った。


そして、山頂1547mには、ニニギノミコトが降臨したときに峰に突き立てたとされる「天の逆鉾」が突き刺さっている。坂本竜馬が高千穂峰に登山した際に引き抜いたという逸話も残っているもので、その後の噴火で折れてしまったため、現在山頂にあるものはレプリカということだ。




山頂からは、噴煙を上げる新燃岳、韓国岳を一望できる。これ以上ない絶景だ。


山頂からの景色を堪能し、下山しようとすると、一気に雲が沸き上がってきて、あっという間に帰路となる馬の背は霧に包まれてしまった。まるで、我々の下山を待ってくれていたかのようだ。


お鉢の頂上で、もう一度景色を見る。


あとは、火山礫の道を一気に下る。


山頂からは1時間で駐車場に着いてしまった。車もいつの間にか増えていたが、これから登る人は、景色はもう見えないだろう。天気予報も午後から雨の予報となっており、我々が登った僅かな時間帯だけ展望が開けていたみたいだ。奇跡的な登山になったことに、心から神に感謝したくなった。


この後は、今回の山旅の最後となる霧島神宮に向かう。

参考1.高千穂峰のコースマップ


参考2.高千穂峰の高低図


「2020春・九州二百名山&三百名山登山ツアー:4日目霧島神宮」に続く。