最近仕事の関係で地方自治体を訪ね歩くことが増えました。
訪問の目的は会社の事業や製品の紹介とプレゼンテーションが中心ですが、自分の長年の経験から、この上手なやり方が見えてきました。
資料のつくり方も一つのテクニックなのですが、良い資料を用意したとしてもそれを使ってどのように相手の心に入ってゆくかはこれまた別なテクニックです。
私がたどり着いた私なりの究極のアプローチ方法は、「とにかく書く」ということ。
相手に対しては、今回の訪問の目的、背景、現状認識への質問、自社製品のメリットなどをすべて書き出して、できれば一枚にまとめた紙を用意してこれをベースにして意見を交わします。
こうした紙のことを最近は「アジェンダ」というようになりました。
しかし「アジェンダ」って言われても私も正直言って長い間なかなかイメージがわきませんでした。
(レジメと何が違うの?)、(アジェンダって辞書を引いてもいろいろな意味が出てきて、つかみにくい)というのが一般的な思いだと思います。
ところが実際に外部の人が自分に対して資料説明をして内容を伝えようとしている姿を見ていて、(実に分かりにくいし、後に残りにくい)と思うことがしばしばでした。
それは資料の束だけは残るものの、そのときに何が目的でどんな意見を交わそうとしているのか、は大抵口頭で述べられて、会議のメモも割と乱雑なものに終わってしまうからだと思うようになりました。
そこであるときから、資料の束とは別に、本日の日付・時間、出席者、意見交換したい議題・ポイントなどを書いた一枚紙をつけて、それをもとに会議に臨むようにしました。
後から考えるとこれこそが「アジェンダ」で、会議を進めやすくする手助けになっているのだと気がつきました。
自社の製品を売り込むときも、まず製品の特長やメリットから入るのではなく、「こんなことで困っていませんか?」「どんなことで困っていますか?」という質問から入るようにして、ある程度関心と心の中の困りごと・不平・不満を引き出してから、「それならこのような回答があるのではないでしょうか」という形でプレゼンをする。
お互いに会議の内容とその場の議論が後に残るような工夫が必用で、その一助がアジェンダという言葉に集約されています。
しかもこのアジェンダに代表されるような「書き物」は、回数を重ねるともっと良い内容に次第にバージョンアップされてゆきます。
これが空中に消えてしまう口頭での発言と違うところで、書き物にして残すことでどんどん内容が向上してゆくという効果が期待できます。
今まで口頭で説明したり話をしていたことを一度書き留めてみましょう。
それが後に残る財産になってゆくことでしょう。