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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「北斎の富士」展~釧路市立美術館

2010-08-20 23:20:14 | Weblog
 今日も午前中の時間を使って、市内の生涯学習センター「まなぼっと」を見学してきました。正式名称は「まなぼっと幣舞(ぬさまい)」というのですが、建物がお湯を保温するポットに似ているため「まなぽっと」という方もいるそう。

 まあ通じるから良さそうなものですが、できるなら正しく読んでいただいた方がよさそうです。

 施設は貸部屋タイプのほかに、木工や陶芸、染め物、料理など教室や、約800人ほどが収容できるホールがあります。

 また10階建ての最上階は市内を見渡せる展望室になっていて、3階は市立美術館にもなっています。

 貸室はかなりの人気だそうで、利用調整をするのもなかなか大変なんだとか。集まったり学んだりという方が多いのは良いことです。

    ※     ※     ※     ※     ※

 で、こちらの市立美術館で今開催されているのが企画展「北斎の富士」。見学の途中で展覧会も見せていただきました。

 葛飾北斎(1760~1849)と言えば、富士山を様々な景の中に描く「富嶽三十六景」や「富嶽百景」のほか、「北斎漫画」など、一瞬をとらえた秀逸な版画の数々で有名ですが、彼の富士に着目した版画展示は釧路で初めてです。

 この北斎先生、一生に転居を93回、改号(名前を変えること)を30回もしたり、お金や身づくろいには無頓着など生涯を通じて奇行が目立ちます。

 しかしながらそれでいて、子供の時から絵を描くことだけにはその異才を遺憾なく発揮するなど、ある種の学習障害っぽい天才肌を見てしまうのは私だけでしょうか。

 北斎先生、晩年は歳を取ってからいよいよ自分の筆力に確信が持てたようで、「私は六歳のときから物の形状を写し取る癖があり、五十歳の頃からは数々の図画を表した」

 「しかし、七十歳までに描いたものは本当に取るに足らないものばかりである。(さはさりながら)七十三歳になってさまざまな生き物や草木の生まれと造りをいくらかは知ることができた。故に、八十六歳になればますます腕は上達し、九十歳ともなると奥義を極め、百歳に至っては正に神妙の域に達するであろう。(そして、)百歳を超えて描く一点は一つの命を得たかのように生きたものとなるだろう。長寿の神には、このような私の言葉が世迷い言などではないことをご覧いただきたく願いたいものだ」というようなことまで書き記しています。

 北斎先生は数え九十歳で亡くなられましたが、本当に百歳まで生きていたらどんな絵を描いたのか、と思わずにはいられません。


 風で飛ばされる網笠や、海に放った網を引く漁師の姿などは、頭の中で写真を撮ったしか思えない素晴らしいデッサン力。まあ、四の五の言わずに観ていただくのが一番です。

 「北斎の富士」展は9月5日(日)までの開催。日本が世界に誇る天才絵師北斎の偉業の数々。この機会は絶対に見逃すべきではありませぬぞ。


【釧路市立美術館】
 http://www.pekita.net/current/hokusai/hokusai.html

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