prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「Last Cup: Road to the World Series of Beer Pong 」

2010年11月30日 | 映画


ビアポン、というビールを飲みながらピンポンの球を紙コップに投げ込むと得点、というもともと大学生のバカ騒ぎの余興から始まった競技とも言えない競技に賭ける男たちのワールド・シリーズに至る戦いを追うドキュメンタリー。
勝つコツ、というと酔っ払っていない方が有利、とか、当たり前じゃないかという他ない。
一番イヤな奴が優勝したりする。

なんと日本にもちゃんと日本ビアポン協会というのがあって、世界的にもロゴマークを作っていたりするというから何というべきか。
シャレや冗談でやっているのかというと、会社や学校をやめてこの競技に賭ける(と、いったってプロ化しているわけではないだろうに)男というのがけっこういたりする。妙に必死で、澱みたいなものが残る。

「黒く濁る村」

2010年11月29日 | 映画
村全体を作ってしまったらしいけれど、家同士が戸棚の裏などから入る秘密の通路でつながっているあたり、何やら「八つ墓村」みたいなおどろおどろしい雰囲気。息子が亡き父親の秘密を探っていくあたりも。

メイクを含めて人物の顔の造形の誇張ぶりや、狂気がかった感情表現が強烈で、原作のマンガがどんなキャラクターだったのか知らないが、昔の山上たつひこか青木雄二かといったあくの強い画を思わせる。

出エジプト記(もとはハンムラビ法典)の「目には目を」が引用されたりするが、韓国のキリスト教の定着ぶりはずいぶん日本と違う。ある種徹底的に突き詰める体質が向いているのかも。

話の大元になるカリスマの持ち主の父親役が「シルミド」の鬼軍曹役や「朱蒙(チュモン)」のチュモンの父である英雄ヘモス役のホ・ジュノ。こういう役はお任せという感じ。
(☆☆☆★)



「クロッシング」

2010年11月27日 | 映画
イーサン・ホーク、ドン・チードル、リチャード・ギアの三人がそれぞれ扮する警官たちのエピソードが交錯して最後に一つにまとまる構成だが、同じ場所に集まっても直接顔を合わせるわけではないので、どうも物足りず、いささか長く感じる。
一つ一つのエピソードの描写タッチはリアルで、ニューヨークの警官の初任給が二万ドルとは安い。
(☆☆☆)


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クロッシング(2008・アメリカ) - goo 映画

「SP 野望篇」

2010年11月25日 | 映画
オーブニングで見せる岡田准一の体技はたいしたもの。もっとも義経の八艘飛びみたいに車の列の上をかけまわるのは、SPの性格からして、目立ち過ぎ。

後半の蛍雪次郎の要人を保護しながら夜の街を逃げ回るロケ効果も見ごたえあり。

もっともまるっきり話半分で終わってしまっているのと、テレビの方を見ていないと(あるいは見ていても)意味がよくわからないところあり。これだけ単独で評価するのはムリがある。

ドラマの時から思っていたが、他のSPの性格づけがどうも淡白で、世話役の小母さんがユーモアになっていない。


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「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」

2010年11月24日 | 映画
二人の母に育てられた愛に飢えた少年の物語、という角度が強くて、極端なことを言うとジョン・レノンやビートルズについてまるで知らなくても理解できる作りになっている。

曲目の選択についてはやや控えめというか「あの」ジョン・レノンの曲がたっぷり流れるというわけにはいかない。

だから悪い、とは言えず普遍的な昔の日本にあった「母物」映画みたいな一般に通じる感情に訴える作りになっている(余談だが、実の母と育ての母と義理の母が入れ乱れる「母三人」って映画があるそうで、宣伝文句が「三倍泣けます」というのは有名)

ただ、「平和主義者」やこういうナイーブな青年としてだけではなく、辛辣なユーモア感覚の持ち主だったというレノン像も見てみたい気はする。
(☆☆☆★★★)
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「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」

2010年11月08日 | 映画
十人のインディアンがテーブルの上に並んでいるのを見れば、ミステリファンだったらクリスティの「そして誰もいなくなった」に倣っているなとすぐわかるし、他にも「僧正殺人事件」ほかミステリの古典の趣向が並ぶ。その分、ミステリになじみのない人にはピンとこないかもしれない。

およそ現実味のないゲーム的な話で、セットなども生活感ゼロのものにしている。その分、いったんすべると乗りにくい。

中田秀夫監督は「リング」でヒットをとばしたわけだが、もともと全然幽霊やオカルトの類を信じていない人(ホントですよ)なので、こういうミステリの方が向いていそうだが、結果はなんともいえない。

スプラッタ描写がもっとありそうでない。
若干「ブラックサイト」みたいでもあり。
(☆☆☆)


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「THE LAST MESSAGE 海猿」

2010年11月06日 | 映画
スケール大きいし、画面の迫力もあるし、役者も身体張っているのだけれど、なんか感動させようとする意図が先に来てしまってディテールの具体的な描写の詰めが甘いのが、いかにも日本映画(の限界)。

すでに大事故と台風がまとまって海上の天然ガス採掘基地を襲っているのに、いやに平和なタッチで主人公の妻子の描写がはさまってきて話の腰を折るし、いよいよ危なくなっているのに家族のまわりに親も知り合いも誰も集まってこないというのは変。
台風がどう去ったのかのプロセスもすっとばして、いつのまにか青空になっている。

クライマックスの荒業も、いくら人命がかかっているからって、後で問題にならないか。
そこまで人命が大切にされるとは思えない。
(☆☆☆★)


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「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」

2010年11月05日 | 映画
製作・監督も兼ねたケヴィン・コスナーよりロバート・デュバルの方がビリング(配役序列)が上っていうのがおもしろい。
単純に先輩を立てたというべきか、「ポストマン」あたりのナルシズム過剰(なにしろ、ラストシーンでコスナー先生の銅像が出てくるのですよ)が抜けて、その分映画の仕上がりもまともになった。
「ダンス・ウィズ・ウルブス」について故・深沢哲也は、あれは歴史劇というべきで西部劇ではないと評していたが、これは西部劇以外の何者でもないでしょう。
風景美・スケール感、それから男の心意気とフェミニズム(昔の意味です)とみんな揃っている。
特に銃撃戦が長くて迫力あり。
(☆☆☆★★)



「エクスペンダブルズ」

2010年11月04日 | 映画
エクスペンダブル(消耗品・使い捨て)というのは「ランボー 怒りの脱出」のキーワードになっていた言葉で、スタローンはインタビューで「忘れてた、偶然だ」なんて言っているが、これだけ過去の映画と役者のイメージの上に作っておいて、そんなわけないだろ、と思う。

余談だが、この言葉がキーワードになっていた映画というと「合衆国最後の日」があって、アメリカ大統領といえども、エスタブリッシュメントたちにとっては消耗品でしかないという意味で使われていた。

カーチェイスは「コブラ」風。
エンドタイトルでスタントマンの名前がおそらく百人以上ずらりと並ぶ。カメラはDカメまで回している。盛大な肉体派アクション。
もっとも、物量作戦という意味ではCGだろうが筋肉であろうがそんなにテイストは変わらない。
(☆☆☆)


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「プチ・ニコラ」

2010年11月03日 | 映画
不思議なくらい、女の子が出てこない。学校も男子校だし、周囲にもごく一部を除いて女の子の姿すら見られず、ストーリーの上でも女の子が現れると世界が転倒するような描き方。
女の子が出てくると「子供」の話ではなくなってくるからか。

一本の線の太いストーリーを貫いていくハリウッド式の作りではなく、生活のあちこちに散らばった細かい楽しさをついばんでいくのが、フランス好み。
時代がはっきりしないけれど、テレビの型式の古さからして現代ではなさそう。厳密な時代考証をしているわけではなく、少し懐かしめのイメージで統一しているのでは。
(☆☆☆★★)



「家族の写真」

2010年11月02日 | 舞台
古風で快適なアパートの一室。
ターニャは年老いた母ソフィアと二人暮し。
体の具合が良くないソフィアは、自分が死ぬまでに
何とかターニャが結婚し、幸せになってほしいと願っている。
そんなある日、若い恋人の家と間違えた中年の男イーゴリが
バラの花束とシャンパンを持ってやって来る。
ターニャは思わずイーゴリに15分だけ部屋に居てほしいと頼む。
ソフィアはイーゴリをターニャが前に付き合っていた男だと思い
込み意気投合、「すぐに結婚式を挙げるように」と言い出し……。

ターニャがついた小さな嘘から、静かな生活は急展開。
おかしくてちょっとせつないとっておきのボードビル。


ナジェージダ・プトゥーシキナ
翻訳
大森雅子
演出
鵜山 仁
出演(配役順)
中村たつ、日下由美、石田圭祐、桂 ゆめ

血がつながらないまま、三代あるいは四代にわたる家族ができあがってしまう話。
オープニング、独身のまま四十台半ばを迎えた娘を心配する母親の心情がやたらリアルで、ロシアの話という感じはまったくしない。
回り舞台を巧みに使い、一つの室内の裏表を使い分けている。

咳がしばらく続いていたので、咳止めを買って服用してから行く。幸い効きました。前に同じ俳優座の「十二人の怒れる男」のまさにクライマックスで携帯鳴らした奴いたものなあ。怒るわけにもいかないし、ああいうの本当に困る。


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「ミックマック」

2010年11月01日 | 映画
父を地雷処理の現場で失い、自分も偶然発射された銃弾を頭に受けて摘出できないまま退院した男が、地雷と銃弾を作っていた武器メーカーと似たような同業メーカーとを「用心棒」の桑畑三十郎のように争いを煽って、共倒れに持ち込む。
その手練手管と仲間の廃品回収に集まっているおかしな仲間の性格付けが見もの。

「アメリ」をはじめ、変てこなキャラクター造形や映像センスが売りの監督だけれど、今回は良心派的なテーマを扱っているのが目新しい。

大爆発シーンで倒れたガラスケースの中にピースマークがあるのが皮肉な効果。頭の中の弾丸がドラマ的にあまり生かされないのは物足りない。
撮影は「エディット・ピアフ」も担当した日本人の永田鉄男。
(☆☆☆★★)



2010年10月に読んだ本

2010年11月01日 | 
prisoner's books
2010年10月
アイテム数:5
ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)
パウロ コエーリョ
読了日:10月01日
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ブルース・リー最後の真実
松宮 康生
読了日:10月14日

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