prisoner's BLOG

見た映画のメモと、ツイッターのスクラップで出来ています。

「フォーン・ブース」

2003年11月29日 | 映画
ヒッチコックは「電話ボックスの中でも映画はできる」と豪語していたが、それに近いものを実行に移したよう。脚本は誰かと思えばラリー・コーエン(「悪魔の赤ちゃん」、刑事コロンボ「別れのワイン」)。脅迫者がほとんど声だけで姿を見せず正体もわからず、主人公を弄んで懺悔を強いる、というのは何か神のようでもあり、動機づけや正体の設定がどうやってもムリが出るのでおっぽり出したようでもある(そのへんが近頃珍しいB級臭)。だからラストはちと蛇足ぎみ。

多彩なカメラワークやマルチスクリーン、フラッシュ的編集などの映像技巧は普通だったらうるさく感じるところだが、舞台がきわめて限られているので気にならない。上映時間1時間20分ちょっとというのは最近では一番短いし、時間以上に短く感じる。あっというまに終わってしまった。2週間で撮影したというが、カメラオペレーター他がA・B二班に完全に別れている。

(後註・THE END OF LINEというPaul Hough監督・脚本の14分の短編をもとにしたものだと知り、IFILMのサイトで見る。なるほど、公衆電話に出た男がライフルで狙われて動けなくなるという設定は同じ。ただ、狙う男をはやばやと見せてしまったり、狙われる男がそれほど後ろ暗いところがなかったりで、長編化した時の膨らませ方の巧さがわかる)
(☆☆☆★★)


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「解夏」

2003年11月28日 | 映画
長崎の坂の多い街並を人物が昇っていくと、目の前が塞がっていたのがそれを通り越すといっぺんに視界が開けるという点で、失明するとともにある種突き抜けた世界に至る、ちょっと宗教性を感じさせる物語のモチーフを画にしている。眼がだんだん悪くなっていく主人公が階段を昇り降りしていると、それだけで自然なサスペンスが生まれる。東京の場面でもさりげなく階段を背景に多用していた。教室に張り出している子供たちの習字が「天地」(だったかな、天がついたのは確か。後註・やはりそう)というのも、おそらく偶然ではない。凧を上げたり、庭木に撒く水が空に向かうところを撮ったりと、ところどころ空、というか天のモチーフが入ってくるのだから。

前半、時制を交錯させながらあまりストーリーと関係なさそうなカットがふっと入ってくるのだが、後で考えてみると、モンゴルの平原は日本の起伏の多い地形とコントラストにもなっているようだし、ウナギの蒲焼きが焼けているインサート・カットは眼が見えなくなった人間が心で見ている映像かと思わせる。考え過ぎか知れないが。

お寺の場面は、端正な構図、九州弁(笠智衆がそう)のせいもあって小津をいやでも思わせる。寺がどこかエキゾチックな南方風で、キリスト教の教会とごっちゃになっても違和感はない。豪華客船を作っているドックの向こうにハングルを船腹に書いた船が航行しているのも、長崎らしい。といった具合にあちこちに触発力を見せる緻密な演出。
(☆☆☆★★)


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「花」

2003年11月27日 | 映画
脳動脈瘤がいつ破裂するかわからない人が車の運転をするところはひっかかるが(フォローの仕方はあったと思う)、それ以外はほぼ文句なし。

大詰めでスクラップブックをめくっていくガサッ、ガサッという音が印象的。相米慎二へのトリビュート作だというが、こっちは特にファンではないにせよ、じっくりした長回しで芝居を追っていく落ち着いた演出は、ハリウッド製のバカ騒ぎの連続の中ではほっとさせられる。

柄本明の顔を思い出せない筈の妻の役の牧瀬里穂が堂々と顔を出している(そればかりか、まったく知らないはずの大沢たかおの夢にまで顔を出す)ので、<>実感はないが、<>話なのだからそれは別に構わない。

切符を買うと紅小町の種をもらう。撒くのは2月から3月にかけてだから、季節はずれ。
(☆☆☆★★)


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「イン・ディス・ワールド」

2003年11月24日 | 映画
悪く言いにくい映画なんだが、ここに描かれる世界は所詮“ひとごと”ではないかという疑問はどうしても抜けない。思っちゃいけないんでしょうけどね。
(☆☆☆)


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「スカイハイ・劇場版」

2003年11月17日 | 映画
なんで幽霊がチャンバラしますかねえ。刺さると死ぬし。大沢たかおは大実業家の設定のはずだけど、社長と秘書以外社員らしい社員なし。脇の女優さんがみんな似たような顔なので混乱して困った。
(☆)


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「ブルドッグ」

2003年11月16日 | 映画
麻薬取締官が妻を組織に殺されて復讐に立ち上がる、というまことにありふれたストーリー。その割に組織のボスが逮捕されている間に別の組織が縄張りを狙ってくるとか妙に外したサイドストーリーがはさまったりして、見せ場も散発的で盛り上がらない。タイトル・デザイン(カーラ・スワンソン)は凝っている。
(☆☆★★★)


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「キル・ビル vol.1」

2003年11月14日 | 映画
金かけて古今東西のB・C級映画の要素を詰め込んでいって、大ゲテモノができてしまった観。日本描写のヘンさ加減やセットの質感の安っぽさや描写の御都合主義など、わざとやっているのはわかるのだが、寄せ集め以上の何かがあるとは思えず、金かけた分、安っぽさが増幅されたみたい。

デ・パルマ調のマルチ・スクリーンとか、エンニオ・モリコーネみたいな音楽だと思ったら本物だったり、テレビ版の「柳生一族の陰謀」の音楽がなぜか流れたり、飛行機の模型を吊っているピアノ線が見えてる、といったお遊びには気付くが、どうも作り手の自己満足という感じで、見ている方とするとゲテモノはたまに見るからいいので山盛り詰め込まれても、その分楽しめるってものではない。特に元ネタを探す気にもならない。

血しぶきのあがり方が日本映画調に安っぽく、安っぽい分ヘンにどぎつい。ハリウッド映画が日本に注目したからって、いいかげんヤニさがる時代でもないだろう。

あとで聞くと、客の反応は地方では全然ダメとのこと。
(後記 シナリオにYuki charges the Bride, Kamakazi style.(ユキはカマカジ・スタイルでザ・ブライドに突進した)なんてのがある。Kamakaziって何かと思ったら、KAMIKAZE カミカゼなのね。「パルプ・フィクション」のブルース・ウィルスの刀の構え方をKen Takakura style 高倉健スタイルと指定していたのと同じ趣味)
(☆☆☆)


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「武士・MUSA」

2003年11月12日 | 映画
中心になる集団がしょっちゅう内部で対立していたり、守られる姫が姫だからという以上に守られる理由がない(それを当人も守る側もわかっている)、とか、腕のたつ奴隷が自由になってもあくまで誰かに仕えることに身を捧げたり、といった具合にコスチューム・プレイではあっても行動原理はリアルというか、美化された部分が少ない。

たっぷりあるアクション・シーンは頸に矢が刺さったり頭に槍が食い込むのをもろに見せたりと、かなり刺激が強いが、少しサイズが寄り過ぎていたり、攻めてくる方向づけがバラバラだったりと構成的にはやや弱い。刀はあまり使われず、槍や弓矢の方が主体。これもリアリズム志向か。高麗人と漢人と蒙古人が混ざって出てきて全部言葉が違うらしいのだが、字幕は出ない。実際に流れているのは何語だろう。

チャン・ツィイーはきれいには違いないのだけど、「初恋の来た道」の初々しさがないのは当然として、ちょっとカリカリした役が続き過ぎている観。この役のためにまわりがバタバタ死んでいくのだから、もうちょっと魅力的でないと困る気がする。
(☆☆☆)


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「キューティ・ブロンド ハッピーMAX」

2003年11月10日 | 映画
動物愛護法って、そう無条件に賛成できるものではないし、それが成立するかどうかだけでストーリーをひっぱっていけると本気で考えたのだろうかと思うくらいダルい展開。

途中でサリー・フィールドの上院議員の裏切りが絡んでやっとエンジンがかかるかと思うと、フィールドがずいぶんシケた役で仇役というほどの迫力ないし、ヒロインが大勢の仲間の協力を得られるもので簡単に乗り越えてしまう。クライマックスの演説(アメリカ映画は演説好きだねえ)も、いかにもありきたりの内容だし、それまでの展開とあまり関係ない。
カラーデザインとファッションは凝っている。
(☆☆★★)


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「アイデンティティー」

2003年11月09日 | 映画
オープニングの時制を交錯させながら「そして誰もいなくなった」式趣向に持ち込む語り口が鮮やかで、大いに期待させる(脚本・マイケル・クーニー)。ネタを割る所では、またかよといささか引いたが、その後もう一発盛り上げ改めて結末をつけるストーリーの工夫は画を凝ることばかりに懸命な今の風潮に抗している観で、いささか強引なのだが印象は悪くない。本当はあまり意味のない伏線を一所懸命に張っている。

囚人役の役者、出てきた時に歯のむきだし方がゲイリー・ビジーに似ているなと思ったら、息子のジエイク・ビジー。納得。
(☆☆☆★)


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「インファナル・アフェア」

2003年11月08日 | 映画
主役二人の素晴らしいマスクを見ているうちに終わってしまったみたい。近来、珍しい体験。
(☆☆☆★★)


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「白と黒」

2003年11月08日 | 映画
今どきはやらないような話術の大けれん。さすが橋本忍といった感じ。
題名に合わせたわけでもないだろうが、白黒撮影の陰影の深さは今では再現不能ではないかと思わせる。
(☆☆☆)


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「ティアーズ・オブ・ザ・サン」

2003年11月07日 | 映画
アメリカ映画って、どうしても仇役を設定しないともたないのね。ここだと反乱軍が一方的な悪役になっているわけだが、アフリカではフチ族とツチ族の争いなどシーソーみたいにやったりやられたりしてどっちがいいとも悪いともいえないのが、普通だろう。アメリカが援助した勢力が後になって敵にまわった例って、フセインもビンラディンもそうだったではないか。

ジェット戦闘機が救援に駆けつけてくるのは大袈裟ではないかと思ったら、害虫に殺虫剤でも撒くように爆撃して悪い奴らだけが死んでしまう。そんなに調子よくいくかよ。

戦闘シーンやロケなどに見る視覚的なリアリズムとは裏腹に、轟音を発して戦闘機が出撃するすぐそばで携帯みたいな感じで無線で話してたり、展開・演出はてんで御都合主義。軍人が自分の勝手な判断で命令違反するのが許されるのだったら、正義を唱えて軍事クーデター起こしたってよくないか。
せめて<>の信頼や友情でも見せてくれればいいのだが、通りいっぺんで食い足りず。
(☆☆★)


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「トゥームレイダー2」

2003年11月06日 | 映画
出だしのアクションシーンで脚にけがしているところに鮫が来ても襲わないでいつのまにかどこかに行ってしまうのにがっくり。こういう雑な作りは全編で、肝腎のパンドラの匣が開かれたらどうなるかよくわからないなど、すっぽ抜けだらけ。高層ビルから人間ムササビみたいに滑空するシーンは見ものだが、あまり脈絡なく見せ場を作っているところが多い。
(☆☆★★★)


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「シャンハイ・ナイト」

2003年11月06日 | 映画
回転扉をはさんでの警官相手の立回りはキーストン・コップスの感じ、続いて雨傘を開いて「雨に唄えば」そのものを流すあたりあたりは古い映画の引用ぶりに嬉しくなるが、そのうちシャーロック・ホームズやチャップリンやジョン・ウェインとまでがぞろぞろとなるとちょっと調子に乗り過ぎでついていけなくなる。

とはいえ、アメリカ製のジャッキー映画では一番らしさが出ていていい。「カリオストロの城」のパクり(どう見てもそうだぞ)は、アニメでないとできないはずだった趣向を生身でやっているのだから偉い。香港ではやっていなかったはずのドニー・イェンとの対決が見られるのがお楽しみ。

ただ、NG集はエンドタイトルのおまけにつけるもので、本編に入れちゃいけません。長たらしいタイトルの我慢をやわらげる効用もあるのだから。あと、予告編はキメのアクションを出してしまうのだから見せすぎ。あれでだいぶ期待値が減った。

イギリス(それもかなり安いセット)が舞台となると、香港出身者とどこかしっくりくる。妹役のファン・ウォンは動けるしチャーミング。
(☆☆☆★)


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