年末の挨拶で各方面へ回っているといろいろな情報が得られます。
ある友人を訪ねたところ、東京オリンピックのマラソンが札幌に来たことへの東京の残念ぶりが話題になりました。
それはやはりマラソンはオリンピックの花である、ということに尽きるのです。
オリンピックが開催されている都市と言いながら、テレビに映る画面は競技場や体育館の中の風景がほとんどです。
それがマラソンでは、選手を追う画像のなかで開催都市の魅力が余すところなく延々と紹介されることになるからです。
皇居、東京駅、東京タワー、墨田川、浅草雷門…、そのほか様々な東京の観光スポットの魅力がこれでもか、と紹介されるはず…だったにもかかわらず、その栄誉が札幌に移されてしまう。
いかにも残念なはずで、その落胆の度合いは札幌にいてはおそらく想像すらかなわないことだと思います。
それも、なにしろ準備の深さが違います。
聞けば東京都では、マラソンで想定されるコースを4年前から電線の地中化を進めてきており、マラソンレースの放映では、一本も電柱を映させないという準備をしてきたのだそう。
さらに、4年前からマラソンコースの街路樹の剪定を進めて、4年後のマラソンレースの際に最も美しい街路樹の姿になるようにやはり準備を進めていたのだと。
景観レベルまで落とし込んで入念に進めていた準備が実らなかったわけで、やはり残念であるに違いありません。
◆
一方札幌市としては、そうした準備は全くしておらず寝耳に水の状態であったわけですが、それにしても結果としてマラソン開催が札幌になったからには、今からでもできるだけオリンピックの趣旨に沿った競技準備を早急に行わなくてはなりません。
札幌市を中心とする、マラソン用のコース整備に関する関係者の意向や方針はまだ見えませんが、私は舗装会社にいることもあって、コースの補修やメンテナンスにあたっては『環境対策、特にCO2対策』に留意した施工を行うべきと提言したいと思います。
マラソンコースとなる道路はほぼ100%がアスファルト舗装されていますが、北海道は寒い冬があることで寒暖の差が激しく、道路は本州よりもずっと痛みが激しいのが現状です。
当然コースのチェックを行ったところで補修や修繕を行うことが必要になりますが、通常のアスファルト合材を用いて舗装をし直せば、アスファルト工場から160℃という高温の合材で出荷されて、約10℃ほど温度が低下したところで施工をするのが通常です。
しかし最近は「中温化技術」といって、この合材の出荷温度を30℃ほど下げた形も施工に影響のない技術が確立しており、これを用いることで従来のやり方よりも約20%程度のCO2削減ができるとされています。
元々東京オリンピック大会の組織委員会も、「Sports for Climate action Framework」という取り組みに参加することを表明していて、気候変動対策に貢献することをうたっています。
当然この精神は札幌での大会にも引き継がれるべきであり、ありとあらゆる可能な技術を駆使して、気候変動対策を行った準備を行うべきです。
建設業や舗装工事ではどうしてもエネルギーを使わざるを得ない業態ですが、そのなかでも可能な限りの気候変動対策を行うということは重要です。
実行までの時間はありませんが、あらゆる業界が総力を結集して東京に恥じないような大会にしようではありませんか。
関係者の皆さんの取り組みが充実することを切に願います。