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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

防災市民フォーラム ~ 居安思危(安きにありて危うきを思う)

2012-11-11 23:45:41 | Weblog
 学官連携事業の市民フォーラムが開催された。

 これは、市内の高等教育機関である、北海道教育大学釧路分校、釧路公立大学、釧路工専、釧路短大の四つに加えて釧路市が加わって行われたもの。

 それぞれ教育機関として目指す方向が違う四つの教育機関が同じテーマで語ろうというのだから、なかなか難しいことだが、「防災」という切り口はどこでも何らかのかかわりがあることなので、上手なテーマ設定だった。


   ◆   ◆   ◆


 私に先立って、基調講演をしてくれたのは北大の火山家旧観測センターの西村助教。地質から探る古津波研究ではもう日本の第一人者と言ってよいだろう。



 彼の古津波研究フィールドは、北方領土から大陸のロシア領、韓国済州島のほか、太平洋上の島々にまで及んでいるという。

 外交はともかく、科学的研究の世界では協力し合いたいものだ。


   ◆  



 さて、彼の講演の中で興味深かったのは、地質学的な歪みが溜まっているのは千島、東北、東海、東南海と太平洋側が多く注意が必要なのだが、実はこの間津波を発生させるような大きな地震は日本海側で多く発生しているということ。

 つまり歪みが溜まっていると観測されなくても危ないことはあるし、それでもやはり歪みが溜まっているということはそれが解放されるときに大地震と津波が想定されるわけで、十分に警戒する必要がある。

 地震の予知というのは、「いつ、どこで、どのような」地震が起きるかを事前に知ることだと考えられる。

 そこで例えば、板の上に電池を置いて次第に傾きを強くする実験をしたとする。




「いつかは電池が左に倒れるだろう」ということは分かっても、どの瞬間か、まで掴むことは難しい。

 地震予知というのは、発生すればこれくらいのことにはなるだろうということまでは分かっても、発生の瞬間まで言い当てるだけの精度はない。

 そのことをちゃんと理解したうえで、各自が防災意識を高めるために使えればよいのだ。


 
   ◆   


 
 そこで西村さんは、『地震予知に頼らない津波防災』として、次に三つを挙げる。

 ①防災施設(資産の減少を守る)
 ②防災体制(情報発信や受信)
 ③津波に強いまちづくり

 また、『できること/しなくてはいけないこと』として、
 ①発信する情報の精度向上
 ②根拠に基づく地震(津波)の想定、を挙げた。

 
 こうした防災の知識をしっかりと理解したうえで、防災意識向上に繋げてほしいものだ。

 中国の故事に、「備えあれば憂いなし」とあるが、この一説には前段がある。それを補えば全文は、

 安きにありて危うきを思う (居安思危)
  思えばすなわち備えあり (思則有備)
   備えあれば憂いなし  (有備無患)


 である。

 心にとめておきたい言葉だ。



   ◆   ◆   ◆


 【35年ぶりのツーショットだ(笑)】



 さて、以前も書いたけれど、今日基調講演をしてくれた西村さんは、私の大学1年から2年前期時代の同級生。

 彼は自分の講演時間の最後に、学生時代に私と一緒に写った白黒写真を紹介してくれた。

 あの写真を撮った時にこういう瞬間が来るとは思わなかった。

 友達と思い出と写真は大切にしておくと良いね。

 西村さん、きょうはありがとう。また会いましょう。

 また、フォーラム開催にご尽力くださった各教育機関の皆様に感謝申し上げます、ありがとうございました。

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