prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

2007年8月に読んだ本

2007年08月31日 | 
prisoner's books
2007年08月
アイテム数:4
クリント・イーストウッド伝説
ダグラス・トンプソン
08月29日{book[' rank' ]
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「マスターズ・オブ・ホラー チョコレート」

2007年08月31日 | 映画
あまり最近使わない言葉だが、テレパシーみたいなもので遠く離れた場所にいる見知らぬ女性の見たものが見え、聞いたものが聞こえる、という出来事に襲われた青年が、その感覚を共用してしまった女性に恋してしまうが、という話。

まずそのヒロイン(?)がインディアン風の男とセックスしている、つまり男の身体で女の性感を味わうところから入っていくのが妙な興味をそそり、実際にその相手と会ってセックスしたら一人で男女二人分の感覚を同時に味わう場面になるわけかと期待したら、これは早とちり。もっともそんな場面、映像で描きようがないだろうが。語り口が凝っている割に意外性は乏しい。
(☆☆☆)


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「マスターズ・オブ・ホラー ハンティング」

2007年08月30日 | 映画
ラリー・コーエン監督。
道と森とドライブ・インとモーテルしかないアメリカのど田舎で偶然二人のシリアル・キラーが居合わせて「ジェイソンvsフレディ」みたいな戦いになる。
顔を合わせるまでの二つの流れがだぶりながら捩り合わさってくる気を持たせた展開はいいし、変なユーモアが効いているが、いざがっぷり四つとなるとありふれた展開に流れそうになるのをちょっとムリにあわただしくひねって見せた観。
関係ないけれど、アメリカで実際に二人の連続殺人者が偶然同じ地域で犯行を重ねたもので、警察の捜査が混乱した、なんてことがあったそう。
マイケル・モリアーティはロバート・デニーロ共演の「バング・ザ・ドラム・スローリー」とかジャック・ニコルソン共演の「さらば冬のかもめ」(ともに1973)以来の長いキャリアの人だが、意外と老けない。
(☆☆☆★)


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「フリーダム・ライターズ」

2007年08月29日 | 映画
「レッスン!」に続いて実話をもとにした善導映画。ここでは日記=言葉を学ばせることによって生徒たちに考えることを学ばせていく。脚本・監督のリチャード・ラグラヴェニーズはスタンダップ・コメディアンをやっていたことがあるそうだが、言葉に対する関心、というのも作る動機になったのかも。
ヒロインの旦那の反応が、ワーカホリックの亭主を持った妻が家を出て行くのとちょうど逆になっている。妻が生徒に本を買うために夜もバイトに出るのをつかまえて「仕事を続けるために金を稼ぐのかい?」というセリフが可笑しい。
(☆☆☆★)


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「マスターズ・オブ・ホラー 虫おんな」

2007年08月21日 | 映画
レズの虫好き中年学者女が若い女に狂って虫ともどもべたべたしているのを、同じアパートのやたら堅物のババアが孫を道徳的に堕落した連中から守るのだぁと力んで攻め立てられ、しまいにしっかりぶっ殺すのがなかなか気持ちよろしい。
CGでないナマモノの特殊効果がいい味。
(☆☆☆)


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「マスターズ・オブ・ホラー ディア・ウーマン」

2007年08月20日 | 映画
ジョン・ランディス監督。
「ディア・ハンター」で見るように鹿(とインディアン)というのは、アメリカの原風景の一部、みたいなところがあるのかなと思う。
もっとも、DEERとDEARとをひっかけているダジャレから始まったようなナンセンスの方が先に立っていて、それほどもっともらしい理屈をこねる話ではない。
鹿もどきが人を襲う変てこなイメージシーンが笑える。
(☆☆☆)


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「マスターズ・オブ・ホラー 愛しのジェニファー」

2007年08月19日 | 映画
腺病質美女をいたぶって喜んでばかりいたダリオ・アルジェントが、ものすごいグロテスクな顔の女の虜になって落ちていく男の話を描く。どういう心境の変化だろうと思うが、顔だけでなくてやることも怪物そのもの、身体だけグラマーという気色悪い組み合わせ。
ゲテモノ趣味の方が全開になったみたい。珍しくスジがきちんと通っているが、通り過ぎてオチが読めるのは困る。
(☆☆★★★)


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「消えた天使」

2007年08月17日 | 映画
性犯罪登録者のベテラン観察官をリチャード・ギアが扮して、若いクレア・デーンズの教育係を務めるとともに犯罪者たちから影響を受けそうになるのと戦う。
もっともギアがやるとあまりダークサイドに踏み込んでいく感じにはならない。

監督は香港出身の「インファナル・アフェア」三部作のアンドリュー・ラウで、映像と音響がいささか不必要に凝っているのに比べて犯罪者たちの芝居がどぎつい割に平凡。
(☆☆☆)


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「マスターズ・オブ・ホラー ダンス・オブ・ザ・デッド」

2007年08月16日 | 映画
トビー・フーパー監督。
第三次世界大戦の(?)嵐の描写やクラブみたいな場所のダンス、車の暴走など見せ場らしきシーンが並べたてられているが、設定とエピソードがバラバラで文字通りお話になっていない一編。
ロバート・イングランド(「エルム街の悪夢」のフレディね)がMC役で登場、これまた脳の血管が切れそうに力んだ芝居。
(☆☆★)



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「マスターズ・オブ・ホラー ゾンビの帰還」

2007年08月15日 | 映画
戦争で亡くなった兵士たちに対して生きて戻ってきてもらえたらと願わずにいられないなどと大統領のスピーチライターがテレビで口先で喋ったら、あろうことか本当に兵士たちがゾンビになって戻ってきて、しかも大統領選挙で対立候補に投票してからまた死ぬ、というすごい展開を見せる。
原題はただのHomecomingで、兵士の帰郷という意味の方が強いだろう。

戦争の犠牲になった上に死人に口なしとばかりに国家主義に利用されて変に美化されていた死んだ兵士たちが、ゾンビになって自分たちの主張を繰り広げるという着想が痛快。
美人(!)保守派論客女だのキリスト教右派の牧師だの、ブッシュ政権周辺を実際にうろうろしているような連中が、兵士たちが自分たちを支持すると思い込んでいる無神経ぶりの描写もリアル(日本で言うなら保守論壇が「英霊」をダシにしているようなもの)だが、批判されていると知ると掌を返してゾンビはリベラルより頭が悪いだの地獄に落ちる(!)だのといった死ぬほどバカな主張を始めるのがリアルすぎて笑ってしまう。

ジョー・ダンテのコメディセンスは「グレムリン」あたりではマンガ的な悪ふざけみたいであまり好かなかったが、ここでの攻撃する相手を定めた上での破壊力は相当なもの。

ゾンビものの原点である「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は、ベトナム戦争と公民権運動のアナロジーだと言われており、一人だけ生き残った黒人があっさり白人に射殺されるラストもそうだし、特殊メイクアップ・アーティストのトム・サヴィーニはベトナムで従軍カメラマンをしていてそこで見た死体のありさまを再現したのだという。なんか最近のゾンビもののメイクはあまり迫力ないような気がしていたが、「本物」を知っているのかどうかという違いがあったのかもしれない。
イラク戦争たけなわの今、ゾンビもまた皮肉にも再生産されたよう。
(☆☆☆★★)


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「マスターズ・オブ・ホラー 世界の終わり」

2007年08月14日 | 映画
ジョン・カーペンター監督。
平たく言えば伝説の「見ると死ぬ」映画を探す話、となると実際にそんな映画を具体的に描けるわけがないので、どう切り抜けるのだろうと思うとあまり知恵のないスプラッタを持ってくるだけ。
スクリーンから怪物(と化した監督)が抜け出して襲ってくるくらいの荒唐無稽な展開を期待したのだが。

フィルム・コレクター役のウド・キアが雰囲気を出しているけれど、もうちょっとコレクターの世界を具体的に描いても良かった。「裁かるるジャンヌ」のプリントが精神病院で見つかったとか、破棄されたはずの黒澤明の「白痴」の完全版をなぜか私有しているコレクターがいるとか、かなり異様な世界のようなので。
(☆☆★★)


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「シルバー假面」

2007年08月13日 | 映画

実相寺昭雄の遺作になってしまった一編。

オリジナルのシルバー仮面は弱いんで有名だったのだが、女性という設定にしたのはそのせいかどうか、森鴎外が留学先で「舞姫」に生ませた娘、という「帝都物語」的奇想天外というかトンデモな話で、しかも敵役がカリガリ博士と眠り男チェザーレ(にして蜘蛛男)で、「ウルトラマンティガ」の「花」みたいな歌舞伎調の戦いを立ち回りを繰り広げるのだから、普通の感覚ではついていきずらい設定。

例によって凝りに凝った映像と音響で一応楽しめるが、またですか、という観は否めない。主役のニーナは日本語のセリフは棒読みでドイツ語のセリフは吹き替え。
趣向が盛りだくさんな割りに、リズムやテンポが鈍い。
(☆☆☆)


「怪談」

2007年08月12日 | 映画
中田秀夫監督はもともとマックス・オフュルスの「忘れじの面影」みたいなメロドラマが撮りたかったのだが、どういう縁か「リング」などのホラー路線に行ってしまっていたらしい。
幽霊の類はまったく信じていないというから、なんか人を食っている。

だから今回の題材は恐怖に加えて、複雑に絡み合う筋立てと情念とが混ざったものだから、メロドラマ志向からしてかなり得心がいったのではないか。
ずらっと並んだ女優名が目立つキャスト陣で、ひとり看板を張る尾上菊之助の男っぷりが見もの。
会う女たちをみんな巻き込んでしまうくらい罪作りないい男、というのでないと話そのものが成り立たないのだから。
ラスト、黒木瞳が「独り占め」してしまうのは、他の死んだ女たちに不公平ではないかと思ったくらい。

黒木瞳の豊志賀は、はっきり歳がわかるメイクで出てくるのが挑戦的。
幽霊になって出てきても、貞子みたいに理不尽で非人間的な造形ではなく、感情的に理解できる範疇なのでそれほどまがまがしくはない。モダン・ホラーより時代劇仕立てで様式が勝った分、かえっておどろおどろしさは薄れたみたい。撮影・美術・衣装などのスタッフワークが光る。

表情をまったく変えない赤ん坊など、わからないようにCGを使っているのではないか。不気味。
(☆☆☆★★)



「河童のクゥと夏休み」

2007年08月11日 | 映画
期待が大きすぎたせいか、ちょっと物足りなかった。
たとえば、河童が入っていた石に少年が蹴つまずくのが「出会い」なのだが、そこでなぜその石を掘り出す必要があるのか、よくわからない。
河童を宅急便で出すというのには驚いたが、父親が偽の段ボール箱を持ってマスコミの目をそらすのだが、いまどきの報道陣があれくらいでごまかされるだろうか。もう一つ、家まで取りに来てもらう箱でも用意しないと足りないのではないか。

場面の積み重ねが丹念な割りに、竜が出てくるあたりで、死んだ犬がほったらかしになっていたり、ところどころ説得力が欠けているように思う。
携帯カメラを持った大衆に囲まれた河童が、前に写真週刊誌のカメラマンのカメラを壊した超能力を発揮して、まわりの携帯を全部まとめて壊すのかと思うと、なぜか急に襲ってきたカラスを破裂させる、というのも変。
いわゆる文字で書かれたシナリオを作らないでいきなりコンテを起こすやり方だと長くなりすぎるみたいで、あまりバランスよくない。

クゥという人間の呼び名以外に本当の名前がある、というのでどこかで出てくるかと思ったら尻切れトンボなのも、どんなものか。

街の中を流れている川も含めて川面の反映をCGで作っているみたいだけれど、見事な出来。
小さな河童が人間を投げ飛ばすのを説得力をもって描けているのもよく出来ている。
あと水を得た河童、の姿がなんといっても魅力的。ただ、どこに行っても完全に満足できる環境はどこにもない、というのが厳しい。

江戸時代、というと今から見るとエコに思える時代に始まって、すでにそこで河童が住める沼が壊されてきている、というあたりで宮崎駿が「もののけ姫」で示した、森を開いて一つの作物に特化してしまう農業というのはれっきとした自然破壊だ、という世界観と並べてみたくなった。悪い代官と商人の仕業、で済む問題ではない。

河童が人間に化けるようになるかも、というラストのくくり方は「平成狸合戦・ぽんぽこ」かとも思え、別にジブリを基準にする気はなくても、今のこの国の自然のぶっ壊れ方を見据えると自ずと似てくるみたい。
しかし沖縄が最後の自然が残っている場所、という描き方されると、有難迷惑みたいなところないだろうか。
(☆☆☆★)


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「トッポ・ジージョのボタン戦争」

2007年08月09日 | 映画
人形劇と実写の人間の芝居とを混ぜた、市川崑らしい実験精神が横溢した作品。もともと「漫画映画」出身で、実写部分が活人画に近くなる作風だから、違和感はさほどない。
人形劇のシーンでも照明に大いに凝って、陰影の強い画面を作っている。
ただ、トッポ・ジージョのキャラクターにどうも興味が持てないので、こちらにとっては実験作というのにとどまった。
(☆☆☆)