とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

バレエ「椿姫」

2010-07-05 19:54:27 | 社会人大学
今まで、オペラとかバレエとか芸術的なものって鑑賞する機会がなく、自分には縁がないものと思っていた。当然、積極的に見に行こうという気持ちも起こらず、美術館にたまに行く程度しかなかった。しかし、社会人大学に参加するようになって、歌舞伎とか、文楽、落語、遺跡見学といった行事に参加する機会を得るようになってきた。世の中には、自分の知らない世界が数多く存在し、自分はその中でもほんの僅かな世界しか知らない井の中の蛙であることを思い知らされた。そんなわけで、今回のバレエ鑑賞は新たな発見であったといえる。

今回のバレエは、新国立劇場の舞踊芸術監督である牧阿佐美さんの「椿姫」であった。1840年代パリを舞台にしたデュマ原作の有名な悲恋物語を牧阿佐美さんが振付家としてバレエ化したもので、新国立劇場バレエ団の10年間の集大成として制作されたそうだ。

ストーリーを紹介する(パンフレットより)

マルグリットは、パリ社交界の華。その美貌はどんな男も虜にしてしまい、金に糸目をつけない紳士たちが次々と彼女を我がものにしようとしてきた。しかしある日、夜会で若く純粋な詩人アルマンと出会ったことで、彼女の人生は一変する。真の愛に身を捧げる決心の末、全てを捨てて二人だけの生活を選んだマルグリッドだったが、アルマンの父の説得により心ならずも彼を裏切るのだった。肺病が悪化して死期が近づくマルグリッドの前に現れたアルマンは、許しを請う。しかし、時はすでに遅く…。

主要な各キャストには複数のダンサーがいるが、この日は今回のバレエのスペシャルゲストである外国人たちが全てつとめた。マルグリッドがスヴェトラーナ・ザハロワ、アルマンがデニス・マトヴィエンコ、伯爵がロバート・テューズリーというキャストだった。日本人のダンサーもいいかもしれないが、世界的にも有名なバレリーナの踊りを生で見られたことはラッキーだった。初めて見ただけで、バレエの評価を出来るわけでもないが、爪先立ちで、美しく優雅に踊るその姿は、まさに芸術である。スヴェトラーナ・ザハロワの美しさは、他のバレリーナより抜きん出ていたのは間違いない。また、他のバレリーナたちの踊りも美しく乱れることなく続いた。人間の体って、こんなにも柔らかく手や足、指先で感情を表すことが出来るんだと改めて思った。

バレエには、台詞が一切ない。オーケストラの演奏をバックに踊りだけで物語を表現する。踊りを見ていると、どんな場面かは何となく想像はできる。だが、完全に理解することは難しい。やはり、事前にパンフレット等でストーリーを読んでおく必要がある。全2幕4場が終わると、全キャストがカーテンコールに答え何度も登場した。観客もそれに答えて、何度も拍手を贈った。しかし、キャストから何の声の発生はない。バレエは声の代わりに体の動きで感情を表すものなのだろう。歌手のコンサートなどでは、本人から感謝の言葉が続き、観客が盛り上がるといったシーンに慣れているため、今回のカーテンコールには、何かあっけないような気がしたが、これもバレエの特徴なのかもしれない。