仕事柄、ここ数カ月で8つほどの自治体を訪問して道路インフラの管理の仕方について現状と今後の悩みなどをヒアリングしてきました。
本州の道路管理であれば冬に雪がないために、一年中道路パトロールと清掃、街路樹の選定、そして壊れたところがあれば小修繕ということで済むでしょう。
しかし冬に雪が降る北海道となれば、夏の維持体制と冬の除雪体制では関わる業者さんも管理のやり方も全く変わります。
以前から良く聴かされていたのが、「自治体職員の数が今後は減ってゆく」「特に技術系職員は募集をしても集まらない」「除雪は少子高齢化で業者の数が減っている」「特に大型特殊免許を持っていて除雪の機械を動かすオペレーターが減って除雪の担い手が不足する」といったことでした。
私もヒアリングをする前は、北海道のどこもそんな感じなのだろうと思い込んでいました。
ところが実際に現場を訪ねて現状を伺うと、必ずしも自治体によって状況は一様ではないことが分かってきました。
自治体によって異なる条件の典型は"降る雪の量"です。
日本海側は海で吸い上げた水蒸気が陸地で雪になるので雪が多く、北海道の中央にある山で雪を落とすと道東側は雪が降りません。
直感的には、雪が降る方が大変で雪が降らないほうは楽ちんなのではないか、と考えます。
ところがこれが住民の立場と除雪業者では立場が異なります。
雪が降るところの住民は雪かきが大変ですし、雪が降らないところは晴天が多く明るい冬が楽しめます。
ところが除雪の業者となると、「雪が降る地方は出動した時間に応じてお金がもらえるので除雪は儲かるビジネスでやりたがる人は多い」とのこと。
一方道東のように雪が降らなければ出動する時間がシーズンで3~4回ほどととても少ないために出動してもお金にならない。
しかもいつでも出動できるための機械を用意して体制を組むのですから、かかる経費はバカになりません。
それなのに出動しなくてはお金にならないというのでは業者の方は疲弊してゆくというわけです。
北海道なんてどこでも寒くて雪が降り、除雪の体制はどこも大体同じと思い込んでいたのですが、実は自治体ごとに非常にやり方が異なっているというのは驚きでした。
そしてどこの自治体へ行っても異口同音に述べられるのが「最近は住民からの要求やクレームが増えている」という悩みでした。
「いつ来るんだ」「家の前に雪を置くな」「家の前も除雪しろ」といった、様々な要求やクレーム、問い合わせに冬は職員が疲れ果てるというのも良くわかります。
北国では雪のある暮らしについてもう一度生涯学習をして、行政サービスをむさぼろうとするのではなく、どのように周りに貢献できるかという発想に変えて、皆で乗り切るような協力体制が欲しいものだと思いました。
北国の暮らしって、学校でどう教えていて、社会はどう学んでいるのでしょうか。
今年もそろそろ雪の便りが聞かれるようになりました。