prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「流浪の月」

2022年05月27日 | 映画
見ていてどうも落ち着かない感じがつきまとうのは、やはり根本的に幼い女の子と年長の男の組み合わせで、イノセントな関係がありうるのかという点に十分な納得が得られないから、ということになる。
だから(松坂桃李)が幼女を誘拐して洗脳したというレッテルを貼られるのが、まったくの「無実」とは得心しずらい。

たとえば「シベールの日曜日」だったら、男の方が戦争による神経症を患っているという性格づけがあって初めて実は「変態」ではないという設定が成り立ったと思う。

ここでの文がいかに親との関係で自己否定的な状態に陥っていたとしても、そこまで納得できるものでありえたか。

ネット上の無責任なデマや誹謗中傷のをはじめとした「世間」と圧力の描写は、困ったことに「顔」がない分、型にはまりやすく若干またですかという感じになりやすい。

横浜流星の「世間一般」を代表しているようで次第にそこを踏み越えて自らを破壊してしまうキャラクター表現が秀逸。

松坂桃李の肉体改造ぶりは凄いけれど、その分感情移入しずらくもなった。