prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」

2022年05月20日 | 映画
原題はMy Salinger Year。
すでに隠遁生活に入って久しいサリンジャーに来る手紙の相手をする作家(詩人)志望のインターンの女の子が主人公。

上役がシガーニー⋅ウィーヴァーだから鬼上役に絞られる「プラダを着た悪魔」的な展開になるのかと思うとむしろ逆。
作家という相当に扱いにくい連中を相手すると共に、自分自身がその扱いにくい人種であることを受け入れる話とまとめられるか。
場合によっては悲劇につながることもある。

サリンジャーその人はほぼ出てこないのだが、レイ⋅ブラッドべリは俳優が演じて出てくる。
ワープロとタイプライターが混ざって出てくる微妙な時代。

編集者と作家というと、日本ではマンガでは二人三脚的な関係が成り立つのだうが、純文学だとどこか作家の方が偉い、いや作品を磨くのは優秀な編集者あればこそという間を行き来する気がする。

それにしてもサリンジャーという作家も不思議な存在で、「ライ麦畑でつかまえて」「フラニーとゾーイー」「ナイン·ストーリーズ」と主だったところは読んでいるのだが、そしてつまらなかったわけでもないのだが、ある種の熱狂的なファンの情熱のよって来るところはよくわからない。まあファンというのはそういうものなのかもしれないが、そういうファンを持つ作家とそうでない作家はどこが違うのだろうと思う。