韓国のナ·ホンジン(「チェイサー」「哭声 コクソン 」)が原案・製作, タイのバンジョン・ピサンタナクーンが監督した、タイ・韓国合作のホラー。
「ベイビー・ブローカー」もだが、韓国はこういう外国の才能と提携するという形の世界進出も進めていると思しい。
あまりホラーとは思えないような邦題だが、代々、女神(守護霊みたいなものか)をいただく祈祷師の一族で、本来なら姉が祈祷師の座を受け継ぐところをどうしても嫌だと拒絶したので妹が受け継いでいたのが、姉の娘が大きくなるとそちらの方に女神あるいはそう見せかけた邪霊が取り憑くようになったらしく、数々の奇行を見せるようになるので、姪を救うべく祈祷師が乗り出すというのが話の骨子。
それをフェイクドキュメンタリーの技法で描き、「エクソシスト」の憑依ものと、土俗的な悪霊とも主語霊ともどちらともつかない霊(タイ語でいうピー)と、キリスト教でいうはっきりした異教の霊=悪霊といった、まことにさまざまなホラー映画の要素を交えて一貫した作品に仕上げた。
最近のホラーはこういうハイブリッド型が多い。
悪霊が取り憑く若い女役のナリルヤ·ゴクモンコルペチが「エクソシスト」より年かさな分セックスの面があからさまに出た。
今風のスタイルのいい割とかわいい女の子がどんどんグロテスクに変貌していって、しかし完全に超自然的な現象が起きるのはほぼクライマックスまでとってある。
終盤のいったん悪霊祓いの儀式の日程が決まりカウントダウンが始まってからが、なまじの希望をちらつかせる分、憑かれた女の凶行のエスカレートがエグい。儀式が始まってからの展開はさらにエぐい。
ドキュメンタリー風の描法でないとありえないような意外な展開を見せる一方、どうしても一種のあえて整理していないムダな場面が混ざるので130分というかなり長い尺になった。
かなり大がかりな取材という設定で何台ものカメラを回しているので、場面構成に窮屈な感じは薄い。
タイの日本に近いアニミズム的な世界観に続いて結構(韓国のように?)キリスト教が浸透しているところを見せる。
日本の「雨月物語」の「吉備津の釜」の磯良そのままの趣向が出てくるのが、文化圏が近いなと思わせる。