prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ジョヴァンニ」

2004年11月30日 | 映画
光の使い方、人物のマスク、ともにずいぶんと美的な戦場絵巻。あまり戦いをエキサイティングに描くのは避けている一方で、馬を解体して焼いて食べるところなどは目をそらさないで描いている。
ただ武器、特に火器を使う戦争が非人間的で、槍や刀を使うのが人間的という作り手側のコメントは一概に納得できない。
(☆☆☆)


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「ヒナゴン」

2004年11月29日 | 映画
広島の田舎の比奈町に類人猿ヒナゴンが現れるという噂が流れる(実話ネタらしい)。
ただし、それで騒動が起こったのは30年前で、本筋は昔ヒナゴンを見た子供たちの一人が町長になり類人猿課を発足させて、昔の仲間が集まるところから始まる。しかしそれも町の合併話が核になってはいるが、全体としては田舎町の日常的な描写が大半を占める。
地方ロケの効果(協力した組織・団体一覧の数が多いのでびっくりする)や、誰かにいつも見られていてやたら情報が早く駆け巡るところ、いい歳した男同志が子供みたいに手四つで力比べをするところなど、描写そのものはおおむねうまくいっているが、それでも騒動が起こりそうでほとんど起こらない作り方で2時間はややキツい。ヒナゴンそのものはゴーストのようにボカしている分にはいいが、普通に写すとヒトの骨格と歩き方がバレる。
子供が大をモラしたパンツを画で見せるのは汚なすぎて感心しない。出てくるタイミングが妙に遅いのでなお目立つ。


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「マルセイユ・ヴァイス」

2004年11月29日 | 映画
アメリカ製みたいにバディもの仕立て。それもC調の白人と堅物の黒人の組み合わせなのだから、フランス映画も変わったもの。もっともアクション・シーンの切れ味やストーリー・テリングはややタルい。
ボート・チェイスではアクションより地中海の景色に見とれてるみたい。
(☆☆★★)


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フィリップ・ド・ブロカ

2004年11月29日 | 映画
フィリップ・ド・ブロカ監督死去。
この人はなんといっても「まぼろしの市街戦」だろう。今みたいに「ぴあ」がバカでかい情報誌になる前、「もあテン」もう一度見たい映画リクエストでは、ド・ブロカの「まぼろしの市街戦」が「シベールの日曜日」あたりと並んで上位に来ていた。

初めはテレビの深夜放送で見た。劇場では今はなき「三鷹オスカー」でケン・ラッセルの「恋人たちの曲・悲愴」と一緒という妙な組み合わせで見た。精神病患者がぞろぞろという内容からテレビでは放映できなくなり、割と最近DVDが出るまで文字通りまぼろしだった。

第二次大戦末期のフランスの田舎町からドイツ軍が形勢不利と撤退する前に爆弾を仕掛け、その情報が漏れたもので町から人が避難してしまい、精神病院の患者だけが残る。“正常”な人間たちが戦争で殺しあっているのに患者たちが居残った町は平和という皮肉も痛烈だけれど、患者たちが思い思いに扮装を凝らしたメルヘンチックな雰囲気がこの監督の持ち物で、フランスの田舎町をそっくりニューヨークに移してしまう「君に愛の月影を」や、ジャン・ポール・ベルモンドの小説家が自作中で大活躍する「おかしなおかしな大冒険」などもそうだった。

日本公開作は75年の「ベルモンドの怪盗二十面相」が最後だから、一般にはほとんど忘れられている監督ということになるだろうが、こっちが「心の王様」(「まぽろしの市街戦」の原題)と、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドのヒロイン・ココリコを忘れることはないだろう。

「いま、会いにいきます」

2004年11月28日 | 映画

いやに回想シーンが多くて、ヤマ場の別れの場面の後、片思いだったと思ったら両思いでしたという内容の日記(なんだか今更に思えた)になり、さらに幽霊か何かみたいだった竹内が実はという展開になるのだが、これ何か意味あるのかな。
伏線を張っているわけではないから随分唐突な感じだし、自分の未来を知っていてあえて選ぶって、そんなに達観していていいんですかね。先がどうなるかわからないから命なり愛なりを大事にするのではないか。
一体、この夫婦、どうやって結婚したのだろうと不思議だったのだが、こういう理由付けされると逆にひっかかる。

竹内結子が現れて消える水びたしの廃屋は、タルコフスキーの「ストーカー」みたい。死んだはずの人間が肉体を持って復活するあたりは「惑星ソラリス」ばり。関係あるのかただの偶然か、どっちにしてもだからどうということはない。

時間が経たないみたいな世界。プロローグから10数年前に遡って旧式のワープロを使っているかと思うと天気予報を森田さんがやっていたりする。TBS製作だからだろうが、混乱する。
20歳の時の竹内と28歳の時のとが変わりない。これは一応意味があるが、約束ごとだと思っていたからかえって変。

雨のシーンが多いが、かなりの部分を天気雨にしていてジトジトした感じにならないようにしているのはいい。

写真は映画とぜんぜん関係ない。
(☆☆☆)


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傑作集

2004年11月28日 | Weblog
ネット通販で買った「鈴木尚之 人とシナリオ」が届く。「五番町夕霧楼」「飢餓海峡」「沓掛時次郎 遊侠一匹」といったとびきりの傑作シナリオを収録。通販だから本が痛みはしないか心配だったが、エアキャップシートでくるんで本自体にもビニールカバーをかけているという念の入れよう。読むのが楽しみ。

新開店の居酒屋のティッシュをもらう。それ自体は珍しくもなんともないが、一見してシュウマイ弁当みたいな体裁になっているので、何かと思った。

「鏡の女たち」

2004年11月27日 | 映画
田中好子が記憶喪失であることと、広島の体験が記憶され続けなければいけないのに忘れられていくことが結び付いていくあたりは「二十四時間の情事」を思わせる。

岡田茉莉子と田中好子が本当の母娘であるかどうかはDNA鑑定すればわかることだし、事実鑑定した否定される老夫婦が別に出て来たりするが、岡田が頑として鑑定しようとしないで抽象としての親子関係を結ぼうとするあたり、BS放映後のインタビューで岡田茉莉子が台本を読んだ時「見事な女性映画だと思いました」と語っていたが、自分の子供だけでなく他人のかもしれない子供も子供一般として愛せる体質はなるほどそうかもと思わせる。

今そこにあるものより、ないもの欠落したものを重ねて行く否定の論理とでもいうあたり、吉田喜重らしい。
もっともいつもの抽象世界に絢爛と突入してしまう感じは薄く、ひびの入った鏡のシンボリックな扱いなどわかりやすすぎるくらい。カップについた口紅の跡の扱いや、日本間に女たちが相似形で座る姿(小津!)など、古巣の松竹大船の匂いがする。
中堀正夫の端正な画作りが演出の体質とよくマッチした。
(☆☆☆★★)


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警備

2004年11月27日 | Weblog
また聞きだが、六本木ヒルズにはファンや警備員だけでなく、右翼の街宣車が集まっていたとのこと。ヨン様目当ては女性ファンではないということね。ナニをするつもりだったのやら。

生まれて初めてお通夜の受付というのをつとめる。
何しろ少なくない現金を扱うから結構気疲れする。いつお焼香に行くかも迷うし。
もっともお経の間(長かった)、もぞもぞ身体を動かしてもいいのはありがたい。

改題

2004年11月26日 | Weblog
映画「ゴーストネゴシエイター」が細木数子の見立てで「ゴーストシャウト」に改題。
正気か?まさか話題作りのつもりじゃなかろうな。元がいいわけではないが、少なくとも意味は通じる。なんで幽霊がシャウトせねばいかんのだ。ポスターその他の改変に1000万かかるという。
こんなことで変えるっていうのは、よっぽどいい加減に題名を決めているのではないかと疑わせる。もともとあまり見る気なかったが、見る気なくす。
テレビタレント頼りの映画の宣伝って、安く見えるからよせばいいのにと思うのだが、効果あるのかね。

キャベツが一個258円と普通の値段になったので買って来てロールキャベツを作る。これは半分に切ったのでは作れないものね。

「トリコロールに燃えて」

2004年11月25日 | 映画
前半の平和な時代に享楽的な日々を一緒に過ごした三人が、戦争になるとそれぞれの運命を生きるようになるのだが、ばらばらになりっぱなしでドラマの上で絡む場面がないので、どうもメリハリに欠ける。歴史の描き方も型通り。パリ解放の後、ロバート・キャパの写真のように髪を切られた女が出てくるだろうと思っているとその通りになるといった調子。

シャーリーズ・セロンがドイツ軍将校の情婦になったと見せてスパイを勤めているというヒロインで、うまく描けばずいぶんドラマチックな役どころになった筈が、正体がばれそうになる場面がないので、設定で満足してしまっている印象。

フランス人はフランス語、スペイン人はスペイン語という具合にそれぞれの言葉を喋っているのはアメリカ映画にしては珍しい。結構。ただドイツ軍将校が時々英語を喋っている。
画面はなかなか綺麗。しかしなぜかあまり厚みを感じない。
(☆☆☆)


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「恋や恋なすな恋」

2004年11月24日 | 映画
後半、主人公の大川橋蔵が発狂してしまうと、チョウチョがとんできて、ふっと離れるとバックが黄色一色になっていて、その前で踊る。鈴木清順より前の製作。子供の頃、精神病院の救急車(?)のことをなぜか黄色い救急車と呼んでいたのを思い出した。

さらに白狐が出てくるところでなんと祭りで使うような狐のお面を堂々とつけてこれが白狐ですというのには驚いた。映画では多少なりともリアルに見せなくてはいけないのではないかという常識を蹴飛ばした観。後半、主人公がずうっと頭がおかしくなっているせいもあるだろうが、ブッとんでるなあ。内田吐夢みたいな“巨匠”の作品という感じじゃない。

葛の葉に化けている白狐=嵯峨三智子が口に筆をくわえて“恋や恋…”と書くあたりはちゃんと字になっている。ただしまったく読めないし、謡の文句もわからないので英語字幕を読んでいた。
英語題はMAD FOX。MAD MAXじゃないよ。
(☆☆☆★★★)


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LP

2004年11月24日 | Weblog
しまいこんでいたLPを何枚かオークションに出す。盤面の状態は保証できるけれど、いかんせん時代遅れの媒体だし誰がこんなのに興味持つのかという気もするが、費用がかかるわけでなしやってみるかといったところ。LD出したら全部はけちゃったってこともあったし。

肩凝りはいくらか回復する。
電動肩揉み機は使い過ぎると後で痛くなるから、気をつけないと。

「トレジャー・アイランド」

2004年11月24日 | 映画
「宝島」のアニメ化映画化のほとんどがキャプテン・ジョン・シルバーを三枚目がかって描いているのはどういうわけだろう。宇宙を舞台に翻案したこれも例外ではない。例外は出崎統演出によるテレビシリーズくらい。主人公ジムの精神的父親であり最初の敵でもあるキャラクターなのだからフザけてスケール感を小さくされては困るのだが。

海賊キャラを宇宙人、というよりフリーク系で固めているのが場面によってはグロに見える。
母親がバカに若い。
(☆☆★★★)


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「キリクと魔女」

2004年11月24日 | 映画
スタジオジブリが噛んでる(訳・高畑勲)からもっとややこしい内容かと思ったら、割と単純な魔女退治の話。ただしワルモノを退治してオシマイではないところがミソか。
アフリカの部族社会を描いていながら絵面はグラフィックで原色の使い方もモダン。
(☆☆☆)


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