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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

踏み台にしてはなりません

2009-10-20 23:33:12 | Weblog



 元気な人に会ってお話を聞くと元気になります。

 先日、NPO活動に後半生を掛けているエネルギッシュな方のお話を聞く機会がありました。そのお相手は、NPOフユージョン長池の代表である富永さんという方。

 私の専門である都市公園・緑地の世界では、多摩ニュータウンにある長池公園の管理を八王子市から委託されて実施しているNPOの代表というイメージだったのですが、実際にお話を聞いてみるととんでもない方だと言うことが分かりました。

 富永さんは、若い時は世界的な紙パックメーカーの営業として活躍し、営業で世界各国30カ国以上も巡り、自分自身優秀な営業マンを自負されていました。

 それが多摩ニュータウンのマンションに引っ越してきて、ここでの生活を楽しんでいる最中、同居されていたお母さんが亡くなったのだそう。

 そのときに言われたのが、「結局死ぬ時は誰も来てくれないねえ…」という言葉。地域の中に埋没して、地域と関わりを持たないまま生活をすると言うことは、引退した後もつまらない人生になるな、という思いがしたのだそう。

 それからは地域の中でマンション管理を引き受けたり、地元でお祭りを企画したりして少しずつ地域の中でのコーディネーター役を自覚して様々に活動したのですが、ついに47歳の時に高給だった会社をすっぱり辞めて、NPO活動を始めたのだそう。

「その時って食べて行くあてがあったのですか?」と訊くと、「ありませんでしたねえ、でも直感的にですよ、それまで高給を取っていたサラリーマンが辞めて始めたNPOというのは、差別化が図れていて売れるのではないか、という思いはありました」

    ※    ※    ※    ※

 多摩ニュータウンは、今の都市再生機構の前進である住宅・都市整備公団が中心となって肝いりで始めた日本最大のニュータウン。そのため道路計画や公園緑地計画、建築物の色やデザインなど様々なところに実に手が掛けられています。

 そうしたインフラにも惹かれて多くの意識の高い人たちも集まってきています。

「そういう人たちは本当に地域の宝ですよ」と富永さん。

「しかしね、地域とのつきあい方というものを知らん人も多い。また下手に頭が良かったりするので余計に質が悪いとも言えるんですな」
「いろんな人がいるでしょうね」

「『私に言わせれば…』という枕詞で入ってくる人は一番質が悪いですね。他の人の言うことを聞く気はない、と言っているようなもんですから(笑)」

「で、そう言う人に限って、自分は手を汚さない。あまりうるさいことを言うものだから一度『それで、あんたは何をしてくれるんですか?』って聞いてやったんです。そうしたら『この問題をあんたに伝えにくるのがオレの仕事や』って…。もう話しになりませんな(笑)」

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 富永さんは、本当にNPO一本で生活をしていますが、そのおかげで地域のいろいろな人たちからの信頼のネットワークがものすごく広がっているのだそう。

「面白い人に会うと、(あ、あの人と合いそうだな)とか(あ、あの人と合わせたらあかんな)とか分かってくるもんです。『人間ジグソーパズル』って言ってますけどね。合う人は一緒に何かを始めて、合わない人どうしは離すんです。そうやって人に世話になってまた世話をする、それが良いんです」

「僕はもう57になってしまいましたけど、もう50代が輝くために20代を踏み台にしちゃ行けないんだと思い始めています。もう50代は黒子になって、20代が輝くように支援する側に回らなくちゃ。だって彼らはこれからもう50年もこの社会で生きて行かなきゃいけないんですから」

「今の若い人たちの中には、欲もそれほどなくて、でも出世欲もなくて、それでいて自分の力で地域の役に立ちたいという純粋な人がとっても増えていますよ。彼らなんか生まれながらのNPO人なんだと思うけれど、そういう彼らがNPOで食べて生活していけるような世の中にしたいと思うのが、僕のこれからの活動なんだと思うんです」

    ※    ※    ※    ※

 「20代を踏み台にした50代ではダメなんだ。20代の彼らが輝くように50代は支援をしなくては」というのは心に刺さりました。

 そうか、後輩を育てるなんて漠然としたことではなくて、ターゲットを20代に絞って、彼らを一本立ちさせるような支援ということがあるんですね。


 すごいおっちゃんだ。でもとっても元気をもらえたのでした。
コメント
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