prisoner's BLOG

見た映画のメモと、ツイッターのスクラップで出来ています。

「バッド・ルーテナント」

2010年03月31日 | 映画
アベル・フェラーラ監督の同名映画のリメークだというが、オリジナルは見ているけれどハーヴェイ・カイテルの刑事が女たちが運転する車を停車させ、そのすぐそばでオナニーするシーンしか覚えていない。

こっちもキレてるところは似たり寄ったりで、やたらコカインを決めてるものであちこちでイグアナの幻覚をみるのが妙におかしい。
悪党どもがまとめて射殺されたあと「魂が踊ってる」と言うと、死んだはずの一人がカポエラみたいな踊りを踊っているのがまたおかしい。

死体を川に放り込むすぐ目の前で平然と雑談していたりと、現実の描写の方も悪夢めいたユーモアがある。

ニューオーリンズの風土感がよく出ていた。
(☆☆☆★)


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バッド・ルーテナント - goo 映画
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2010年3月に読んだ本

2010年03月30日 | 
prisoner's books
2010年03月
アイテム数:23
テレビ消灯時間
ナンシー関
03月03日{book[' rank' ]
マリー・アントワネット 下 (角川文庫)
シュテファン ツヴァイク
03月09日{book[' rank' ]
マリー・アントワネット 上 (角川文庫)
シュテファン ツヴァイク
03月09日{book[' rank' ]
人間を守る読書 (文春新書)
四方田 犬彦
03月23日{book[' rank' ]
仮面の女と愛の輪廻
虫明 亜呂無
03月23日{book[' rank' ]
メメント
森 達也
03月23日{book[' rank' ]
菜の花の沖〈6〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
03月25日{book[' rank' ]
映画の瞬き―映像編集という仕事
ウォルター・マーチ
03月26日{book[' rank' ]
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「マックス・ペイン」

2010年03月30日 | 映画
マックス・ペイン (完全版)[Blu-ray]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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せめてドンパチをたっぷり見せてくれたらあまり文句言わないんだけれど、妙にもったいをつけて見せ場らしい見せ場がなかなか出てこない。

黒い鳥みたいな死神の幻影がちょいちょい出てくるので、これオカルト絡みの話なのかと思うとそういうわけでもない。ただドラッグをやっていて見た幻覚らしい。そんなもの、なんで出すのよ。

原作がゲームだと知らないで見たのだが、原作に死神でも出てきたのか。だとして、知らない人間にわからなくていいってことないだろう。
(☆☆★)


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「ウディ・アレンの夢と犯罪」

2010年03月29日 | 映画
イアン・マクレガーの恋人の女優(ハーリー・アトウェル)が、ギリシャ悲劇で何が好きと聞かれて「メディア」と答えたあと、「クリュタイムネストラはやりがいのある役」とか言うのだけれど、クリュタイムネストラが出てくるのは「イフゲニア」や「エレクトラ」で、「メディア」は関係ない。知ったかぶりしているのではないか。
「役とるためなら監督と寝るかい」と聞いて、役と監督によるといやに計算高い答えをするので「いやな答えだ」と言うと、「いやな問いね」と言い返す。上昇志向が強くて、インテリぶっているという点ではアニー・ホールとタイプは近くて、もっと可愛げがない。
いかにも男を破滅に導く悪女タイプではないところが、なんか意地悪い。

原題のCassandra's dreamのカッサンドラというのは、ギリシャ悲劇「トロイヤの女たち」などに出てくる女予言者で、必ず予言は当たるのだが、誰もそれを信じないよう神に定められたため、悪いことが起こるのがわかっていても防ぐことはできないというキャラクター。なんか、この映画のこれは必ず悪い方に行くぞとわかっていても後戻りできない展開(ギリシャ悲劇的というと大袈裟だが)を予告しているみたい。

クライマックスのカタストロフが、ちょっと駆け足気味で十分な余韻がないのは惜しい。
(☆☆☆★)


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「ジェリー」

2010年03月28日 | 映画
ジェリー デラックス版 [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

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何にもない風景の中をえんえんと二人の男が放浪する、筋らしい筋も展開らしい展開もない、ほとんど昔で言うアングラ映画。よく言って大型環境ビデオ。
十分ですむのを二時間近くかけてどうするの。
ガス・ヴァン・サントって、「サイコ」のリメークとか、ときどき何にも考えてないようなシロモノを作る。
(☆☆)


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「湖のランスロ」

2010年03月27日 | 映画
湖のランスロ [DVD]

紀伊國屋書店

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ロベール・ブレッソン監督の劇場未公開作。東京映画祭で上映されたきり、DVDのボックスでは出ていたが、単体で発売されたのは初めて。

甲冑同士がぶつかる音、馬のヒズメの音、などなど目に見えるものより、音によって暗示されているものが豊かなのは、ブレッソン独自の文体。
全身を甲冑で固めた騎士たちはただでさえ誰が誰だかわからないのに、アップその他の個々人を描き分ける技法をまったく採用していないので、完全に無人称になっている。
通常の「個性」や「感情表現」をオミットして、余白の見るものの想像力にゆだねる部分を最大限に活用する表現法。

オープニングの甲冑を通しておびただしい血が流れる描写は、作り物くさいのに、あるいは作り物くさいから妙に生々しいな残酷さがある。
その感覚を延長していくと、ただ甲冑を外しただけで体の一部を取り外したように見えたりする。通常のリアリズム以上の喚起力。

ランスロというとアーサー王伝説のランスロットのことしか知らなかったが、DVD付属の解説書によるともとはケルトならぬブルゴーニュに伝わる伝説で、ずっと後年ケルト伝説に混ざったものらしい。聖杯探索の話も、後からくっつけられたものだというから、驚いた。
とはいえ、王妃との不倫とモードレッド(これだけアーサー王物語と名前が同じ)の裏切りが軸になっているのには変わりない。
(☆☆☆★★★)


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アジアの逆襲 +THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者

2010年03月26日 | 映画
アジアの逆襲 REMIX LIVE VERSION THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者 [DVD]

ビデオメーカー

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石井聰亙監督の短編二本立て。

「アジアの逆襲」は1983年に一度撮ったものを音響をリミックスした再生バージョン。元のを見ていないので、どれほど変わったか比較はできないが、これほど強烈な音響処理はなかなか聞けない。空気が音で変質して、ビロードみたいに手で触れそうな実在感がある。
「THX1138」ばりの、実在の地下世界を近未来に見立てて一つの別世界にまで仕立てる作り。ラストだけ外に出るのも似てはいる。もっとも、ずっと地下にこもっていたら普通外に出たくなりますが。

「指圧王者」は、浪越徳治郎(「指圧の心は母心」の本物です)が白人女性を指圧していると、そのツボから全身に生命感のようなものが広がっていき、それだけでとどまらず街中を走る車まで宇宙の中の血流みたいに見えてくる妄想にまで至る。

ともに妄想のぶっとび具合を見る映画。
動と静の両極端だけれど、どっちも行くところまで突っ走らないと済まない感じ。


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「プリンセスと魔法のキス」

2010年03月25日 | 映画
ディズニー初のアフリカ系のヒロインで、舞台もニューオーリンズ、ランディ・ニューマンの音楽もジャズ調で、ワニがトランペット吹きだったりする。
おなじみのミュージカル・ナンバーも「ライオン・キング」舞台版ばりにアフリカ美術を大々的にフューチャーしている。

悪役の黒魔術師も黒人得意の原色ギラギラの扮装。
彼が歌う歌の中でドル札のことをその色からgreenと呼ぶのが、カエルの色にひっかけている。日本語吹き替えではどうなっていたのだろう。

カエルの王子とヒロインがキスすると、王子が人間に戻るのではなくヒロインがカエルになってしまうという着想は「シュレック」以来のおとぎ話の読み直しだが、魔法がどういう条件で効いてどういう条件だと解けるのかという設定があいまいなのは困ります。
あと、なんで王子をカエルに変えるのか、わざわざ執事を王子に化けさせて使うより、金がないのは一緒なのだから王子当人を魔法がらみで取り込んだ方が簡単に思えるのだけれど。執事を動かしたであろう金がない恨みを描きそびれている。

ホタルが重要なキャラクターとして出てくるのだが、乱杭歯のおそろしくガラの悪い暴れん坊なのが、日本でのイメージとあまりに違うのにびっくり。火のハエfireflyという言葉のイメージだとこうなるのか。

ディズニーとしては久方ぶりの手書きアニメ。3D-CGに慣れた目には、平面的というより様式的に写る。
(☆☆☆)


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「K-19」

2010年03月24日 | 映画
「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督の八年前の前作。これがコケたものでなかなか新作が作れなかった。製作費もこれは一億ドル、新作は 1100万ドルと、ほぼ十分の一に縮小されたのだが、それでオスカーを受賞するのだからわからない。
潜水艦映画の例に漏れず見事に女っ気がない。知らなかったらこれで監督が女とはなかなか思うまい。

主演のハリソン・フォードが製作総指揮も兼ねているわけだが、どうも役者としては「ケイン号の叛乱」のハンフリー・ボガートにあたるような役どころをやってみたかったためではないかと想像する。
生粋の軍人だが、やや異常性があり、誤った判断を連発するので、命の不安に襲われた部下に拘束される潜水艦艦長という役で、副官(ここではリーアム・ニーソン)がとってつけたように艦の指揮がいかに厳しいものかと演説して変に名誉回復するあたりも、「ケイン号」と似ている。
もっとも、フォードだと異常性と艦長の責任感の二面性併せて表現するわけにいかず、敵役がとってつけたようにヒーローになるのが変な感じ。

放射能被爆による人体の損壊の描写は、アメリカ映画としては異例のリアルさ(というか、日本ではここまでリアルなメイクはちょっとできないだろう)。核に対する危機意識は元旦那よりレベル高い。

ソ連の潜水艦の話なのにオール英語で、しかもしたり顔でソ連の硬直した国家体制を批判しているのはハリウッド映画らしいいい気なもの。
(☆☆☆★)


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「シャーロック・ホームズ」

2010年03月23日 | 映画
予告編その他から、ずいぶんガラッ八なホームズだなあ、と思っていたのだが、見ているうちに慣れてきてあまり気にならなくなってくるのは役者の力量か。ワトソンも原作だと脚が悪いのだが、まあ強いこと強いこと。

ストーリーもコナン・ドイルというよりダン・ブラウンみたいで、ちょっと笑ってしまう。もっとも、原作にも「五つのオレンジの種」みたいにKKKを人種差別組織というより秘密結社みたいに描いたのがあるのだが。

ホームズ得意の名推理を後から解説して付け足すのではなく、先回りしてどうやったらどうなるかを判断してから実行に移すように描いているのはスピードアップにつながっている。ヴィクトリア朝のロンドンの街を綿密に銅版画のようなタッチで壮大に描き出した美術(含CG)は見もの。

明らかに続編を作りますよというラスト。
(☆☆☆★)


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「スイートリトルライズ」

2010年03月22日 | 映画
ひとつひとつの描写にこめられた感覚のこまやかさを味わう映画。

初めの方では朝食の卵二つを混ぜておそらくオムレツにしていたのが、ちょっと夫婦間に波風が立つと落とし卵になって、固まっていない卵がそれぞれ別々に湯の中を頼りなく泳いでいるのがいかにもそのときの夫婦のかたちなのがまことに細かい。

時計のゼンマイを巻く、アルコールランプに火をつけサイフォンでコーヒーをいれる、などというちょっとレトロなライフスタイルなのがこれ見よがしでなくおしゃれでもあるし、どこか主人公夫婦の血の気の薄さを感じさせる。

テディベアを製作している情景で、目の部分に待ち針を刺して目にするのが、目に針を刺しているようでもあったり、できかけのテディベアが体をばらばらにされた姿のようでもあったりするのが、凄んでいるわけではないのに微妙に怖い。

妻が毎朝早く起きて外から窓を拭きながら中で起きた夫にガラス越しに微笑みかけるのが微妙な距離感を出している。
窓が好き、という中谷美紀のセリフで示されているが、人物が窓を通して見る、その距離感がひとつの大きなモチーフになっていて、浮気相手とのカットバックでは両者の後ろの窓の開き方のわずかな違いと風の吹き込み方にまで気を配った、おそろしく神経の行き届いた演出。
全編のクライマックスならぬ陥没点みたいに置かれている地下鉄の扉が開いても誰もいない「空き」のショットも「窓」のモチーフの変奏ととっていいだろう。

中谷美紀のなんだか地上五センチ浮いているような感じがよく生かされた。
後半、死んだ近所の犬と一緒に埋める穴に入ってみせたり、飼い主の婆さんがトリカブトで夫を殺したと淡々と喋って、骨壷に入った砂糖をコーヒーに入れたり、どうも現実にあったこととは思えない出来事が続き、幽明定かならぬ匂いを漂わす。
(☆☆☆★★★)


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「猿ロック THE MOVIE」

2010年03月21日 | 映画
天才的な鍵職人、サルが美女に頼まれて鍵を開けたところ、とんだ犯罪騒ぎに巻き込まれる、パターンとしてはハードボイルドの典型。もっとも、こちらは美女にはてんで弱い。
原作だと女に弱いあたりの描写がもっとヤラしいのだが、こちらは「星の王子さま」を出したりしてかなりメルヘンチック。というか、含羞あり。

細かいところのつなぎで目立たないが丹念に省略法を多用しているのがテンポを出しているほか、技巧的にはかなり凝っている。
(☆☆☆)


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「ハート・ロッカー」

2010年03月20日 | 映画
爆弾処理兵の男は、わざわざ防護服を脱いだり、無線の会話を拒否したり、本国の妻子との平和な生活には耐えられないしと、度胸があるというより死にたがりdeath wishなのではないかと思わせる。
一方に普通に生きて帰郷したい相棒たちとの組み合わせは一般的娯楽作では「リーサル・ウェポン」一作目などにもあったが、命知らずに極端に寄るのは「ハートブルー」以来のキャスリン・ビグローの好みと思える。

ただし、本来の敵であるテロリストはまったく姿を現さないし、キャラクター間の力関係に本質的な変化があるわけではなく、キャラクターそのものには変化はないので、仲が良くなったり喧嘩したりはしても決定的な対立には至らず、後段はやや単調になり、人間爆弾などの残酷さのエスカレートでも埋め切れているとは思えない。

遥か遠くからの姿のほとんど見えない狙撃兵(それも複数)と砂漠の真ん中で一人また一人と倒されていくあたりは、「フルメタル・ジャケット」のクライマックスや、古くはジョン・フォードの「肉弾鬼中隊」('34)を思わせ、白人にとっての異民族の不気味さをもろに形象化している。
政治的な「正しさ」に色目を使っていないのは結構。

映像と音響のリアリズムはすさまじいが、それがイコール戦場のリアルかというと、「アバター」の3Dの森みたいな映像技術上の情報量の増加と表現の真実性とを混同したみたいなところがないではない。
(☆☆☆★★★)


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「クレーヴの奥方」

2010年03月19日 | 映画
クレーヴの奥方 [DVD]

紀伊國屋書店

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映画の文体が終始、揺るがない。
音楽はクラシックとポップスが接続される。異質なもの同士が融けあうことなく接続される。
原作は古典となっている不倫の話とはいっても、タッチとしてはまったく情念に寄ることはない。物語のいわゆるドラ マチックになりそうな部分は簡潔な一枚の字幕で示される。

何度も登場人物が石像や肖像画など、人間の似姿をじいっとみつめる姿が出てくる。人間の方も、ロック歌手ですら、ほとんど固定されたアングルからカットを割らずに凝視される。人間同士のまなざしは、ほとんど一方的なままで、人間が会話を交わすことで意思を伝える、普通のドラマではあたりまえのシーンは大きく二つ、死の床の母がヒロインと語り合うシーンと、夫がヒロインに不倫の告白を受けるシーンで、ともに語り合った相手はほどなく亡くなる。まともにヒロインと語り合うのを繰り返すのは石で固められた修道院の中の俗世間から無菌状態で生活している修道女だけだ。

その中に平和な世界にいる人間には本来的に不可視 の不幸(アフリカの子供たちの悲惨)が唐突に語られ、その断絶に関しては映画は厳密に「知ったかぶりして」画として示すのを排除している。
行方不明になってしばらくして届く、アフリカに渡ってそこで子供たちを相手にしている修道女たちについて書かれたヒロインの手紙を読み終えた修道女が、朝のお勤めにわずかに遅刻して参加するのは、断絶を突きつけられたためのわずかな動揺なのだろうか。

オリヴェイラの文体は一作ごとに違い、どうにもつかみにくくて往生することが多いが、これはブレッソンばりの簡明さを感じさせる。
(☆☆☆★★)


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「17歳の風景 少年は何を見たのか」

2010年03月18日 | 映画
17歳の風景 [DVD]

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岡山の金属バットで母親を殺した少年が、なぜか自転車ではるか遠くまで走り続けた実話の、その走る姿だけをひたすら積み重ねている。ただ寒々とした風景の中を走る自転車を追うだけで、不思議なくらい飽きない。
かつて同じ若松孝二監督が、連続射殺魔と呼ばれた永山則夫の辿った風景だけを人物抜きで綴った「略称連続射殺魔」(1975) の延長上にあるとも言える風景映画。
「略称」は犯罪を起こす前の永山の人生の風景を追い、こちらは犯罪を犯した後の風景を追っている。

風景の間に、高校生三人組・戦中世代の男・日本に来て過酷な労働で子供を埋めなくなった老婆が現れ、それぞれ大きく言って日本が戦争責任をどう回避してきたのか、それが国のあり方をいかに歪ませているかに対する直接的な批判となる言葉をえんえんと口にする。
セリフでもなく、独白でもなく、演説でもなく、作者の代弁というわけでもない、人物から微妙に離れた、不思議な言葉の使い方。

それが即少年犯罪を生んだというような理由付けをするわけではないが、格好付けでなく終始一貫して反国家・反権力を通してきた若松孝二にして描ける国家そのものの犯罪性と個人の犯罪との混交になっている。

シベリア抑留された一般の「日本人」に韓国人(当時は日本に併合されていたのだから)がいたことをはっきり言った映画はあまり記憶にない。

詩的とも言えず、観念的とも決め付けられない、しかしどちらでもあるあまり類のない作り。
戦争で両手足を失った兵士を世話する妻役で寺島しのぶがベルリン映画祭で女優賞を獲得した若松の新作「キャタピラー」が楽しみ。

かつての「国辱映画」の監督が、今や世界の檜舞台に立っているのだから、皮肉なもの。それでいて、えらくなって堕落するってこともないのは、ご立派。
(☆☆☆★★)


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17歳の風景 少年は何を見たのか(2005) - goo 映画
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