prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする」

2003年03月31日 | 映画
現代文学趣味というのか、とにかく話がまったく進まない。
過去と現在の人物が同じ画面にいるいわゆるトランジション・ショットって、40年以上前からある手法だし、「黙秘」あたりの娯楽作品でも使われるくらいポピュラーになっているから、今さらって感じ。それで過去と現在を行き来しては、どっちでも陰々滅々とやられては、たまらない。
(☆☆)


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「博奕打ち 総長賭博」「仁義なき戦い」

2003年03月30日 | 映画
「総長賭博」は三島由紀夫が“ギリシャ悲劇的”と称賛したことで有名だが、冗談でなしに完璧にぬきさしならず論理的に他にありえない展開を見せるという点で、まさしくギリシャ悲劇的なのだが、こういうドラマを仕組むには舞台になっている世界ができあがっており、牢固として疑われない必要がある。
ギリシャ悲劇だとそこに“神”が出てくるところを、ここでは“仁侠道”というわけの分からないものが出てくるわけで、権威があって疑われないのではなく、中身が空白だから疑いようがないわけだ。「仁義なき戦い」で神輿とした担がれながら、結局手下ばかり自滅させて自分一人は生き残る山守組長のありかたもそうだが、この無気味な空白ぶりには、明らかに笠原和夫にとっての<>が見える。



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「007 ダイ・アナザー・デイ」

2003年03月29日 | 映画
?5?秘密兵器”は、荒唐無稽でおもちゃじみたところが魅力だった。ところが、昨今のハイテク兵器は本当に昔はSFの世界だった機能を備えているものだから、しゃれにならない。特に今の時期では、ああいう兵器が本当にイラクで人を殺しているのだから、なおのこと。ニュース映像にあまり死や血が映らない分、逆にフィクション映像にその匂いを感じてしまう。
北朝鮮が悪役というのも生々しすぎる。ボンドが拷問されるタイトルバックというのも前代未聞だろう。
(☆☆☆★)


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「卒業」

2003年03月28日 | 映画
堤真一の別れた奥さんというのが、まったく画面に出てこないで一種の圧力をかけてくるという構造なのだが、暗示にとどめている描き方なので、含みがある代わり、内山理名の役が何か前妻と関係あるのか、と勘違いしかけたところがいくつかあった。
図書館やホテルのロビーなど大声で出してはいけない場所で大声を出し、それをまわりの人間がとがめないというあたりはひっかかる。やたらと雨が降り、ラスト春先だというのに雪になるというのがひねっている。
(☆☆★★★)


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「棒たおし!」

2003年03月23日 | 映画
初めの方に大学生の本格的な棒たおしをビデオで見せてしまうので、高校生の棒たおしでどうやってクライマックスを作るのだろうと思ったら、なるほど、こういう手できたか。
遠くで赤い棒が倒れるのを、青い棒のてっぺんを手前に入れた奥行きの深い名構図。撮り切れてないとおぼしいところがかなり散見し、十分ヴォリュームが出ていないのは惜しいが。
男の子と女の子で自転車二人乗りする長回しのシーンのリリシズム(ちょうどいいところで風が吹いてくるのは偶然か?)、練習シーンのカッティングと、粘ってよし弾んでよし。
あまり若いと顔がまだできていないのと、馴染みのないのとで時々誰が誰だかわからなくなる、あと台詞が聞き取りにくいのは困る。
なんで「工業科」があんなに威張ってるの? 
棒にするすると登るのをちゃんとやっているのはいい。
(☆☆☆★)


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「戦場のピアニスト」

2003年03月18日 | 映画
無声映画に音楽をつけるバンドのメンバーで、シベリア抑留の経験がある人が、ピアノが弾けるので待遇が楽になったという話を思い出す。芸は身を助ける、というのか。



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「船をおりたら彼女の島」

2003年03月17日 | 映画
大半は年輩の客。昔の日本映画のよう。父親と娘の間で気兼ねしている関係というのは、あまり描かれることのないモチーフ。
照英の人のいい幼馴染みがおかしい。カメラがすごい。
(☆☆☆★★)


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「インプラント」

2003年03月16日 | 映画
子供の時暗闇に対して感じる恐怖をモチーフに据えたのはいいのだが、中途半端にその恐怖に具体的な形を与えたのが理に落ちた感じでちと白ける。相変わらず場内が明るくて暗闇の感じが薄い。
主役の女の子は超細身でホラーものにふさわしい容姿。
(☆☆★★★)


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「日本侠客伝」

2003年03月15日 | 映画
主役格が大勢いて、それぞれに見せ場があるにぎにぎしい作り。クライマックスはお祭りだし。「昭和の劇」によると、もとは「忠臣蔵」だという。なるほど。脇の小芝居が割と凝っているが、時間が経ってみると古めかしくも見える。
(☆☆★★★)


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「女渡世人 おたの申します」

2003年03月14日 | 映画
味方と思った人間がみんな裏切って行く作り。かみさんたちが白い目で見るのは、かみさんたちの心情もわかるように演出した方がよくなかったか。主役を立てるのに気がいってて、あれでは憎まれ役に近い感じだ。
藤純子が赤ん坊を助ける場面は、赤ん坊を抱いたままワンカットで火事の中をくぐり抜けるのだからびっくり。今だったら、児童福祉法違反だろう。
(☆☆☆★★)


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「ノー・グッド・シングス」

2003年03月13日 | 映画
ボブ・ラファエルソンらしい少人数の粘っこいドラマ。現代化ということもあり、ハメット原作の味は薄い。サミュエル・L・ジャクソンがチェロを弾くという不思議な光景が見られる。
(☆☆★★)


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「人間の運命」

2003年03月12日 | 映画
旧ソ連の映画で、大映そっくりのマークの会社の配給の日本語版。「僕の村は戦場だった」にも妙な日本語版があったが、左翼系の上映網による普及版らしい。第2次大戦でソ連兵がドイツ軍の捕虜になっていかにひどい目にあったかという話。戦争終わってから日本軍(民間人も)を捕虜にしてこき使ったのはどこの国だと突っ込みを入れたくなって困る。ドイツ軍将校に対抗してウィスキーを駆け付け3杯で飲み干すシーンが面白いくらいで、あとはだいたい型通り。
(☆☆★★)


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「ダークネス」

2003年03月11日 | 映画
場内が妙に明るくてダークじゃないのが困った。ストーリーはまあ一応筋が通っているが、その分意外性に乏しい。スペイン映画で英語というだけでなく、フラッシュ的な編集など、どこも文体が似てきている。
(☆☆★★★)


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「レッドドラゴン」

2003年03月10日 | 映画
演出に美学がない。ラストの“偽の解決”の作り方など、明らかにショック効果を優先させていて辻褄が合っていない。レクター博士は“おなじみ”になってしまったので、怖くなくなった。見ている間はけっこうおもしろかったのだが、時間が経つと印象が薄くなる。
(☆☆★★★)


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「ビロウ」

2003年03月09日 | 映画
潜水艦ものと幽霊船、それとミステリ趣味を組み合わせた趣向は面白いけれど、少しうまくつながっていないところがある。不発な機雷が潜水艦の上を転がって行くサスペンスやごつい錨の鈎で艦の胴体を切り裂く趣向は今までにないもの。
(☆☆☆)


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