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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

改めて地域情報化とはなにかを考える

2010-02-03 23:25:31 | Weblog
 先日掛川から来た人たちと、東大の田中先生とおっしゃる、情報経済論やネット社会学などにご造詣の深い先生をお訪ねしました。 

 田中先生は日本各地での地域SNS(=ソーシャル・ネットワーク・システム)にも大変お詳しいのですが、以前から「掛川の活動もなかなか面白いですよ」と言われていたのだとか。そこで現在掛川の地域SNS「e-janかけがわ」を運営するNPOの担当者たちが来月掛川で開催するフォーラムの基調講演をお願いにきたというわけで、その傍ら、地域SNSの現状や未来について意見交換の時間がもてました。

【問い:地域情報化とはなにか?】

 田中先生のお考えは、地域情報化とは地域づくりそのものである、ということ。そのときに必要なものは、パソコンやインターネットではなく、「人だー!」とおっしゃいます。

 地域情報化の三つのキーワードとして田中先生が挙げるのが「人と気持ちと地域の力」ということ。

 要は、地域情報化ということは、《人同士》が《やる気という気持ち》を持って《地域を作る》ための道具にすぎないということでもあります。

 地域を情報化しなくたって、みんなのために一肌脱ごうという人はいつだっているわけで、そんな人たちに地域の現状をお知らせしたり、そんな人たち同士を少しでも結びつけることにつながれば地域社会は少しずつ活性化してゆくことでしょう。

 また情報化を進めると、組織の体制が上意下達のピラミッド型からフラットなネットワークに変化してゆきます。過去には情報伝達のやり方として上意下達が効率的な姿だったのですが、ネットの発達でそんな形を取らなくても情報伝達を効率的にやれる時代になりました。そうした情報の流れは組織のありようも変えてしまうことになります。

 組織を動かす原理として同じ頭文字を持つ「組織原理のC&C」というのがあります。これがその昔はCOMMAND & CONTOROL(=命令と統制)だったのですが、これが今では変化してCONNECT & COLLABORATION(=連携と協働)に変わるというのです。やはり少しずつ情報社会が進むと組織や社会の形も変化をしているのですね。

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 ところで意見交換をしていて、ついこちら側としては「SNSで何が出来るのでしょう?」といった事例を求めがちであることに気がつきました。

 実際、「SNSでこんなことができる」というネタはいろいろ教えてもらえるのですが、実は大事なことは「これをしたいけれどSNSは何が出来る?」とピンポイントに問うことなのではないか、と思ったのです。

 つまりポイントは、 先に問題意識、課題意識があるべきで、それを解決したり、良い方向に向けるためのツールのひとつとしてSNSはなにができるだろうか、と考えるべきだということです。

 前者の問い「SNSは何が出来るの?」という問いは実は問いのようで、正しい課題設定にはなっていないのです。SNSも道具にすぎないと考えれば、同じ道具である「パソコンって何が出来るの?」という問いと同じ質問になっています。
 あなたがしたいことがわからなくてはパソコンも使いようがないということです。
 
 掛川の産業であるお茶がもっと売れるためにSNSは何が出来る?
 地域の地酒が売れるためにSNSは何が出来る?
 認知症のお年寄りを支えるために・・・
 子育て中のお母さんを支援するために・・・
 掛川に観光に来てくれる人を増やすために・・・ モロモロモロ・・・

 先にこういうリアルな問いがあるからこそ、今すでに行っている施策があるはずです。

 今日はさらにそれらに加えてネットという仮想的空間や仮想空間でのつながりという資産が増えてきたわけで、これらの資産がどう生かされてくるのだろうか、という風に考えると、そこで初めて具体的なSNSの活用方法やSNSができること、SNSでなくてはできないこと、SNSだからこそできること、掛川のSNSだからこそできること、などがそれぞれ明らかになってゆくのではないでしょうか。

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 実は地域SNSを語るときに田中先生は、「SNSも地域ごとにいろいろな特徴がありますからね」とおっしゃいます。

 単に「SNSだからできること」と、「掛川の(わがまちの)SNSだからできること」の違いということも結構あるのです。

 外から見るとすごいことを当たり前にやってしまっている地域もあれば、同じ事をまねしてみようと思ってもなかなか出来ない地域があります。これこそ地域の力であったりその土地柄だったりするのです。

 地域SNSなんて、まだまだ始まったばかりなので成功事例なんてほんの少ししかありません。それを作るのは最前線を走る自分たちであるはずです。

 高村光太郎風に言えば「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」でしょうし、プレステ風に言えば「俺の屍を越えてゆけ」ということでしょうか。

 3月の掛川でのフォーラムは楽しくなりそうです。 
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