prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「絵の中のぼくの村」

2003年07月28日 | 映画
子供の時の記憶というのは、そのまま他の人の記憶とつながっているようなところがあるが、主役を双児にしたことで、そのニュアンスがはっきり出た。始終森の中で噂をしている三人の婆さんは「マクベス」の魔女くさい。
(☆☆☆)


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「ソラリス」

2003年07月20日 | 映画
どう失敗したかを確かめに見に行ったようなものだが、まあ次々とやってはいけないことをやってくれている。ジェームズ・キャメロンが製作というとCGで得意気に原作にある4メートルの赤ん坊を出すかと思ったらこれは外れ。

しかしソラリスの海が人間とはまったく違う種類の知性を持ち、しかしあまりに異質すぎて意思の疎通はまったく不可能、という大前提がすっぽ抜けているのには唖然。それではこのストーリーを映画化する意味がないではないか。

ラブストーリー寄りに脚色して地球上の夫婦のなれそめを回想シーンで頻繁に入れてるわけだが、ソラリスの海が主人公の記憶から再生させた亡妻がとりあえず姿形だけ再現したもので初めのうちは内面を持っていない、というのを押さえておらず、蘇った妻(のようなもの)が地球上のシーンを回想したりしている。

なんで亡妻しか持っていない筈の記憶を主人公が知ってるの? 人間がわかる範囲などごく限られたもので、身近な人間のことも、それどころか自分自身のことすらわかっていない、という原作とタルコフスキー版の前提となる認識がない。先達に対する裏切りというだけでなく、わかるはずのないことをわかっているつもりでいる姿勢に腹が立つ。

雨が降っているシーンから始まる、それどころか地球のシーンの大半に雨が降っているとは、タルコフスキーを見ている人間に喧嘩売っているのかと思わせる。

ソラリスに部隊を送り込んだら帰ってこない、というのは「ストーカー」か? そのくせ、ソラリスの海を海ではなく光の塊のように描いているだから、何やってんだかわからない。地球上の水の描写がソラリスの海と水のイメージという点で響きあっているのを外して、代わりに何があるかというと何もない。こけ脅しのスペクタクルすらない。

数々の奇怪な現象の描写にしても雰囲気の出し方にしても、「地味」と思われがちなタルコフスキー版の方が見せ方のセンスもテクニックも遥かに上なのだから皮肉。

ロビーでしきりと二人連れの片方がもう一人に本来のストーリーを説明していた。説明しなきゃ、わからないよ、これ。
(☆☆★★)


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「ミニミニ大作戦」

2003年07月18日 | 映画
オリジナルの強奪計画を立てる首謀者が刑務所の中にいるとか、文字通り宙ぶらりんで終わってしまうラストといった奇妙な感覚は影をひそめ、もっぱらミニ・クーパーで地下道を逃げるという一点に絞って今風のハリウッド式に作り直されている。毎度のことながら。
(☆☆☆)


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「メラニーは行く!」

2003年07月12日 | 映画
都会派コメディかと思ったら、原題通り(sweet home alabama)にアラバマの田舎ぶりの方が中心。まだ南北戦争にこだわっている。三角関係を作る二人の男が両方ともずいぶん人がいい。後味がいいとも言えるが、御都合主義にも見える。

キャンディス・バーゲンが市長役というのは嵌っているが、逆にいうと魅力のない役ということ。
(☆☆☆)


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「二重スパイ」

2003年07月05日 | 映画
題名で展開をばらしているのだから、前半はかなりかったるい。ラストでバッハの「マタイ受難曲」が流れるのが、主人公たちがクリスチャンというのに合わせているわけで、スパイをキリストを裏切ったペテロになぞらえているのかもしれないが、ちょっと変な感じ。タイトルで、ハングルの前にロシア語がちらっと出て、音楽もロシアのもの。ロシア人は出てこないが当然バックにあるわけで、曲に何か象徴的な意味が入っているのかもしれない。
(☆☆★★★)


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