とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

歌舞伎鑑賞会「一谷嫩軍記」「春興鏡獅子」

2013-10-06 23:46:49 | 社会人大学


今年最後の社会人大学の課外講座は国立劇場の歌舞伎鑑賞会だった。
早朝から、貸切バスで東京の国立劇場に向かった。

歌舞伎の概要は下記のとおりだ。

《演目》
・「一谷嫩軍記」(いちのたにふたばぐんき)二幕三場 ― 陣門・組討・熊谷陣屋 ― 
・新歌舞伎 十八番の内 「春興鏡獅子」(しゅんきょうかがみじし)長唄囃子連中

《出演》
松本幸四郎、中村魁春、市川染五郎、中村松江、市川笑也、大谷廣太郎、松本金太郎、市川團子ほか

《内容》
「一谷嫩軍記」
舞台は平家が源氏に大敗した一の谷の合戦。源氏方の勇将熊谷直実は、源義経の「一枝を伐らば一指を剪るべし」の制札に、
後白河法皇の落胤である敦盛の命を救えという命を察し、我が子を身替わりに敦盛の命を救う。
「春興鏡獅子」
踊り上手の可憐な小姓・弥生が、勇壮な獅子へと変化する様が見どころ。前半は美しい女の舞、後半は獅子として豪快に頭を振りつつ踊る。

「一谷嫩軍記」での一番の見所は、熊谷次郎直実を勤める松本幸四郎の演技である。一の谷の合戦で、直実は敦盛の首をとったかに思われたが、実は源義経の敦盛の命を救えという命に従い、同い年の我が息子小次郎の首をとって敦盛の代わりにしていたという、何とも痛ましく悲しい武士の悲哀を描いた話だ。夫婦の情愛、上役への気遣い・義理、そしてわが子を喪った父としての思いなど、その複雑な感情を見事に演じていた。最後は、我が息子の菩提を弔うため出家して陣屋を去っていく直実の姿が、見ているものにも万感迫るものがあった。

「春興鏡獅子」では、小姓弥生と獅子の精を勤める市川染五郎の踊りが素晴らしかった。前半では可憐な女小姓で可憐な舞をみせるが、後半では勇壮な獅子の姿に打って変わり豪快に繰り広げられる毛振りは、まさしくこれが歌舞伎だということを思い知らされた。また、ふたりの少年の松本金太郎、市川團子が演じた胡蝶の精は、本当に可愛らしい。真っ赤な着物で、お人形のように可愛く、息もピッタリ合って本物の女の子以上に愛らしい。演目が始まった当初は眠たくてしっかり見ていなかったのだが、松本金太郎、市川團子が出てきたあたりから、俄然舞台に目が離せなくなり、市川染五郎の獅子の踊りとともに見入ってしまった。

今回で、歌舞伎を見るのは4回目だが、鑑賞を重ねるごとに歌舞伎の奥深さがわかってきたような気がする。今回も、素晴らしい演目を鑑賞できて大いに満足した一日だった。