prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「墓泥棒と失われた女神」

2024年08月19日 | 映画
貧しい生活を描く埃っぽい場面が大半を占めるのだが、監督のアリーチェ・ロルバケルの姉のアルバ・ロルバケルが仕切る豪華ヨットで開催されるオークションの場面だけ場違いにケバい。
貧富の格差を絵に描いたようだが、実のところカネがある側も尻に火がついていて意外と余裕がないのがオークション頼りの態度からうかがわれる。

ヨットの甲板で背後の海を見せているうちにこの後の展開が予感されるのがスリリング。
放り込まれた彫刻の首の主観で海の中を漂うショットが喪失感に満ちて印象的。
ラストでこの時の喪失感がやや唐突に取り戻される。
しかし首を切り落とすというのはずいぶん乱暴。バチ当たりというか。

 高値をつけるため故意に首と胴体を切り離すこともあったらしい。
「他の理由として、美術商が大金を得るためにわざと彫像の首を落としていることが指摘されています。古代ローマの彫像は高額で取引されるため、美術商は故意に彫像の首を切断し、首と体を分けて出品することで完全にパーツがそろった状態よりもより高値で取引しようとしているそうです。J・ポール・ゲッティ美術館に収蔵されている『ドレープの女性の像』はその一例で、1972年に美術館に収蔵された際には頭部が欠落した状態でしたが、その後失われた頭部が発見されました。発見された頭部には20世紀に入ってから意図的に切断された形跡が見つかっています。 」






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