prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」

2010年12月31日 | 映画
テレビで見たのだが、フィルム撮りなのが暗くて見づらく見えてしまう。アメリカ製の「CSI:科学捜査班」のやたら派手なビジュアルに比べると、キャストを含めてすごく地味。スケールからすると劇場で見る感じではないし、エンドタイトルの出し方などテレビシリーズそのまんま。しかし、スピンオフというのは、テレビでやると変な感じがするのも確か。相棒が寺脇康文なのも、今見ると不思議な感じ。

米沢の逃げた奥さんがモチーフになっているのだけれど、イメージにせよ姿出したのはどんなものか。「刑事コロンボ」でコロンボのかみさん出して大失敗したことあるけれど、出てこない人物は出てこないから刺激的ってところあるし、結局出てこないと物足りなくなったりする。ヤブヘビというか。
萩原聖人のやはりいなくなった(自殺かそうでないのか)奥さんに対する執着と共鳴してくるわけだけれど、基本的に姿勢が後ろ向きなんで、どうも話を動かすエンジンとすると弱い。

長谷部安春監督の遺作(2009年6月14日)。ちなみに、長谷部監督の生年月日はアンドレイ・タルコフスキーと同じ(1932年4月4日)で、この29日は、タルコフスキーの命日(1986年12月29日死去)。「相棒」が始まるずっと前に亡くなっているわけで、長谷部監督も長生きというわけではないけれど、生きた分確実に仕事できたのですね。
(☆☆★★★)


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「トランスフォーマー/リベンジ」

2010年12月30日 | 映画

なんだか見ていてフォアグラ用のガチョウになった気分になった。消化しきれない量の情報を目と耳から注ぎ続かれるのだから、あらかじめ予想はしていたとはいえそれでも途中からいい加減うんざりしてくる。

ゲームをまったくやらない人間には、どっからどう見ても人間が作った機械がなんで外宇宙から来たんだ、古代の原始人が跋扈していた地球に来たんだというヤボであろう疑問もずっとつきまとう。宇宙の始めからゲームがあったような世界観にはついていけないし、ついていくつもりもない。
(☆☆★★)


「血は渇いてる」

2010年12月29日 | 映画

自己犠牲精神(?)を発揮して自殺しようとした男が時の人になって保険会社のマスコットになって云々、という話だけれど、保険会社って自殺って一番嫌うんじゃないかなあ。佐田啓二の看板が額にピストルを当てたどアップというのは逆手をいったアイロニーなりブラックユーモアなりとも思ったけれど、マジメみたい。

吉田喜重監督の作品って、どうしても観念先行・評論家向けという印象が拭えない。後年、美学的になってからはそれなりにおもしろくはないが見ていられるが、まだ商業主義の範疇で作っている分、今見るといかにも中途半端。
(☆☆★★★)


「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」

2010年12月28日 | 映画

相変わらず面白いのだけれど、期待値が上がってしまっているせいか、満足度はちょっと減った感じ。難しいものです。技術的にすごいのが、もう当然に見えてしまう。
「エイリアン2」のパロディなど、あまりらしくない気がする。いささか古いし。

しかし、ウォレスは女の趣味がよくないのではないか。これに限らず、もうちょっと太めでも美女と思わせる相手にだまされる、というのでないと、いまひとつ乗り切れない。
(☆☆☆★★)


「マッハ!弐」

2010年12月27日 | 映画
「弐」とはついていても、同じトニー・ジャー監督・主演というだけで内容につながりはない、どころか前作が現代劇なのに、これは時代劇で、ここまで違うのも珍しい。

象がぞろぞろ出てくるところがタイ製らしい。しかも、牙につかまって機械体操まがいの技を見せるのだから、どうやって馴らしたのかと思う。
ワニと子供が格闘するところも、本物のワニか? だとしたら、国によっては児童福祉法違反ものだろう。

随所に日本のサムライやニンジャや虚無僧などが出てくるのにびっくり。しかもクサリガマまで本格的に振り回すのだから、完全にお株を取られている。

身体の張り方は立派だけれど、ストーリー、特にラストがすっきりしませんね。
(☆☆☆★)



「ソウ6」

2010年12月26日 | 映画
話の軸を担うのが保険会社の審査係というのがミソ。
誰かを助けるためには誰かが犠牲にならなくてはいけない仕掛けがさまざまに変奏されるわけだが、本来「互助」のための保険が現実には儲かるのは保険会社だけで犠牲を顧客に押し付けるようになってしまっている(ように見える)のと対応しているということか。
「Mr インクレディブル」もそうだったが、ある種のアメリカ映画では、保険会社と弁護士と銀行が三大悪役になっているみたい。

もちろん見せ場はヒドイ拷問と殺しの描写なわけだけれど、犠牲者(でもあり、罪人=加害者でもある)苦痛を互いに押し付け合う意地の悪いところが味付けになっている。
(☆☆★★★)


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「ふたたび swing me again」

2010年12月25日 | 映画
ハンセン病で施設に強制収容されてジャズ・ミュージシャンとしての将来を閉ざされた老人(財津一郎)が、昔のバンド仲間を巡って再びライブを行う。
ハンセン病にまるで偏見のない、あっけらかんとした孫の青年と施設で働く在日女性を軸にロードムービー風に話をまわし音楽を前面に出して、不必要に重くしない作り。

クライマックスの仲間が集まってくるところを省略してぽんと演奏シーンに入る呼吸がいい。歳をくったキャストの方が若い時のよりバンドマンらしい。
バンドのうちピアノ担当はすでに亡くなっているはずだが、誰か女の人が座っているのが見えたぞ。誰ですか。メンバーが集まる時も入らないし。幽霊になってもどってきたにしてはアクセントが効いてないし。見間違えかな。

その後の教会のシーンは、蛇足気味。それまで出てこない教会がいきなり出てくるのはおかしいし、心臓が悪くて控え室から動けないのを、ムリに動かした観。いまわの際に死んだ恋人の幻影なり霊魂なりが訪ねてきてくれるのではいけないのか。
(☆☆☆★)


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「GAMER」

2010年12月24日 | 映画
おもしろくなりそうであまりおもしろくならない映画ジャンル、というのがあって、近未来ものの殺人ゲームの中継もの(「ローラーボール」「バトルランナー」「デスレース」)とか、バーチャルリアリティもの(異論もあろうが「マトリックス」)とかで、これはその両方。
なんでおもしろくならないのか、と思うと、映画自体が半ばゲームだしバーチャルなものだから、二重構造というか、まわりくどくなるからではないか。相性良さそうで良くない。

あと、「現実」に生きる価値を「家族」に見出すって作り、理屈としてはケチつける気はないが、安直に図式や常識に頼りすぎているようで、またかと思ってしまい、あんまり見ていて説得力がない。じゃあ、家族がいないか見放されていたらどうすんだ。ゲームに駆り立てられるという設定の死刑囚など、そういうの多いのではないか。

どっちにしたって、ドンパチの快感は相手をやっつける野蛮な感情の解放にあるのだから、それを野放しにするのは各方面にまずいとブレーキをかけるべく、小理屈や図式が先行する言い訳がましい作りはありがたくない。
映像や音響は凝ってはいるけれど、どうも悪趣味に思える。
(☆☆★★★)


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「ロビン・フッド」

2010年12月23日 | 映画
夫の死を知らされたケイト・ウィンスレットがなんでもない顔して先導して歩いているところで、一瞬ぐらっと来るあたりの芝居が細かい。マックス・フォン・シドーの目が見えなくなっているのをわからせるまでの、さりげなく矯めを聞かせた芝居も細かい。このランクの役者だったら、言われなくてもそれくらいできて当たり前でしょうけどね。

クライマックスの上陸作戦は「プライベート・ライアン」ばり。特に矢が水中を貫いて海に沈んでいる兵に当たるあたり。
画面がパラパラした感じになる効果(名前、何というのか)は、もともと毎秒24コマのフィルムの一コマの間に二回以上シャッターを切るようにして生まれたものだが、これを見た日劇3はフィルムではなくデジタル上映。何だか変な感じ。

脚本が「LAコンフィデンシャル」や「ミスティック・リバー」などのブライアン・ヘルゲランド。アウトローの世界とそれを生み出すエスタブリッシュメントの腐敗を併せて描くあたり、なるほどという感じ。
ラッセル・クロウのロビンが子供の時に生乾きの漆喰に残した手形と、大人になってからの手のひらの大きさがあんまり変わらないみたいだったが、気のせいか。
(☆☆☆★★)


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「実験室KR-13」

2010年12月22日 | 映画

実験の舞台になる白一色の部屋とそこを監視する部屋だけでほとんどのシーンが展開する、出演者もほぼ無名な見るからに低予算の一作。知っていたのは管理側の責任者役のピーター・ストーメアくらい。「プリズン・ブレイク」のシーズン2の初めまで出ていたマフィアのアブルッチ役で有名だけれど、この人の舞台をナマで見たことある。イングマール・ベルイマン演出の「ハムレット」のハムレット役で、これ、今まで見たあらゆる芝居の中の文句なしの最高峰。この時の名前は出身地のスウェーデン読みで「ペーター・ストルマーレ」で、ちなみに彼はこの日本公演で知り合った日本女性と結婚しました。

と、まあこの映画と関係ないことを長々と書いているのは、映画がつまらなかったからで。
金がない分、当然知恵を絞らないといけないところなのだが、これがどうもうまくない。
政府がらみの人体実験らしいのだが、殺される人間の行動パターンなのか、殺し方の研究なのか、何を調べているのかさっぱりわからん。ただ何か政府が悪いことしてるってだけじゃあねえ。
ただ一方的にもったいぶって殺していくだけで、逃げ場所がまったくない、というかなさすぎるからスリルもない。

背景が単調なのだから、ジョージ・ルーカスの「THX1138」みたいにグラフィックな構図や音の使い方に工夫を凝らしたりしなくてはいけないところなのだけれど、そういうわけでもなし。殺し場も妙に腰が引けている。
(☆☆★★★)


「箱根風雲録」

2010年12月21日 | 映画

オープニングの「日本映画を愛する人たちによって作られました」云々の字幕は言わずもがなだが、続くムシロ旗を押し立てた農民の大群衆シーンのスケールに驚く(これだけ大勢が集まって音が音楽だけで効果音がゼロというのが妙な感じだが)。

前進座の俳優たちの風格、農民に扮する人たちのそれらしさ、などは見ものだけれど、箱根用水を掘る話というのはやはり地味な感じは免れないし、侍の横暴さと民衆の団結の強調など昔の左翼映画という先入観を補強してしまい、どうも乗りにくい。
意味なく辻斬りする一方で主人公に何やらホモ的な思い入れをする総髪の侍のキャラクターなど、後年の山本薩夫監督作の政治家のそっくりショーに通じる通俗性と通じている気がする。
(☆☆☆)


「アメリア 永遠の翼」

2010年12月20日 | 映画
女性として初めて大西洋単独横断したアメリア・エアハートの半生を描くが、ただ女性差別との戦いと、飛行士としての業績に「女性としては」という条件がつくのとが若干齟齬間あり。男が同乗するのを強要されたりしてね。
リチャード・ギアのやり手編集者(というか、仕掛け人)兼夫とイアン・マクレガーとの三角関係のドラマもあるが、やや薄味。

ヒラリー・スワンクが左手でサインしているのに腕時計を左手にしているのに、一瞬「あれ?」と思う。ミスなのか、役作りなのか。
クラシックな飛行機が飛ぶ姿に魅力あり。宮崎駿作品みたいにフェテッィシュな感じはあまりしないが。
(☆☆☆)


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女性初の大西洋横断飛行を成し遂げた女性アメリア・イヤハートの骨か?現在DNA鑑定中! - シネマトゥデイ

「アフロサムライ」

2010年12月19日 | 映画

「二番」と漢字で書かれた鉢巻をした侍の格好をしたアフロスタイルの黒人が、父親を殺して「一番」の鉢巻を奪った男に復讐するために旅する、という時代劇とマカロニウェスタンとブラック・エクスプロテーションムービーとをごっちゃにしたようなアニメ。

アニメとはいってもものすごい血しぶきが飛び(R指定)、身体が真っ二つになる。逆にアニメだからある程度残虐描写を様式化できるのが武器になっているみたい。

ただしテレビで短いのを続けていくのだったらいいのだけれど、団子の串刺し式の構成なので、一本のフューチャー(長編)とするとだんだんダレてくる。続編もあるけれど、あまり見る気は起きない。
(☆☆☆)


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「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」

2010年12月18日 | 映画

こういう微妙にエロと暴力を散りばめた中途半端なゲイジュツ映画にはつきあっていられない。なんでこうもったいぶるかと思う。娯楽に徹するか、表現の極北を目指すか、どっちかはっきりせいや。
同じ監督の「ノルウェイの森」が不安になってくる。この監督はヨーロッパのインテリ向けアジアン・アイドルって気がしてしょうがない。
(☆☆★)


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「フェイク シティ ある男のルール」

2010年12月17日 | 映画

キアヌ・リーブス扮する刑事がウォッカのミニボトを何本も持ち歩いて運転しながらあおるなど、ひどいアル中だとわかるが、なんでミニボトルなのかな。持ち運んでも目立たないようにするためかしれないが、「戦火の勇気」だったかで、やはり大酒のみの兵士がバーで飲んでいるのがなぜかもっぱらミニボトルのスピリッツだったのはアメリカでタバコの規制に続いて酒の規制が強くなっているせいではないか、という説があったけれど、同じ伝なのだろうか。

警察の腐敗(しかもちゃんと根拠がある分、始末が悪い)の描き方はジェームズ・エルロイらしい。ときどき「映画みたい」にヒロイックに流れるところがあるが。
銃撃戦が迫力あり。
(☆☆☆★)

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