『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

インク

2013-02-27 08:04:00 | 製本


古楽器の本が落札されたので、
さっそくオンデマンドで
印刷したらインクが
なくなってしまった。

これまでのカートリッジと
ちがっているので、
またドリルで穿孔して
抽入作業をしなくてはならない。

メーカーもできるだけ
カートリッジを買わせようとして
複雑な設計にしているが、
純正のインクをセットで買うと
5千円近くするので
バカ高くてハナシにならない。

ダイソーだと詰め替え用が
105円で買えるというのに。



***************



人生随談


先生 あとは、高校時代に男子高だったんで、1年の時、クラスで変なことが流行ったんですよ。福島弁では「おだつ」って言うんですけど、「悪ノリ」っていうのかな、毎日、昼休みになると、ランダムな何人かが標的を一人決めて、そいつをみんなで押さえつけてズボンとパンツを脱がせるというゲームなんです。
奈保子 はぁ~(笑)。
先生 見てる分にはオモシロイんだけど、やられる方はタマラナイ(笑)。
奈保子 男子による、男子のレイプごっこみたいなもんですか。
先生 やられる側はものすごく抵抗しますから、その心情に近いものがあるんでしょうね。
奈保子 それで、先生も被害に遭われたんですか…(笑)。
先生 うん。危うく難を逃れたんだけど…。ある日、黒板の脇にあるミニ黒板に私の名前がでっかく書かれたんですよ。それは、だれかが予告として書いたんですね。明日はコイツだ、って…。
奈保子 怖い(笑)。
先生 そう。私もビビリましてね。
奈保子 それで、どうされましたか。
先生 ある日ね、襲撃されかかったフクチ君という子が、筆箱からカッターを出して笑いながら威嚇したんですよ。そしたら、バカ共も笑いながら「ヤバイ」とか言ってビビッたのを目撃してたんで、「よし、あの手でいこう」と思ったんですね。
奈保子 なんだか、危ない予感がしますね…(笑)。
先生 そうなのよ。で…、翌日の昼休み、予告どおり、血祭りゲームが突然はじまったのね。
奈保子 アワワワ…。恐ろしや(笑)。
先生 あれは不思議なんだけど、誰がリーダーだとか、音頭をとるわけでもなく、なんとなく数人がニヤニヤしてるかと思うと、突然ひとりが飛び掛るのをキッカケに何人かがいっせいに「ウォーッ」って襲ってくるんですよ。
奈保子 ケダモノみたいに…(笑)。
先生 狩猟本能が先祖返りするのかしらん(笑)。
奈保子 やっぱり、レイプされるような恐怖感がありましたか。
先生 そうね。暴漢に襲われる心理ってあんなものかもしれないね。
奈保子 一対多ですものね。
先生 それで、買ったばかりの切り出しナイフを筆箱から威嚇武器として出したわけですよ。
奈保子 正当防衛ですものね。
先生 案の定、暴漢はひるみましてね。してやったり、と思って、ちょっとパフォーマンスをやってみたんですね。
奈保子 パフォーマンス? …って、どんな?
先生 私もまだ高一のヤンチャざかりだったから、ちょっとナイフを空中で一回転させてキャッチしようと思ったんです。日活映画の裕次郎みたいにね…(笑)。
奈保子 ・…・・?
先生 あっ、裕ちゃん、知らないか…。ま、いいや。それはね、家でちょっと練習して、上手くかっこよくキャッチできたんですよ。でも、いざ、本番では…(笑)、みんな見てるから手元が狂いましてね…。
奈保子 やな予感…(笑)。
先生 そうなんです。キャッチし損ねて、スッパリ親指の根元が切れましてね。血がドクドク…。お約束の結末(笑)。
奈保子 うわ~。やっちゃいましたね。
先生 そう。やっちゃったんです。で、急いで保健室まで走りましてね。
その間も、血が流れっぱなしで。手の平のくぼみにタップリ溜まっているんですよ。保健の先生が見たら、「ありゃ、こりゃ、縫わなきゃダメだ」ということになり、すぐに、近所の外科に行かせられたんです。
奈保子 あらま~。
先生 そんで、一人で自転車こいで行ったんですから、むかしの高校生はエライでしょ(笑)。
奈保子 エライんだか、おバカなんだか…(笑)。
先生 バカでしょ(笑)。ほんで、病院に行ったら、男の先生が笑いながら、「何したんだ」って訊くもんだから、「ええ。転んで、金属で切りました」なんて嘘こいたんです(笑)。そしたら、笑いながら、有無を言わせず、いきなり血がドクドク溢れる傷口に、麻酔の注射針をブスッと刺したんですよ。
奈保子 ウワッ…。エグイですね(笑)。
先生 いや。痛い話なの(笑)。「ものすげー、いてぇーッ!!」って、病院中にコダマするほど絶叫しましたもの(笑)。
奈保子 ハハハハ…(笑)。そうやって聞くと、笑えますね。苦悶する高校生のカワイイ姿が眼に浮かびます。
先生 ひどいね(笑)。医者も笑いながら「男の子だろ。ガマンしろ」なんて言うんですから。男の子だって、痛いもんは痛いですよ。しかも、鮪の赤身みたいな傷口のど真ん中に針刺すんだよ。せめて、傷の周囲にしてくれ、っていうもんでしょ。もっとも、その後、周囲の何箇所かにも刺しましたけど…。最初に刺しちゃイケナイって。
奈保子 ご愁傷様でした…(笑)。
先生 ま、そん時の体験ひっくるめて「痛さ」と「馬鹿さ」の感動体験ですよね。
奈保子 なるほど。感服いたしました。でも、とてもお気の毒でしたが、面白い話でした。何か、教訓めいたことは学ばれたんでしょうか。
先生 あ、そうそう。その後日談だけどね。私が物々しい包帯姿で教室に戻ったでしょ。そしたら、みんな引きつったような苦笑いしてるんだよね。
奈保子 みんな、バツがわるいでしょうね。
先生 そう。私も気恥ずかしいし…。でも、その流血騒ぎで、おふざけゲームがピタリとなくなったんです。
奈保子 はぁ。なるほど。それが、「血のイニシェーション」になったんですね。
先生 そうなんです。だれかが、結局、血を見なかったら治まらなかったんですね。
奈保子 ある意味、元型的な出来事ですね。
先生 ええ、魂理学的エピソードでしょ。
奈保子 そう思います。でも、先生ご自身が被害者体験をされたのはお気の毒でした。
先生 いや。それも、後日、授業の笑い話のネタになったらかモトはとれたかもね。
奈保子 転んでもタダ起きない精神ですね。
先生 そうそう。大事なこってす。


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