いつの間にやら
入梅したという。
台風一過後、
ここ数日も
寒暖差が激しく、
朝夕は肌寒く
日中は夏日になる。
そのせいか、
朝の起きがけが
だるかったり、
体が痛んだりしている。
しかたなく、
カミさんが耳鼻科で
処方されて余った
ニフラン(鎮痛剤)を
毎朝1錠服用している。

リサイタルCDの編集が終わり、
ライナーも印刷し、
ケースと袋のパッキングをやった。
こういう数仕事をやっていると
つくづく家内工業っぽいなぁ、
職人仕事みたいだなぁ・・・と、
実感する。
でも、生来、
プラモ少年、工作少年で、
手仕事や手造りが
嫌いな性質(たち)ではないので、
無心に、きれいに仕上げよう、
とこの瞬間は作業に没頭する。
これから、
お一人ずつ顔を思い浮かべ
感謝の気持ちを込めて
十数人分の礼状を書いて、
宛名書きして
郵便局に持ち込むまで
まだまだ“楽壇ひとり”事業部の
事務仕事は終わらない。
同時に、
土日には、
CDを持参して
市内の友人知人親戚宅に
後礼(ごれい)としての
挨拶回りに行かねばである。
音楽堂で
リサイタルを開催するというのは、
後援、支援、声援あっての
個人的大事業なのである。
それゆえ、
諸事を含めての音楽活動であり、
復興支援への奉仕なので、
「させて頂くことが有り難い」
と心得て、実意を込めて、
味わうように、丁寧に
事務もやらせて頂いている。
もし、心に
「メンドクサイなぁ・・・」
なんて浮かんだものならば、
「じゃ、もうやめちゃえ!」
という心の声に
叱られる。

長年、高畑から
レッスンに通っておられるKさんが、
注文していたフラメンコギターが
完成して届いたというので、
わざわざ持ってこられて
見せて下さった。
まだ40代の気鋭の製作家・
黒澤哲郎さんによる
『沖仁モデル/ネグラ』
(648.000円)という
高級品である。
Kさんはすでに
スペインの製作家による
ブランカ(白/裏板がシープレス)を
所持されていて、前々から
ネグラ(黒/裏板がローズ)を
欲しがっておられた。
試奏させて頂いたが、
弦と楽器がまだ初(うぶ)いので、
作りたての初い音しか鳴らないが、
将来は、十分に伸びがあって
芯のある美音に育つものと
確信させられた。
自分も古楽器を製作し
材料や製作精度と
向き合ってきたので、
その見事な出来栄えに嘆息し、
カシュー塗装の甘い香りに
ウットリと酔いしれた。

古楽器は完成したら
次々とヤフオクに出品し落札されたので、
手許には先日のリサイタルでお披露目した
失敗作のルネサンスギターしかない。
それでも、
完成作品はすべて
撮影して紙上『美術館』に
所蔵してあるので、
時折、懐かしく眺めている。
プロ製作家の
1/20くらいの廉価で
出品していたので、
落札された全国の
古楽器愛好家の方々からは
たくさんの礼状を頂いた。
中には、
楽器の細々とした画像と共に
演奏をYouTubeに
アップして下さった方もいる。
世界で一番美しいと感激した
ストラディバリウスが製作した
バロックギターのフォルムを
模ったものは三本製作した。
また、
オリジナル・モデルの
14弦バロック・リュート調弦ギターも
製作して落札された。
プロが作れば、
50万円以上はするが、
3万円ほどで出品するのだから、
新品の古楽器相場としては
タダみたいなものである。
材料費は1万円程度なので、
プロの作品のほとんどが
技術料、手間賃なのである。
製作には
100以上の行程があり
塗装の乾燥から仕上げまで
1ケ月ほどはかかる。