prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウィッカーマン」

2022年05月07日 | 映画
タイトルはAnthony Shapher's The Wicker Man 「アンソニー·シェイファーの ウィッカーマン」なのね。
アンソニー·シェイファー脚本だとは実は知らなかった(原作・デヴィッド・ピンナー The Ritual クレジットなし)。

双子の兄弟のピーター·シェイファーの「エクウス」「ピサロ」「アマデウス」にはキリスト教以前のアニミズム的世界と対置したキリスト教批判という性格が明らかにあるが、兄弟のアンソニー(「探偵 スルース」、78年版の「ナイル殺人事件」など)のこの作品も典型的にそういう構造がみられる。

ストーリーが進行していくにつれて主人公の警官ががちがちにキリスト教的道徳に縛られていて、しかも童貞というあたり「アマデウス」のサリエリかという設定。
パブの娘の性的誘惑に七転八倒するあたり、修道僧みたい。

娘役のブリック・エクランドがヌードが綺麗で唇の感じがスーザン・ジョージみたいでセクシー。
警官役のエドワード・ウッドワードは出演時43歳。婚約しているから誘惑には乗れないと自分では言っているのだが、本当なのかどうか。
すごい長身のクリストファー・リーが女装して踊っているあたりの異様さなど、さすがのカリスマ性と不気味さ。

クライマックスは魔女の火炙りや家畜を一緒に焼くあたりノアの方舟を思わせたりして、ストーリー上はアニミズム的な宗教に呑み込まれるようで逆にキリスト教的なイメージが何重にも重ねられる。
キリスト教が一神教・人格神のようで、その深層にあるどろどろしたアニミズム的な部分を炙り出していると考えいいのではないか。