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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

製紙工場の世界

2010-08-04 23:46:45 | Weblog
 市内の製紙会社をお訪ねして工場を見学させていただきました。

 着任当時から一度見学させてください、とお願いをしていたものの日程調整をした最短の日が一か月経った今日となったものです。

 当市には日本製紙さんと王子製紙さんがあって、昔から釧路の三大産業は水産、石炭、紙と言われたものです。

 まずは日本製紙さんを訪問。こちらの主力は新聞紙用の紙で、主に東京方面へ運んでいます。新聞用の紙は毎日使われるものですが、印刷の現場にはほとんどストックはなく、途切れずにほぼ毎日輸送されたものをすぐに印刷に回すということで効率化を図っています。

 トヨタ自動車は必要な部品を必要なタイミングで届けさせる「カンバン方式」で在庫を持たない効率的な経営をしていますが、紙の世界もまったく同じなんだそうです。


 紙の原材料は古紙が約60%を占めますが、東京へ製品の紙を運んで帰りの船に古紙を積んで帰ってくるのです。しかし最近は中国での古紙需要が伸びていて買い負けもしばしばだそうで、そんなときは木のチップから取り出したパルプを充てますが価格面では不利になります。





 工場の中は、溶かしたパルプをベルトコンベア状のフェルトではさむようにして熨して水分を取り、乾かして表面をなだらかにするという工程。

 できた紙は連続して巻き取って巨大なロールができあがります。紙作りってノウハウの詰まった最新機械に見えたのですが、紙作りって明治期に技術的には確立していて基本的な作り方はほとんど変わっていないのだそう。





 最新の製紙工場では、クリップもホッチキスの針も何でもついたまま秘密文書の紙をトラックごと受け入れて、金属は取り除いたうえで溶かすような設備を持ったところも出ているそうです。

 秘密を保持したい事業者のニーズに応えつつ紙の原料を受け入れる新しいビジネスモデルになりそうです。
 
 こちらでは隣接した敷地に北海道新聞社さんの新聞印刷工場が建てられていてできた新聞用紙ですぐに新聞を作っています。製紙工場と連続した見学コースも人気です。

 それにしても最近は新聞が売れなくなり新聞紙の需要も減りつつあるのが気がかり。経済が縮小することは様々な方面に影響を与えているんです。


    ※     ※     ※     ※     ※

 続いては王子製紙さんを訪問。こちらの主力は段ボール用の紙です。

 段ボール用の紙の作り方も古紙を含めたパルプから熨して乾燥という工程は全く同じ。あとはできた紙を3枚から5枚重ねてライナーという外側の紙にするのですが、こちらの工場でつくるのはもっぱらこのライナー紙。

 敷地に隣接した関連の段ボール会社ではその紙と、他の工場つくられた中芯と呼ばれる波状の紙を合わせて段ボール紙と実際の箱などの梱包製品を作っています。

 段ボールも流通用資材として経済の動きに強く影響されます。

 夏が暑ければビールが売れ、サンマが取れれば冷凍のサンマも段ボールで運ばれます。

 北海道の農産物も段ボールで運ばれますが、これらは季節的な変動が大きいのが悩みの種だとか。

 一年を通じて安定的に需要が出るような産業があるとよいのですが。

 紙の世界も現場を見せてもらうといろいろな発見がありますね。

 
 
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