prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

2007年4月に読んだ本

2007年04月30日 | 
prisoner's books
2007年04月
アイテム数:18
逃亡日記
吾妻 ひでお
04月03日{book[' rank' ]
プロレスラー「肉体」の真実
ミスター高橋
04月04日{book[' rank' ]
黒沢清の映画術
黒沢 清
04月07日{book[' rank' ]
USAカニバケツ
町山 智浩
04月11日{book[' rank' ]
考えあう技術 (ちくま新書)
苅谷 剛彦,西 研
04月20日{book[' rank' ]
せんべろ探偵が行く
中島 らも,小堀 純
04月22日{book[' rank' ]
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「かにゴールキーパー」

2007年04月29日 | 映画
うーん、アホ映画であることは百も承知で見たのだけれど、なかなか乗るのは難しかった。
野暮を言うけど、横にしか動けなかったら、キーパーやるのムリじゃないんですか。実際にサッカーやるまで時間食いすぎるし。長編映画全体を支えるには小ネタに過ぎた、というか。
かにが意外と情けない表情が似合うのが意外。
(☆☆★★)


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「オール・ザ・キングスメン」

2007年04月27日 | 映画
減点法で採点したら、ストーリー・演技・映像ともほとんど引くところのないような映画なのだが、一方でなんだかわかりきったことを改めて繰り返して言われているみたいな感じがする。
最初に貧しい者の代表が純粋な志から政界にうって出る、というあたりからなかなかすんなりとは納得できないのが今の実感だからだ。ウソとは言わないでおくが。

原版も見てはいるが、まったく覚えていない。
(☆☆☆)


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オール・ザ・キングスメン - goo 映画

「歌謡曲だよ、人生は」

2007年04月26日 | 映画
コンセプトは半ば選曲にかかっているようで、テレビ特番で取り上げられるようないかにも時代を代表しています式の曲はほとんど出てこない。知ってるようで知らない、あるいは知らないようでどこかで聞いたことがある微妙な曲ばかり。なので結構一所懸命に聞くことになる。

11話それぞれずいぶん勝手に作っているのだけれど、あまりバラバラになってない。歌謡曲というと、まず「情」の世界で扱うモチーフは自ずと限られてくるからか。

監督の選択は必ずしも知名度によらず、新人や今まで照明や編集など技術スタッフとして映画に携わってきた人もいる。それがいかにも今まで培ってきた技術を生かしました、という風にはならないから監督のポジションというのは不思議なもの。

キャストはずいぶん豪華なのだが、いちいちランクづけするのが面倒になったのか、エンド・タイトルに五十音順にずらっとベタで出るのが新鮮。
(☆☆☆★)




『杳子』 0点

2007年04月23日 | goo映画レビュー

杳子

1977年/日本

ほとんど覚えてないけど

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ★★☆☆☆40点

キャスト ★★☆☆☆50点

演出 ★☆☆☆☆30点

ビジュアル ★★☆☆☆50点

音楽 ★★☆☆☆50点

杳子役の石原初音が今だったらウケるロリータ顔とは裏腹の豊満な肢体で、それしか覚えてません。


「アカルイミライ」

2007年04月23日 | 映画
この監督の作品には、妙に理科系的なアイテムが出てくるな、と思う。
「ドレミファ娘の血は騒ぐ」の「恥ずかしさ」計測器だの、「ドッペルゲンガー」のロボットアームだの。あくまで理科系「的」で、昔のSF映画の科学者の実験室みたいな匂いにする。
ここでは、クラゲ。なんとなく生命発生時のイメージ画代表みたいな生き物だと勝手に思う。あと、藤達也がテレビ類を修理して売る商売をしているという図も。
展開があまりに行き当たりばったり的でどうも見通すのが苦しいが、ときどき妙に世界が宇宙的に広がる瞬間がある。

ラストの若者たちがなぜか革命家のイコンであるところのゲバラのTシャツを着ているのは、「アカルイミライ」というちょっとひねた言葉を絵にしたよう。
浅野忠信の部屋に「サウンド・オブ・ミュージック」のサントラが置いてあるのも皮肉。
(☆☆★★★)


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ミッドタウン、ができるまで

2007年04月22日 | Weblog








さらに以下の各リンクを辿っていくと、東京ミッドタウンができるまでがわかります。檜町公園、というのは前にここにあった公園です。

檜町公園完成間近


檜町公園工事中


新・檜町公園


防衛庁跡再開発



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「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

2007年04月21日 | 映画
東京タワーっていうのは東京の象徴みたいなくせに、東京人はあまり行かないところ。逆にどこか田舎くさいのが、ボクのなくした故郷につながっているみたい。「大いなる田舎」としての東京の象徴というか。

オカンの闘病から死ぬまでの描写が意外なくらいリアル。あと普通死んだらそこでぽんと場面が飛びそうなのを、通夜の場面にひっぱるのが新鮮。仕事はそういう事情と関係ないものなあ。ボクがあそこで仕事を投げたらシラけただろう。
「泣かせ」の演出はやっていないが(事実、私は泣かなかった)、泣く人は泣きますね。
怠け放題怠けていたボクのところに仕事が来るのが、やや調子見えたりする。事実原作者は成功したのだから、と納得するしかない。

田舎町のセットの質感がしっかりしている。テレビドラマだとここまでいかない。なんでもないようだけれど、ずいぶん金かかっただろう。タイトルに出資した会社の名がずらっとやたらたくさん並んだが、「一口乗せろ」ってとこですか。

温泉旅館に大勢人が入っているのが、昭和40年代の感じ。今では建物は変わらなくても(古ぼけても)、ああいう光景は見られない。

ちょい役で有名人が出てくる、というのはこの映画の性格にあまりそぐわない感じ。

現在のボクと子供時代のボクが同じ画面に出てくる技法は、「野いちご」の頃ならアート・フィルムでしか使われなかったもの。トランジション・ショットなんて言ったりしますが、もとは舞台の技法だろう。
(☆☆☆★★)



「ホリデイ」

2007年04月20日 | 映画
イーライ・ウォラックの役が最初は写っただけみたいなのがどんどん膨らんで古き良きハリウッド代表みたいになって今のハリウッド映画(界)批判になるのにびっくり。ああいう叩き上げの映画人というのが、多かったのだろう。今だと大学で経営学か何かの修士号をとりました、っていうのがやたら幅をきかせているらしい。あと「ニューシネマパラダイス」の音楽が出てきたりね。
キャメロン・ディアスの作る予告編のけばけばしさと対比される格好。それにしても経営者とはいえ予告編成作者ってあんな豪邸に住めるくらい儲かるのか。

二つのエピソードがラストだけしか重ならないので、二本立てを交互に見せられてるみたい。趣向としては一応面白いけれど、両者を結ぶジュード・ロウが妹のケイト・ウィンスレットにどう扱われているのとか、知りたい気もする。工夫したらもっと笑いをとれたのではないか。
本式のハリウッド調というには、やや薄味。

キスの演出にずいぶん力が入っている。その後の描写はほとんど省略されているのに。
(☆☆☆★)



「おしゃれ泥棒」

2007年04月19日 | 映画
うーん、今見ると苦しい。
製作された1966年から40年以上経つと、ストーリーの凝り方も、美術品の金銭価値も、それに伴う鑑定技術も、警備技術もむやみと向上しているから、細かいところがいちいちゆるく見える。
ヘプバーンも37歳で、ああいう痩せ型の人は老けが目立つのが早いからか厚化粧ぎみ。
ワイラー演出も、コメディだからには違いないけれど鋭さはあまりない。

ピーター・オトゥールが登場する時に目のアップから紹介するのだけれど、「アラビアのロレンス」「将軍たちの夜」などではやたら青さが目立ったけれど、ここでは役相応に普通の色。
(☆☆★★★)


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「眠狂四郎女妖剣」

2007年04月18日 | 映画
シリーズ四作目で狂四郎の出生が明かされるわけだが、それまで出自がはっきりしないままシリーズが続いていたわけで、ずいぶんアバウトな話。
転び伴天連のシーンは遠藤周作の「沈黙」が1966年の発表だから、2年早い。

自分で言うように「無頼の徒」なのだが、女の色香に迷わない、という点ではジェームズ・ボンドばりのヒーローの要素が入っているみたい。


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「眠狂四郎殺法帖」

2007年04月17日 | 映画
シリーズ第一作、とはいってもキャラクター紹介とか特にあるわけではないので、あまり見分けはつかない。ほとんどギャグすれすれのキザな台詞とか、虚無感、ニヒリズムなどは、まだ試してみている感じで、一方で普通の二枚目風のところもある。

アメリカ映画だったらこういうストーリーラインが割とぼやけていてシリーズ化というのは、あまり考えられないだろう。キャラクターがあればいいという感じ。

1963年の製作だから城健三郎(若山富三郎)が少林寺拳法の達人という設定は、ブルース・リーの日本紹介(1973)より十年も早い。もっともあまり少林寺拳法には見えないが。


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「ハッピー フィート」

2007年04月16日 | 映画
主人公の両親の名前が「メンフィス」と「ノーマ・ジーン」というのだからびっくり。もちろん前者はエルヴィス・プレスリーの出身地、後者はマリリン・モンローの本名で、エンド・タイトルでもプレスリー風の歌はイミテーションだという断りと、モンローの権利(どんな?)もクリアしているらしい表示が出ていた。

冬を耐えるペンギンたちの姿にちらっとヘブライ風の音楽がかぶさるので、「アイス・エイジ」みたいに聖書ネタになるかと思ったら、長老の名前が「ノア」ときた。
長老たちがしきりと踊りを快楽に溺れるものだと攻撃するのは「フットルース」(一応、これ実話ネタ)で、ラブレイスという教祖ペンギンの喋り方や歌は明らかに黒人教会風。

アメリカ映画はこういうキリスト教的な物語の原型を使えるのが有利な点なのだが、一方でパターン化や説教臭さにつながったりする。

ところが、これは後半人間が絡んでくるあたりで「2001年宇宙の旅」さらには「未知との遭遇」風の展開を見せ、さらにエンド・タイトルは「スター・ウォーズ」の冒頭とは逆に近づいてくるにつれ文字が大きくなるローリング・タイトルという調子で、道具立てというより展開の飛躍ぶりがSF的でびっくり。それでいて原型は外していないのでバラけない。
3D-CGアニメだと人間のキャラクターが作り物じみて気持ち悪くなる欠点があるのだが、こういうクリアの仕方をするとは思わなかった。

もちろんミュージカルとしての音楽と踊りもたっぷり、しかもその音楽があきれるくらい多様なジャンルにわたっていて、ほとんどポピュラー音楽の展覧会みたい。

プロダクションの名前のケネディ・ミラー・プロというのは「マッドマックス」で売り出した頃にジョージ・ミラーと組んでいたバイロン・ケネディと合わせてつけた名前だが、ケネディは1983年にヘリコプター事故のため31歳で亡くなっているのを、今でもプロの名前に使っているのだから、義理堅い話。
(☆☆☆★★)




「バッテリー」

2007年04月14日 | 映画
あまりに球が速すぎてなかなか捕球できるキャッチャーがいないピッチャー、という話は「巨人の星」の青雲高校入学当時の星飛雄馬みたいだが、プロになってから凡人のようで「選ばれた」キャラクターである伴宙太の間でないとバッテリー=人間関係を結べなくなってくるようなことはなく、どんなに才能や能力に恵まれていても、自分が病弱で野球をできなくても兄の野球を楽しんでくれる弟のように、それを受け止めて評価してくれる相手がいなければ満たされることはない、いう人間が互いに関係持つ喜びの基本が野球以外の人間とも見つけていく話になっていて、普通の人間にもうなづける。

体育会系・根性ものにありがちなムダな我慢を強要あるいは自分で「もういい」と自己規制してしまうと、他人が能力を発揮する足をひっぱるようになる、というありがちな典型を卑劣な先輩たちに見るよう。
その先輩たちがちらっと試合を「思わず」見てしまっている姿を入れているのが、いい。憎まれ役なりに一部の理がある。

野球シーンのリアリティは出色。昔の日本映画だと頭からカット割りでそれらしく見せようとしたのに比べるとずいぶん進歩したもの。

地方を舞台にする日本映画は、風景と日本家屋の建築美と地元の協力に恵まれるようで、収穫多し。
(☆☆☆★★★)