とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「人はなぜ富士山頂を目指すのか」~今日は富士山の日~

2011-02-23 22:43:40 | 読書
今日は「富士山の日」である。「2・2・3」(ふじさん)の語呂合わせをもとに、川勝静岡県知事が提唱し、静岡県は2009年12月に条例を制定した。今日は制定後、2回目の「富士山の日」となる。県内では、いろんな行事が行なわれたようであるが、文化的な分野でも「富士山」に因んだ本が発行された。

本の名は、しずおかの文化新書「人はなぜ富士山頂を目指すのか」である。発行は、静岡文化財団で、255ページ、500円という手頃な価格で発売されている。内容は、静岡が誇る「富士山」をクローズアップしたものだ。「人はなぜ富士山頂を目指すのか」というタイトルのもと、古代から現代までの人々が富士山頂を目指してきた経緯をさまざまな視点から紐解いている興味深い書籍である。

まだ全部読んではいないのだが、編集長の八木洋行さんの序文によれば、幕末の時代では御嶽山が日本で一番高い山と信じられていたそうだ。その当時は、富士山が日本一高い山という認識はなく、秀麗な富士の姿が日本一と例えられていたというのも興味深い話だ。

この本では、「人はなぜ富士山を目指すのか」という見地から、いろんな分野から富士を目指す人々の軌跡と多様な登山を紹介し日本人の富士山観を知ることができる。富士山を目指す人々は7,8月の2ヶ月間でおおよそ40万人と言われる。この40万人もの登山者を分類すると六つに分類できるそうだ。

一つ目は、登山の苦行を通して身を浄め弥勒浄土を目指そうとする宗教登山者。
二つ目は、スポーツとしての登山。厳冬期の登山、海抜0mから山頂往復を目指すマラソン登山、サイクル登山、スキー滑降等。
三つ目は、気象観測の技師たち。
四つ目は、観光をかねた一般登山者。日本一の高所に立ち、ご来光を拝みたいという人々。
五つ目は、富士登山を通過儀礼とする学校生徒の富士登山。
六つ目は、登山者を支える強力。

以上のような分類にほぼ分かれる。ただ、それぞれ目的は違うが、その本質は同じなのかもしれないのだ。つまり、人々の心の中には、円錐形ないし三角錘状の地形に反応する本能的なものが働いているのではないかと八木さんは書いている。その本能とは、天に近いところへ行きたい、近づきたいという心意だという。たしかに、円錐状の山容を空高く伸ばし、大きく裾野を広げた様は見る者を魅了させる。しかも山頂付近に白い雪を被った姿は、誰にでも富士山がそこにあるという事を認識させてくれる。どこの山に登っても、富士山が見えると感激してしまうのが我々登山者の常でもある。

さて、この本を紹介したのには、もう一つ理由がある。私の尊敬してやまない人生のよき指導者でありマラニックの呼びかけ人でもあるヒロボーさんが著者の中に名を連ねているからだ。ヒロボーさんが呼びかけ人となって毎年開催している「富士山頂往復マラニック」が“ゼロメートルからの富士登山”というタイトルで23ページにも亘って掲載されている。日本一の富士山を海抜0メートルから山頂3776メートルまで、24時間以内で往復する標高差日本一の大会「富士山頂往復マラニック」の話がヒロボーさんの言葉で書かれている。過去の新聞記事の内容や、これまでの大会の歴史、この大会にかけるヒロボーさんの思いなどが載っているのだ。今まで参加したことのある人、これから参加したいと思う人には必見である。

とにかく、いろんな見地から富士山の魅力をクローズアップしている。富士山の魅力に惹きつけられた方たちには是非読んで欲しい本である。