prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

2009年1月に読んだ本

2009年01月31日 | 
prisoner's books2009年01月アイテム数:12
ショーケン萩原 健一01月07日{book['rank']
お菓子の世界・世界のお菓子吉田 菊次郎01月27日{book['rank']
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20世紀少年 もう一つの第1章

2009年01月31日 | 映画
こっちみたいに原作も読んでいなければ劇場用第一作も見ていない人間のためのガイド代わりということになるのだろうけれど、期待値が低かったせいか案外と面白く見た。元のストーリーなりキャラクターなりが面白いのだろうね、たぶん。
それにしても、近頃マンガを読まなくなったなあ。特に連載ものを週刊誌を買って読むということは絶無。業界としては、どっかの国の首相がはしゃいでいられる状態ではないのだろうね。いろいろと組んで仕掛けなくては。

一作目は見る時間がなくて見逃したのだが、これで二作目を見ても話がわからないということはなさそう。それが目的で初日前に放映しているのだろうから、目的は達した。もっとも、実際に見に行くかどうかは微妙で、原作を読んでみようという気にも特にならず。
キャストに金と時間とられたのか、CGなんかは結構チャチ。

万博あたりに象徴される「未来に希望のあった時代」と、実際に来た「未来」への幻滅、その反動の滅亡願望といったモチーフは、実際に70年代に子供だった年代でなくても通じるだろう。「今」が嫌いな方が、普通だろうから。
本当に昔に「希望」があったのかどうか疑問で、「今」が嫌いな補償作用だと思っている。いかにキャストが原作のキャラクターに似ているかで話題作りとしているというのも、倒錯した話。


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第66回ゴールデングローブ賞 授賞式のすべて

2009年01月30日 | 映画
アカデミー賞に比べると、会席形式ということもあって、ややリラックスしたムード。それほどショーアップしていないしね。ドラマ部門と、コメディ・ミュージカル部門と二本立てだから、受賞者の数も二倍のせいもあるみたい。

テレビ部門もあるので、最近あまり見ないなと思っていたガブリエル・バーンなどがテレビで仕事をしていることがわかる。ほか、あまり日本ではあまり馴染みがなくてもアメリカではテレビで有名であろう人の顔と名前が、多々見られる。

「ダークナイト」のヒース・レジャーの助演男優賞受賞は当然というのを通り越して、他の人が受賞するのがはばかられるようなムード。
ロバート・ダウニーJr.が寝起きみたいなぼさぼさ頭と無精ヒゲ姿。
インドのスター、シャー・ルク・カーンが「スラムドッグ&ミリオネア」(圧勝!)絡みでプレゼンターとして登場。出演作にいくらか馴染みがあるもので、ちょっとびっくり。
ケイト・ウィンスレットの前代未聞の助演部門と主演部門のダブル受賞で二回とも、ふりでなく思い切り感激している。

それにしても、投票している外国人記者って、どんな連中だ? 会長がちらっと姿を現して、あっという間に引っ込む。


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「ホネツギマン」

2009年01月29日 | 映画

整体師のレスラー、だから間接技に強いというどっちかというと小ネタ一発で作ったみたいな話。
共同脚本がイーサン・コーエンというから、レスラーとしてのコスチュームが理科室の人体標本みたい(リングネームがNaked Manという。裸になりすぎ)、というあたりからしてグロ味が入ったオフビートコメディだけれど、話の運びが突然現れた悪役たちに頼っていてあまり内発的なものがないので、あまり弾まない。
(☆☆☆)


「ガレージ・デイズ」

2009年01月27日 | 映画


エジプト生まれのオーストラリア育ちのアレックス・プロヤスが「クロウ・飛翔伝説」の興行的成功、「ダークシティ」の惨敗(出演していたキーファー・サザーランドがどこかのインタビューで「誰も見ていない映画」と言っていた)の後、オーストラリアに戻って作ったロックンロールのバンドもの。日本劇場未公開。この後、「アイ、ロボット」でハリウッドに復帰することになる。

ダーク・ファンタジー色は一掃され、色使いは原色系の派手なもの、コメディ・タッチを前面に出して、心機一転といった感じだが、CM出身らしい凝った映像処理を見せるのは一緒で、ドラッグによる幻覚表現にダークなグロテスク味がスパイス程度に見られる。

メンバー間の男女のごたごた、売り出しの苦心など、だいたいお定まりで、資金を稼ぐのにコアラのぬいぐるみをかぶって保護のためと称して募金を集めていると、やはりコアラのぬいぐるみを着た本物のコアラ協会員(!)にニセモノめと追っ払われるのがオーストラリアらしい。
(☆☆☆)


「イントゥ・ザ・サン」

2009年01月25日 | 映画


スティーブン・セガール主演で、日本が舞台、とあったら珍作になるのは約束されているみたいなものたが、お約束のヤクザに、パチンコ屋、カタナを使った立ち回り、妙にケバい日本家屋のセットと、まあ普通の変さ加減。栗山千明が出ていることもあって、あまり金のかかっていない「キル・ビル」みたい。

セリフが英語日本語チャンポンで、アメリカ人が英語を喋り日本人が日本語を喋り、それでなぜか意思が通じたり、セガールが関西弁を喋って大沢たかおが英語を喋って、これまた話が通じる。

タカ派の都知事が暗殺されるという出だしはなかなか気持ちいいが、あとはいつも通りのセガールアクション。
(☆☆★★)

「ドタキャン!!!」

2009年01月21日 | Weblog
中目黒ウッディシアターにて。こちらスーパー月光うさぎ帝国公演。作・演出 白柳力 出演 加藤貴志, 西岡大輔, 小渡良章ほか

結婚式直前の会場から花嫁が消え、本番直前の漫才トリオから一人が消え、試合直前のバスケットボールチームからエースが消える、その消えた三人がそっくりなため、探しに出てきた他のメンバーが見違えて起きるドタバタ芝居なのだが、その三人を演じる役者がまったく似ても似つかない、どころか二人は男で一人は女なのに、他の登場人物が全員「そっくりだ」と認識してしまうのが芝居ならではの荒唐無稽な面白さ。よく笑い、儀礼的でない拍手を送る。

主舞台の左翼に張り出したような小さな空間があって、そこに主舞台を遠くから見ている設定の芝居が乗るのだが、気が焦ると設定を飛び越えて直接主舞台と行き来したりする。

「レッドクリフ」というか、三国志ネタがちょっと出てくる。こっちが知らなかっただけか知らないが、三国志ファンってそんなにいたか。


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「松本清張の断線」

2009年01月19日 | 映画
主演・松田優作、風吹ジュン、脚本・橋本綾、監督・崔洋一、撮影・浜田毅、音楽・梅林茂による、土曜ワイド劇場枠で1983.12.3に放映された二時間ドラマの再放送。ちょうど、「探偵物語」「家族ゲーム」が公開された年。
ビデオも廃盤になった作品だったが、田村正和主演の「疑惑」が近々放映される宣伝代わりに松本清張つながりで再放送されたもの。

優作の役は、女たちの間を渡り歩きながら女名前の銀行通帳に金を出し入れしているから、女を殺して財産を奪っているのかと思うと、そういうわけではなくて、女たちが勝手に死んでもほったらかして去ってしまうので、結果として殺した格好になってしまう、というもの。

男の出自がよくわからずセリフが少ないハードボイルドタッチもあって、男の謎の部分を常に意識させる作り。通帳に使われている「明子」という名前が誰のものなのかも複数あって、いずれにせよ男が「帰る場所」につながっているには違いないけれど、それがどこなのか、逃げ水みたいにわからなくなっていく。

銀行内部がああも個人情報を杜撰に扱うのは、今ではもちろん、当時でもちょっと乱暴。

心中未遂で生きのびた優作が、女と手首同士を結んだ赤い糸(実際は紐だが)を切るアクションを何度もアングルを変えた短いカットでぱっぱと重ねて見せるところで、この男、まったく他人の「縁」を結ぼうとしないのだなとわからせる。

望遠で捕らえられた神社の階段や、ラストの埠頭のカットなどシャープな画が随所に見られる。

それにしても、昼間の二時間ドラマの再放送というのはほとんど見ないが、のべつ番宣のテロップは出るわ、CMのたびに田村正和は現れるわで、番組見ているのか番宣見ているのかわからない。録画でCM飛ばせなかったら、我慢できなくなりそうなくらい。


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「チェ 28歳の革命」

2009年01月18日 | 映画
「レッドクリフ PART1」も話半分で終わっていたけれど、こちらは「休憩」と次に出ないのが不思議みたいな終わり方(事実、カンヌでは二部作一挙上映されたそう)。これだけで評価するのは難しい。

全編スペイン語で通している製作態度は立派。英語にしていたら、アメリカの言語帝国主義におもねったことになっていたろう。(後註・この映画、アメリカ資本ではないそう)

エンド・タイトルの一番最後の方に、super16の表示が出る。16ミリフィルムで撮ってエンラージして画面を荒らす効果を狙う技法だから、おそらく国連総会などのモノクロのシーンに使われているのだろう。撮影も兼任したりする監督の、今どき珍しい凝り方。

時制が交錯し、過去と現在が互いに批評しあうような技法は、これがよくある英雄の「成功譚」ではないことをはっきり示している。たとえば現在リバイバル中の「アラビアのロレンス」だと、前半「出世」していく英雄譚の興奮がすごくて、後半ちょっとしぼんだ感じになるのだが、このPART2では多分そういう具合にはならないだろう。

ベニチオ・デル・トロは外観も似ているけれど、人格的な大きさを表現するのに成功しているが、ちょっと若さが足りない。ゲバラが革命のイコンになったのは、夭逝したため、若く純粋なままイメージを固定できたせいがかなり大きいと思うので。




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「L change the WorLd」

2009年01月17日 | 映画
なんだか、ウィルスによる潰瘍のメイクがちゃちで白けます。いくらなんでも病状の進行が早すぎはしないか、とも思うし。
マンガ調なのが、この場合荒唐無稽なドライブ感でなくて、単に嘘くさい感じで乗りにくい。
松山ケンイチのうまく妙に作りこんだキャラは、ピンの主演となるとちょっと座りが悪い。

環境団体の皮をかぶったテロリスト、という悪役も、どうも狂信性が出ていなくて凄みに欠ける。南原清隆がFBIと名乗って日本人でFBIなんているかとぶちのめされる場面など、見たまんまでシャレにならない。

中田監督初のアクション・シーンもどうもぱっとしない。
(☆☆★★★)


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「英国王 給仕人に乾杯!」

2009年01月16日 | 映画
大国に翻弄された小国につきもののさまざまな悲劇や残酷な出来事が起こるのだが、語り口のユーモアと政治状況よりビールと色事、といった描き方が作り手の人間的な余裕を感じさせる。
背の低さ、という一点が民族や政治的立場を越えて複数の人間を共鳴させてしまうことがあるのが人を食っている。

ユダヤ人たちが財産を運びやすい切手に変えておく、というのが面白い。やたら高価な切手、というのは政治的に不安定な地域でごく短い期間発行されただけなので希少価値で高くなった、ということが多いので、ユダヤ人と親和性があるのではないか。

ナチスによる「優秀な」血の交配施設が、ドイツが敗勢になるに従って、手足を失った兵士たちの収容施設にそのまま転用されるあたり、たまたま「優性」な位置を占めているに過ぎない集団の傲慢を着いて衝いて辛辣をきわめる。同じ建物が持ち主が変わるに従って意味づけがころころ変わる、というのは、持ち主は建物を支配しているつもりでも、見方を変えたらたまたま主人の地位を占めているに過ぎないことがありありとわかる。
そして、最終的に主人公が主人になったかと思うと、社会主義政権に全部取り上げられて刑務所送り、というのが最大の皮肉。それでもインインメツメツにならず、女好きは変わらないのがいい。
(☆☆☆★★★)


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「ワールド・オブ・ライズ」

2009年01月15日 | 映画
テロ場面の市街地の爆発がリアルで、どんな風に撮っているのか音響効果ともども感心する。
諜報衛星からの大俯瞰で砂漠を捉えた、別の惑星のような映像も新鮮。衛星の監視をまくための方法が面白い。

ヨルダン情報部長役のマーク・ストロングがマスクも高価なスーツの着こなしも立派な押し出しで、印象的。
ディカプリオが髭を生やしハードに徹して好演。十年くらい前の甘さはすっかり消えた。
ラッセル・クロウもやりすぎではないかと思うくらい体重を増やし、エリート的いやらしさを強調した役作り。父親とすると、娘の野球の写真を撮ったり、「ライオン・キング」を見せたりしているのだが、この両アイテム、「その土曜日、7時58分」のイーサン・ホークがそっくりそのままやっていた。「娘に興味を持っている(ふりをしている)」父親御用達の典型ということになるか。

情報戦の、相手に食い込むかには誠実さが欠かせないのに任務を果たすには嘘をつかなくてはいけない矛盾した性格がきっちり描けている。
なんでPG-12指定になったのかと思ったら、拷問場面がすごく痛そうだからだろう。
(☆☆☆★)


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「恋する日曜日 私。恋した」

2009年01月13日 | 映画

題名から恋愛ものかと思うとすかされる。
堀北真希って、あまり笑っている印象のない人だけれど、ここではまったくといっていいくらい笑わない。死病患者役なのだから不思議はないのだが、演技の質が映画向けというか、無言の場面や長まわしが映えている。もっとも、テレビ画面で見ると、いささかかったるい。

設定が作りすぎというか、ちょっとお手軽に死病を扱っている観あり。母親が死んだというだけでドラマ動かすには十分ではないか。
(☆☆★★★)


「K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝」

2009年01月12日 | 映画
まだハイビジョンを部分的に採用しただけだった「帝都物語」('88)とは格段に発達した映像技術を駆使して作り上げた壮大な帝都の景観が魅力。
アール・デコ趣味とも見えるし、宮崎駿ばりのレトロな兵器趣味や清楚で気の強いヒロイン、「バットマン」ばりの活劇感覚も混ざっていたりと、盛りだくさん。
オートジャイロの活躍は「カリオストロの城」か、間一髪のところを助けに駆けつけたり、地面に叩きつけられそうになる瞬間に態勢を立て直すタイミングは「天空の城ラピュタ」かといった感じ。

怪人二十面相だ、明智小五郎だというといいかげん古めかしくないか、という心配もあったけれど、レトロ感覚を生かしながらうまく新解釈も混ぜて再生に成功している。ただ、サーカスというのは巡業してまわるもので、一定の場所にずっといるといるのは変な感じがした。
松たか子が突然現れた二十面相の手から逃れて街に出るところなど、なくては変なのに抜けているシーンが散見する。長く撮りすぎたのだろうか。

大東亜戦争が起こらなかったもう一つの日本、という設定は、つまり戦前の財閥が解体させずに身分制社会が温存されたままになっているということで、今はやりの格差社会にひっかけているのかもしれないが、ちょっと意地の悪い見方をすると、天皇制がどうなっているのかについては何も触れていませんね。商業映画で扱える問題ではないのだろうが。
(☆☆☆★)


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「ミラーズ」

2009年01月11日 | 映画
鏡の中のもう一人の自分が勝手に動き回って、本物の方が引きずられる、という発想は面白いのだけど、「伝染」していく元凶が何なのかというのがよくわからない。鏡の中から現れた悪魔なのかと思ったが、はっきりそう描かれているわけではなくて、精神病院にいた修道女が捜査の末に現れてこれが自分を犠牲にして事件解決かと思うと怪物化して大暴れしたりする。

鏡を全部覆い隠したと思うと、意外なところに鏡の働きをするものが現れる小アイデアはなかなか工夫している。
半分冗談みたいなオチがつくが、一度見ただけなので確認はしていないが車の方向がおかしくないか。

キーファー・サザーランドが銃を構えると、とたんにジャック・バウアーに見えるのが可笑しい。
鏡の特殊効果がなかなか斬新。
(☆☆☆)