『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

震災短編『贖罪』8

2022-11-14 12:00:44 | 創作

 

 古代ギリシアに、こういう判例がある。

 ある船が座礁し難破した折、一人の水夫が壊れた船の板切れにすがりついて助かった。
 するとそこへ、別の一人の水夫が泳いできて、その同じ板切れにつかまろうとしたが、先の水夫は、その者を突き飛ばして溺死させてしまった。

 救助された後に行なわれた裁判では、この水夫は殺人の罪に問われなかった。

 これは、古代ギリシアの哲学者・カルネアデスが出した問題とも言われることがあり、『カルネアデスの舟板』とも呼ばれるものである。
 この例えは、現代でも、法的には刑法第三十七条「緊急避難」の例として、よくあげられるエピソードである。

 

 圭子の衝動的行為は、まさにその「カルネアデスの舟板」だったのであろうか…。
 であるならば、『蜘蛛の糸』のカンダタも、緊急避難であったとは言えないのだろうか…。


 しかし、人道的には、賛否が分かれる処かもしれない。
 同情はするが、いざとなったら何をするか判らない女、というので、配偶者に選ぶには躊躇する男もいるやもしれぬ…。

     

          

 


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